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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

パンちゃんさんのレビュー一覧

投稿者:パンちゃん

10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本隣の家の少女

2010/03/09 21:32

読むべき本であり、できれば出会いたくなかった本

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 なぜ誰も止めてくれなかったのだろう。
本書を開こうとする私に、「ダメだ、やめておけ。読まない方がいい」強い眼差しでそんな言葉をかけてくれる人がいたなら、どんなによかったか。
ただホラーが読みたくていつものように気楽に手に取っただけなのに、まさかこんなに後悔することになるなんて。しかも、帯コピーでS・キングが絶賛していたから尚のこと油断していた。事前に他の人達の感想を読んでいたなら絶対に読まなかったはずだ。


 今までにも開いて後悔してしまった本は幾つかあるが、面白くなければ途中で読むのを放棄すればいいだけのこと。
だが本書はそういうわけにはいかない類のものだった。面白いとか面白くないとかそういう次元ではないのだ。読み始めたからには最後まで読まないわけにはいかないのだ。決して抗えないのだ。
本を持つ手だけでなく、体までもが震える程の本に出会ったのはこれが初めてだ。もし立ち読みしていたなら足までガクガク震えていたと思う。
怖くて恐ろしくて、息苦しくて、涙も滲んだ。読後の精神状態も最悪だ。しばらく食欲も戻りそうにない。

 そして、主人公に対してこんなにも苛立ち、怒りを感じた作品も初めてかもしれない。
彼は暴力行為は一切していない。ただ見ていただけ、悩み苦しみながらもただ見ていただけ。唯一の希望の光は彼だけだったと本人も分かっていたはずなのに。直接暴力行為をしていた連中以上に、傍観者の主人公の少年に対して激しい怒りを感じてしまう。
だが、自分がもし少年の立場だったらちゃんと救えただろうか。通報すればいいだけ、声を上げるだけでいいはずなのに、それがちゃんとできたか不安になるのはなぜだろう。


 本書は1960年代に実際に起きた事件がきっかけで書かれた作品らしい。フィクションであってフィクションではないということがまた一つ心を重くする。日本で過去に起きた衝撃的な事件も思い出される。そして少年法についても改めて考えずにはいられない。
虐待のニュースを頻繁に耳にする今の世の中、目を逸らしてはいけない大事なテーマが盛り込まれているとは分かっているが、できれば出会いたくなかった本だ。
 唯一良かったと思うのは、被害者の少女が主人公ではなかったことだ。もし彼女の視点で語られていたなら、私は最後まで耐えられなかったと思う。

 どんなに恐ろしくても、目を逸らし考えたくなくても、考えなければならない問題がこの世にはまだまだ溢れている。
ああ、頭痛が治まらない。

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紙の本狂人の太鼓

2005/09/05 06:51

文字の無い小説。こういう読書の仕方もたまにはいいもんだ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

なんて強烈なオーラを放っているのだろう。ぶるっと嫌な寒気がする。そこらのホラー小説よりもよっぽど怖いかもしれない。
この本は、120枚の木版画のみで綴られた、なんと”文字の無い小説”である。
奴隷商人がアフリカから持ち帰った太鼓。その太鼓が一家にもたらしたものは・・・。奴隷商人の父の教えを守り、書物に埋もれた学究生活を送る男とその家族を次々に見舞う恐るべき死と災厄を綴った物語である・・・といった感じの簡単な紹介文が、カバー折り返し部分にちょこっと書かれてあるだけなので、読者はそれを足がかりに版画のみを見て推測しながら文章を紡ぎださなければならない。
文字なんか必要ないほどに語りかけてくるグロテスクな感じの木版画。
たとえ文章がついていたとしても、やはり他の本とはひとあじ違った異彩を放っていたと思う。それほどにこの木版画は、眠っている感覚を無理矢理呼び覚まされるようなインパクトがある。ガブリエル・バンサンなどの文字の無い絵本というものは知っていたが、本書はあくまで小説であり、インパクトの強さも違う。
一見、いろんな読み方ができるように思えるが、実際に読んでみるとそれほど読み解きに自由さはない。あくまで指し示す道は一本であり、読者は半強制的に無言の誘導を受けることになる。
けれど、きっと一般的な日本人には分からないような宗教や思想やいろいろなものが込められているのだろう。読み終えてみれば、なんだか分かったような分からないようなもやもや感が残るのは、日本人としては仕方のないことなのかもしれない。
それでも本書は間違いなく面白く読むことができ、時間を置きながら不思議と何度でも開きたくなる本だ。また、結局どのように読み解いたか、いろんな人の意見を聞きたくなる作品でもある。
文字を追うのではない、こんな読書の仕方というのもたまにはいいものだと感じた。

