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都の西北さんのレビュー一覧

投稿者:都の西北

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文句が多いが、おもしろい!

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 私にとって「竹下登」といえば、大学の先輩ということと、凡庸な風貌と永田町の“キングメーカー”としての凄みとの落差に、いかにも日本的な「政治屋」としての存在感を覚える程度の関心しかなかった。
 この本を手にしたのも、竹下自身の発言であるタイトルのユニークさに、野次馬的な好奇心を覚えたからに過ぎなかった。
 非常に面白い本ではあるが、先にマイナス面から述べてしまおう。
 一読して感じたのは、それが意図したものなのか、果たして筆者その人が竹下をどう思っていたかが漠としている点にある。
 前半部では、戦中・戦後にかけての家庭内の不幸や若き日の竹下の意外な一面の描写が主である。ここでは、筆者は明らかに竹下個人へある種の共感・感嘆を覚えているように思われる。
 後半は、いわゆる皇民党「ホメ殺し」事件に関わる一連の記述と、暴力団・右翼とそのパトロンという「暗部」に記述の重点が移る。
 この部分は、皮肉なことにその充実さで「竹下登」という著作のテーマを逸脱している嫌いもあり、その焦点の移ろいがこの本の読後感を少々ぼかしてしまった感がある。
 同時に、この後半部で筆者が感じているであろう腐敗した政治への怒りも、意外なほどストレートには伝わってこない。
 表題どおり竹下登のドキュメントというには皇民党含めその他の記事が多すぎる。日本の政治の暗部を衝いた告発の書というには、インパクトが弱い。
 そのような、やや中途半端な印象を受けてしまった。
 奇妙なことだが、暴力団を介在して誕生した恥ずべき首相という非難が数回に渡り記述されているにも関わらず、皇民党事件の“被害者”という同情的な視線すら感じてしまうのである。
 しかしながら、読み手の意識を逸らさない描写やてきぱきとした展開に、あっという間に読み終えてしまったのも事実である。
 これほど面白いテーマなら、これほど上手く書けるならと、上等の料理を出し惜しみされたような物足りなさを覚えた。
 ならばこそ、横にも縦にももう少し欲張った方が面白くなかったか?(テーマゆえそれができなかった…というのは穿ち過ぎだろうか?)

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