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畑仲哲雄さんのレビュー一覧

投稿者:畑仲哲雄

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本らくごDE枝雀

2001/02/08 19:00

笑いの実践と追究の書

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 落語のオチ(サゲ)はいくつあるのか。桂枝雀はわずか4つに絞ってみせた。
 従来の考えでは落語のオチは、考えオチ、さかさオチ、しぐさオチ、地口オチ、仕込みオチなど12あるとされてきた。が、これはあくまでも演じ手の言い分。
 枝雀は視点を受け手の側に移して考えた。噺が客にどう受け止められるか──コペルニクス的な発想の転換により、すべての噺が「ドンデン」「謎解き」「へん」「合わせ」に分類されるという仮説を提唱したのである。
 なぜ4分類なのか。枝雀は独特のグラフを用いて明快に解きあかす。細かい説明を省くが、要するにサゲは、聴衆が安心する格好で話が終わる(合わせ)、少し不安な状態で終わる(へん)、不安にさせられたあとで安心する(謎解き)、いったん安心したのち不安になる(ドンデン)──ということになる。その論理展開は数学の証明のようだ。
 そんな分析を支えているのが「緊張/緩和理論」。略してキンカン理論だ。
 誤解を避けるために書いておく。枝雀は何も笑いという現象のすべてを緊張と緩和のバランスだなどとは言っていない。人が笑うのは(A)知的に変なこと(B)情的に他人のちょっとした困りごと(C)生理的に緊張の緩和(D)道徳的に他人の忌み嫌うことやエロがかったこと、の4種類がある。そして、この中で枝雀は「生理的なもんがいちばんの根本やという結論に達したんですわ」(39ページ)と論じる。これがキンカン理論の出発点なのだ。
 こうした分析は科学的で普遍性がある。エスプリのかなりがAに分類される、ユーモアやジョークの多くがB、アネクドートはDに入るのではないだろうか。
 むろん、枝雀理論がすべてではない。笑いはつかみどころがなく、まだまだ謎が多く残されている。古くはアリストテレスから実に多くの人が笑いに挑戦した。最近では、精神科医の志水彰は、著書『笑い/その異常と正常』(勁草書房)の中で、笑いを「快」「社交」「緊張緩和」の3つに大別し、それぞれに細かい分類を提示していた。志水のように表情から読み解けば、そうした分類もできるのだ。だが、決定打になるような理論はない。枝雀理論もまた膨大な仮説のひとつに過ぎない。
 笑いをまじめに考えた本は面白くないことが多い。だが、不思議なことに本書は読者を知らず知らずに笑いの深みに誘い込み、思わずクスクスさせ、気が付けば笑いの海に首まで浸かっているだろう。
     *
 桂枝雀は1999年春、自宅で首をつり約1カ月後息を引き取った。遺書はなく、動機は不明のままである。

