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先月(2017年6月)

書評配達人さんのレビュー一覧

投稿者:書評配達人

1 件中 1 件~ 1 件を表示

屍体配達人 下巻

2001/03/19 01:10

クローディンの今後に期待

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 著者ブライアン・フリーマントルは、チャーリー・マフィン・シリーズなど一連のスパイ小説が面白く、一時かなり凝ったことがあった。そこに描かれているスパイは、ジェームズ・ボンドのような華麗なスーパーマンではなく、リストラされかかった冴えない中年であり、しかし追い詰められて発揮する「叩き上げ」の底力に新鮮な魅力を覚えたものだ。
 この「屍体配達人」は、同じシリーズである短編集の「屍泥棒」の後に読んだ。日本では著作自体も(なぜか)この順序で発表されているが、主人公の心理分析官クローディン・カーターと主要人物、彼らが働く欧州警察機構ユーロポールの背景などを知るには、少し長いが本書の方がよい。
 私自身は「屍泥棒」を読んだ後、こちらは元FBIのプロファイラーの著作である「FBI心理分析官」を読んだ。事件そのものの異常性から言えば、残念ながら「FBI…」の著者が言っている「本書と比較すれば、衝撃的な書であるはずの『アメリカン・サイコ』など実にかわいいもので、ユーモラスな読み物にすぎない」というコメントは、本書にも当てはまる。本書の中心をなす事件は、出だしこそ猟奇性にあふれているが、結果的には至極平凡な結末に終わる。もちろん欧州各国を舞台に繰り広げられる事件や捜査の展開は、さすがエスピオナージュの第一人者と思わせるものはあるが、しかしこれはチャーリー・マフィン・シリーズではないのだ。
 展開そのものも、ユーロポールでの政治的駆け引きやクローディーンの個人的なドラマなどが併行して走り、煩雑な印象を与える。発表順とは別に、内容的には本書がシリーズの第一作ということもあって諸々の舞台設定込みで書かれたためだろうが、事件そのものが込み入っているだけに、少々読みづらい印象を与えた。
 主人公を中心とした3人のチームは、組み合わせこそありきたりだが、特に主人公クローディーンと法病理学者ウーゴ・ロセッティには、個人および二人の関係とも、まだまだ展開の余地がある。私自身は、むしろ人間ドラマとしてのこのシリーズの今後に期待したい。

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