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久しぶりに出会えた。こんなに心を鷲掴みにする少女漫画に。ついでに苦手だった歴史・時代物も克服できた。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 歴史物・時代物の小説は苦手だった。なぜなら、分かりにくいし作品の中に入りづらいから。読者自身が、その時代の背景をある程度分かったうえで読むことが必要と言われてるようで、私のように歴史は全くといっていい程にちんぷんかんぷんな人間は置いてけぼりにされることもしばしばあった。

 歴史物・時代物の漫画も苦手だった。なぜなら、歴史ちんぷんかんぷんの私でさえ嘘臭いと違和感を感じずにはいられない絵のものがしばしばあったから。

 そんななか、この作品は私を見事に歴史好きにしてくれた。

 主人公の富永セイは、性別を偽り神谷清三郎と名乗り新選組に名前を連ねる女の子。
 「私は女子ではありません。武士です」が口癖の彼女だが、彼女の秘密を知る沖田総司に密かに片想い中。沖田にとって一番大切なのは主君である新選組局長・近藤勇。近藤と副長の土方のためなら命さえも惜しくないと言い切る。自分は一番大切な存在にはなれない——そんな男に恋するなんてつらすぎる。恋敵がいることよりもつらい事だと思う。だが、最近ようやく沖田に微妙な変化が見え隠れし始めた。おやおや?とセイちゃんの恋を応援する読者としてはにやけてしまう。
 武士(おとこ)と認められたからこそ沖田の傍にいることができ、女子に戻ったら傍にはいられない。彼女のこの切ない想いの行方はどうなってしまうのか。

 恋のことばかりではない。この巻ではセイちゃん大ピンチが立て続けに起こる。新入隊士の中村五郎に女子だと見抜かれ執拗に求愛されるなか、今度は元服の問題が持ちあがる。元服するということは、前髪を剃らなければならない。今までの月代を半分だけ入れた姿でさえ、15巻現在になってもまだ痛々しく見えるのに、前髪まで無くなったらと思うと可哀相で本当に涙が出そうになった。彼女の恋は応援したいが、そこまでして沖田の傍にいたいのかと思うと、いじらしいという感情を通り越してやり切れない気持ちになる。さらにはセイの亡き父親の友人である医師の登場で女子だとバレそうな事態になったりと危機が彼女を襲う。

 新選組といえば、土方歳三、沖田総司、斎藤一の名前くらいしか知らず、何やら池田屋事変というものがあったらしいということしか知らなかった。そんな歴史ちんぷんかんぷん人間の私でさえも、この作品はすんなりと受け入れられた。登場人物に魅力があるのはもちろんだけど、時代背景が分かりやすいうえに絵がとても丁寧。特に背景は素晴らしく、隅々までじっくりと見てしまう。

 家屋(屋根の形)から女性の髪の結い方まで江戸と京での違い、そして時代考証もきちっとしており、史実をふまえながら面白く分かりやすく作者流に描かれてある。所詮少女漫画と軽く見られないための努力が隅々までに行き届いていると思う。作者のこだわりと妥協を許さない真っ直ぐな姿勢が気持ちいい。

 でも忘れてはならないのが、新選組を扱った作品ではあるけれど、あくまでもセイちゃんの恋と青春を軸にした少女漫画だということ。
 私は特別に新選組ファンではないが、この作品における新選組は大好きだ。

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ジタバタはチャンス到来の証。自分の悩みを笑ってしまえ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「悩みのない人間などいない。世の中、悩んでるのは自分だけじゃないんだ」そんな言葉で元気づけられ、よおし!と頑張れる人はまだいい。
悩みのない人間などいないと分かってはいるけど、実際に自分の悩みは自分だけのもので、自分の苦しさも自分だけにしか分からない。だからそんな言葉くらいじゃちっとも元気になれないという人にこの本をお薦めしたい。

恋や人生やいろいろなことに悩むブタ、その名もシッタカブッタ君の姿を四コマ漫画仕立てにして描かれているので読みやすい。しかもカラーだ。
この本の最大に良いところは、主人公のシッタカブッタを自分の分身として置き換えて見ることができるところだろう。つまり自分の姿を客観的に見ることができるのだ。人というのは一番身近なはずの自分のことほどよく見えない。だから、自分の姿を客観的に見ることができるこの本はとてもありがたく素晴らしいものだと思う。
シッタカブッタ君の悩んでジタバタする不器用な姿は、自分の姿を見ているようで笑ってしまう。けれど、笑ってしまえればこっちのものだ。「シッタカブッタを笑う=自分を笑う=自分の悩みを笑う」こういうことだ。自分の悩みが笑えること、それは、心のもやもや脱出作戦第一関門を、いや、大半を突破したようなものだ。