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紙の本笑いの世界 対談

2003/09/21 14:53

大御所ふたり、ホンマに楽しそう

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 たとえば、大阪のオバハンがふたりいれば漫才になると言う。これは大きな誤解である。オバハンたちは笑わせているのではない。笑われているのだ。
 当然のことだが、地味な大阪人もたくさんいる。笑いのセンスはモテる条件であり、商売を上手に運ぶ重要なテクニックでもあり、ちょっとした紛争を丸く収める知恵でもある。だから、人を笑わせ楽しませることができる人物は大いに尊敬される。そんな尊敬すべき笑いの達人たちの中でも、とりわけ傑出したふたりの大御所が都合2回、合計9時間にわたって笑いの世界を語り合ったのが本書である。
 こんな対談、後にも先にも二度とないだろう。なんと贅沢な本だろう。
 笑いほど恐ろしいものはない。まじめに語れば語るほど笑えなくなる。理屈をこねればシラけてしまう。笑いのナゾに挑もうとした本ほど面白くない本はない。ほとんどの本が失敗している。つまり、笑いを語るほど危険なことはないのだ。だが本書では、なによりも当人たちが楽しげに笑いながら語り合っている。これがいい。
 いまさら紹介するまでもないかもしれないが、桂米朝といえば上方落語を救った恩人であり、「教授」と呼ばれるほどの博識の持ち主。そして二代目桂枝雀(故人)の師匠でもある。1996年に人間国宝、2002年には文化功労者に選ばれた。かたや筒井康隆といえば、SF、スラップスティック、社会風刺、そして“断筆宣言”まで、文学世界を縦横無尽に駆けめぐった大作家であり、役者であり…… 2002年に紫綬褒章まで受賞した。この二人の受賞を記念して、朝日新聞が2003年1月の紙面に対談を載せたのがきかっけで、本書が生まれたという。
 米朝は1925年(大正14)、筒井は1934年(昭和09)の生まれだから、古い話題も多い。子供時分に「これはおもろい」と夢中になった内外の喜劇人や俄(にわか)芝居の思い出がふんだんに盛り込まれている。一般に知られていない話もちらほら。たとえば、エンタツ・アチャコの「早慶戦」。
 −−バッター、打ちました!
 −−はあ、打ちましたか。
 −−バッター、一塁を回って二塁へ!
 −−はい、二塁へ。
 −−二塁を回って三塁へ!
 −−はい、三塁へ。
 −−三塁を回ってレフトへ!!
 −−えっ? なんでレフトへ行くのや!?
 −−ここらが作戦ですがな。
 これは上方漫才の父・秋田實の作とされてきたが、米朝は「アチャコさんやった」と明かしている。アチャコ本人から聞いた話だというのだから事実なのだろう。だが、著作権料は秋田氏のほうに入っていたというから話はややこしい。
 落語とSFの視点の相違も読みどころだ。たとえば「笑いの定義」について、筒井は「生理的には自我の崩壊だけど。簡単に二元論にして『楽器か武器か』という議論もできる……」と蘊蓄を披露する。対する米朝は「そら定義できまへんで(笑)」とあっさり片づける。構え方や表現方法が違っているからこそ、対談は面白い。ただ、落語とショート・ショートには意外なほど共通点があることも明らかになる。
 あまり知られていない話もある。筒井の父親が悪食ではちょっとした有名人だったそうだ。大阪市立天王寺動物園長などを歴任した父嘉隆氏は、「町人学者の博物誌」(河出書房新社、1987年01)の著作もある動物生態学者である。戦中の食糧難のさなかのこと、動物園で死んだゾウの肉が動物園関係者に配られた。竹の皮に包まれたその肉が自宅応接間に積み上げられていたのを筒井少年は目撃している。「『他の人たちが偏食しとるんだ』と言ってましたね(笑)」と筒井は父の言葉を紹介しているが、この父にしてこの子ありというエピソードである。
 江戸落語しか聴かないという人もSF嫌いの人も、とにかく読んでごらんなさい。豊かな世界にたっぷり浸かれる、いや、憑かれることになるでしょう。

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「世界の知性」は人間くさいぞ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 こいつは〈買い〉だぜ——。
 バブル華やかなりし頃、誰もがこんなセリフを口にした。この本を読んで、そんな言葉がふと脳裏をよぎった。本書は文句なく〈買い〉である。
 理由は3つ。
 その1〈知ったかぶりができる〉
 世界の知を代表する人たちが、どんな研究・執筆をしているのか。それが見事なまでにコンパクトにまとまっている。三中信宏氏の書評の下にある30人の名前をざっと眺めていただきたい。科学畑と白人男性に偏りがちではあるが、「綺羅星のごとく」という形容がふさわしい人選だ。人数が多いため一人あたりの分量は短いが、要点をおさえるには最適。半可通のイッチョ噛みにとって、頼もしいアンチョコになる。
 その2〈読みやすい〉
 30人が執筆した文章もさることながら、落語でいうところの「まくら」にあたる取材記者のインタビュー記事がなかなか侮れない。研究テーマはもちろん、経歴、近況、エピソード、仕草や口癖、世界に向ける眼差し…等々が、柔らかいタッチでつづられていることが多い。読んでいるうちに、親しみがわき、ついリラックスしてしまう。ウンベルト・エーコの章では、まるで彼とエスプレッソを飲みながら歓談しているような気分になった。英タイムズ社が派遣した記者のレベルが高かったに違いない。
 その3〈相関関係図を作れる〉
 ダニエル・デネットは相変わらずやんちゃっぽい。カール・ジェラッシ氏は漫才台本のようなダイヤログを書いてくれた。JKガルブレイス氏は老賢者の嘆き。セン氏は意外とクール。「知性」たちはみな芸達者で人間くさい。
 30人の中には、ジャンルを超えて盟友関係にあったり、同じ部門で論敵関係にある人たちもいる。かつて女性週刊誌で特集された「芸能人相関関係図」ではないが、「知性」たちが業界内でどのような立場に立っているのか手に取るように分かる。あえて攻撃的な言葉も使われている。
 さて、クイズです。
 ある講演の依頼を受けた英国の某生物学者が、米国の某生物学者と並んで壇上に立つくらいなら「フン族のアッチラ王といっしょのほうがましだ」と一蹴しました。さて、この二人は誰でしょう。
 業績の偉大さと他者への寛容さは必ずしも一致しない。これは「知」の世界だけではありませんね。