さらにもう一つ本書の良いところは、悩みの対症療法でなく、悩みと上手に付き合っていく方法を教えてくれているところだろう。明るい気分で気軽に読めて、読み終わった後は何をそんなに悩んでたんだろうと思うくらいに心がスッキリとする。こういう心に元気を与えてくれる本はたくさんあるけど、この本は格が違う。とにかく効き目が凄い。今まで何人もの人に薦めたり贈ったりしてきて、大いに喜んでもらえた。自分が書いた本でもないのに、ちょっと誇らしい気持ちになった。

人から愛されないと、人から認められないとどうして苦しいのか、いい学校やいい会社に入らないといけないのか? どうして悩むんだろう? 悩みはどこから来るのだろう? ジタバタしたり苦しんでる時こそが実はチャンスだとこの本は言っている。「どうして?」と、心に苦しいもやもやが充満している人はまさにチャンス到来だ。是非一読を。

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紙の本ぼっけえ、きょうてえ

2003/06/04 22:13

おそるべし岡山弁

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ホラー」というよりも「怪談」という言葉の方がよく似合う作品だ。そして表紙の絵と本の中身のイメージがこんなにぴたりと合う小説も珍しい。この嫌でも目を釘付けにする表紙の絵は、京都国立近代美術館にある甲斐庄楠音の「横櫛」という作品だそうだ。静かに微笑んでいるような和服姿の女性、でも、どこか背筋が寒くなる雰囲気を醸し出している。この雰囲気の絵をいつかどこかで見たことがあるとずっと気になっていたが、最近になって、久世光彦のエッセイ『怖い絵』の中に出てきた同画家の「女の顔」という絵だと思い出した。

 「ぼっけえ、きょうてえ」とは、「とても、怖い」という意味の岡山弁。タイトルだけでなく作品全体に岡山弁が駆使されている。その岡山弁の持つ力に圧倒された。これが標準語ないし他の言葉だったら、こんなに印象に残る作品にはなっていなかっただろう。語り部である女郎の存在感にもまた圧倒された。確かにそこに存在しているのだ。いつの間にか本の中に引きずり込まれ、女郎が耳元で囁いているかのような気分に襲われた。表題作の他に収録されている3作品も、岡山が舞台で岡山弁が使われている。著者に興味が湧くと共に岡山という土地にも興味がわいた。

 話も勿論怖かったが、読み終えた時に自分の口から無意識にもれた言葉が「きょうてえ…」だったことが一番怖かった。勿論自分は岡山弁には馴染みなど無い。おそるべし岡山弁の威力。

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紙の本

2003/03/29 17:28

虫(=昆虫)を用いながら虫(=心)を描いた作品

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 どういうものに恐怖を感じるか、ホラー小説に何を求めるかは人それぞれだが、自分としては、現実にはありえないだろうという中にも、もしかしたら自分の身にも起きるのではないかというぞくっとする部分が少しでもあって欲しいと思う。本書は、夫が「常世蟲」という文字が彫られた石の器を持ち帰ってきたその日から、
平凡な主婦の周りで奇妙な現象が起き始めるという話。平穏な生活が少しずつ崩れていく様が描かれているが、自分の身にも起きるのではという恐怖までには至らない。そこがとても残念だ。最後のどっちとも取れる曖昧さは、個人的には嫌いではないが、どこか物足りなさを感じる。話の着目点がいいだけに、そこもとても残念だ。

 虫の恐怖は直に伝わってこないが、主婦の孤独感、疎外感はよく伝わってくる。専業主婦が主人公のホラー小説といえば、他に新井素子の『[おしまいの日』が思い浮かぶが、専業主婦というのはそんなに孤独で精神的に追い詰められる存在なのだろうか。本書を読んで以来、専業主婦らしき人を見かけると本書の主人公とだぶって見えるようになった。

 読後、「虫」という字を辞書で引いてみると、「昆虫」という意味の他に、「心の中に潜んでいる意識・考え。心。」という意味が書いてあった。そうか、本書は、虫(=昆虫)を用いながら虫(=心)を描いた作品だったのかと、そこで初めて気が付いた。辞書を引かなければそのことに気が付かず、ちょっとつまらない作品として自分の中で記憶されるところだった。危ない危ない。ホラーとしてはイマイチだが、一小説としてはいい作品だと思う。

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紙の本沈黙の教室

2001/06/13 13:13

「同窓会」=「懐かしい」という言葉では括れない

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 青葉ヶ丘中学3年A組。このクラスは異様だった。何者かによってこのクラスの者に届けられる「恐怖新聞」。そしてこの何者かによって次々と「粛清」の対象が選ばれていく。選ばれた者は恐怖のどん底に突き落とされ、癒えることのない傷を負わされる。やがて卒業から二十年後、同窓会が開かれることとなり準備が進められるが、一方で、復讐を目論む者による大量殺人計画も着々と進行していた。

 「同窓会」というと、多くの人は真っ先に懐かしいなあと思うことだろう。あまり仲の良くなかった者同士でも楽しく語り合え、苦い思い出だった事でも笑って話せるようになる。時の流れは人の心を緩和してくれる。だが、全員が全員同じ気持ちだとは限らない。この小説の登場人物のように、嫌な思い出のままずっと心に恨みを抱いている者もいれば、せっかく忘れていたのに「同窓会」の通知によって悪夢を呼び覚まされる者もいるのが普通ではないだろうか。思い出はなぜか美化されがちだが、けして過去のこととして片付けられない思いを抱いている者がいることを忘れてはならない気がする。自分は学生時代を楽しく過ごせなかった一人だ。まだ同窓会が開かれたことはないが、同窓会通知を目にした時いったいどんな気持ちになるのだろうか。懐かしい気持ちになるだろうか、それとも不快に感じるだろうか、本書を読み終えそんなことをぼんやりと思った。

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紙の本竜は眠る

2001/05/07 06:59

最初は読む気力が半減したけど…

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 登場人物の少年が超常能力者(サイキック)だと知った時点で、実は魅力も読む気力も一旦は半減した。SF小説やジュニア向けの小説では超能力少年が登場しても珍しくもないし、違和感もないが、これから本格サスペンスを読むつもりだった人間にとっては、相当な違和感だと思う。どこか現実味を感じないし、「なんだ、なんでも有りの世界か」なんて読む前からげんなりとしてしまう。
 けれど読み進めるうちにどんどん作品に引き込まれてしまい、最後まで一気に読み終えてしまった。こんなに臨場感漂う作品に出会ったのは初めてと思うくらいに、その場その場の緊迫感や、登場人物の心苦しさなどがひしひしと伝わってきて、とても読み応えがあった。超能力少年に関しても、超能力を持っているからといって派手さは無く、もしも実際にそんな能力を持つ人間がいたら、きっとこんな感じなんだろうなと素直に思うことができた。
 著書が増えれば、当たりはずれ作品が出てくるのは否めないが、この作品は作者の著書の中では間違いなく当たり作だと思う。

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紙の本お葬式

2001/06/22 01:11

笑えるホラー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 表題作の『お葬式』は、第6回日本ホラー小説大賞短編賞で佳作を受賞した作品。主人公の女子高校生のポケベルに「チチキトク」のメッセージが入る。そして父親が亡くなり、葬儀社の人が来るが母親は断る。この家には先祖伝来の独自の弔い方があったのだ。他に4つの書き下ろし作品も収録されている。

 人によって好き嫌いがはっきりと分かれるホラー小説だと思う。それは“怖い”ホラーではなく、“笑える”ホラーだから。多分、作者も最初から読者を怖がらせようとは思っていないのだろう。そのことを知らずに読んだ私は最初、「なんだこれ、騙された〜!」と思わずにはいられなかった。ユーモラスではあるが、偶に少女向けのホラー漫画に見られるような話で新鮮さは感じない。ただ、どこから考えてもおかしいだろうと思う出来事にも、なぜか馴染んで適応していく主人公たちに、じわりとくる怖さは感じた。

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紙の本完全自殺マニュアル

2002/07/20 21:56

自分にとっては命綱のような本

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 兄の本棚で見つけた本。こっそり持ち出して徹夜で読んだ。どの死に方が一番ラクかや、どれが死体がキレイかなど、ありとあらゆる自殺の方法が書いてあった。世間的にはあまり表沙汰になっていないが、結構いろんな自殺が現実にあったんだなと実感した。薬を大量に飲んで、自分が徐々に死んでいく様子を克明に記録した人などの実例も載っていて、その生々しさに妙にドキドキした。自殺をする人の中にはやっぱり死に方にこだわる人も多いようだ。

 実は、自分にはそこそこ自殺願望があった。だが、本書を読んでいるうちに、なんとなく自殺することが億劫に思えてきた。おまえの自殺願望なんてその程度だったんだと言われればそれまでだが、あの時この本を読んでいなかったら、ひょっとすると自分は現在ここにいない可能性だって全くないとは言い切れない。自分としては心からこの本に出会えて良かったと思う。

 本書はテーマがテーマなだけに、臭いものになんとやらで、人目に触れないよう隠したがる人々もいるようだ。それがいいのか悪いのかは分からないが、ただ、この本はけして自殺を勧めているわけでもなんでもない。自分のように読むことで思いとどまる者がいたことも事実なのだ。今でも死にたい気持ちになった時は、この本のことが頭をよぎる。自分にとってはまさに命綱のような本だ。

 そして、この本の持ち主だった兄は、どういう気持ちからこの本を購入したのか本当のところは分からないが、当時はかなりいろいろなことに悩み疲れていることが傍目にも見てとれた。だが、あれから数年、兄は生き生きと毎日を送っているようだ。もしかしたら、本書を読み自分と同じ気持ちを抱いたのかもしれない。

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