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左と右の科学

2001/05/20 12:50

詳細目次2

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しぐさの対称性にも意味がある…忘我のときのしぐさはシンメトリー
植物にとってシンメトリーとは…動物より多くの対称軸を持つ植物
アサガオのツルは左巻き?右巻き?…多くは遺伝的に左巻き、右巻きが決まっている
左脳と右脳1…脳梁の切断で左脳と右脳の違いがわかる
左脳と右脳2…1つの身体に2つの心
左脳と右脳3…左脳と右脳の特性
生物の世界で左右は伝えられるか…宇宙人も左右対称ではあると考えられるが
コラム(いろいろな対称操作1鏡映)

5章 分子の世界の左と右
分子の立体構造を探る1…平面構造の分子は鏡像体を持たない
分子の立体構造を探る2…炭素の4つの手が異なる原子団を持てば鏡像が存在する
分子の立体構造を探る3…不斉炭素原子があれば分子はキラル
dl! DL? それともRS!…グリセルアルデヒドを基準にD型・L型を設定
分子の左右で味や薬効が違う…SとRで味や香りが違うのは人体の要素も片側だからだ
人が分子レベルで裏返ってしまうと…すべての生物をつくる分子は片側に決まっている
アミノ酸とタンパク質…アミノ酸が連なってタンパク質になる
DNAと左右学1…生命の設計図を4つの暗号で保存するDNA
DNAと左右学2…RNAがアミノ酸を並べ、タンパク質をつくる
DNAと左右学3…DNAがつくるタンパク質はみな右螺旋
DNAと左右学4…偶然?必然?ヌクレオチドとアミノ酸の関係
生命の起源に迫る1…生命誕生時、左右どちらの分子を使うかが決まった
生命の起源に迫る2…地球上のすべての生物の起源は同じ
分子の世界で左右は伝えられるか…宇宙人を形づくるアミノ酸もL型であれば
コラム(いろいろな対称操作2反転)

6章 電磁気学における左と右
電子の流れが電流を生む…マイナスの電荷を持つ電子の流れが電流の正体
電気と磁気の関わり1…古くから知られていた磁石の力
電気と磁気の関わり2…電流のつくる磁界が方位磁針を動かした
右ネジの法則とフレミング左手の法則…電流は右回りの磁界をつくる
電子のスピンと磁気1…磁力の正体は電子の軌道運動とスピン
電子のスピンと磁気2…スピンは素粒子の持つ基本的な量
電子のさまざまな働き…分子をつくるにも、イオンになるにも、電子が関わる
電磁波の伝わり方…電界が磁界を生み、磁界が電界を生む
電磁気の世界で左右は伝えられるか…実は電磁気力も対称性も持っている
コラム(いろいろな対称操作3回転)

7章 ミクロの世界の左と右
原子の構造と電子配置1…電子の入り方で、元素の性質が決まる
原子の構造と電子配置2…すべてのフェルミオンはパウリの排他率に従う
レプトンとハドロン…軽い粒子レプトンと重い粒子ハドロン
クォークとレプトン1…すべてのハドロンはクォークの集まり
クォークとレプトン2…クォークとレプトンは3つの世代をなす
量子色力学1…白しか見せないクォークだが、実は3つの色を持つ
量子色力学2…クォークを結びつけるのは8つのグルーオン
自然界に働く4つの力…重力、電磁気力、強い力、弱い力が世界をつくる
標準模型と素粒子…すべては62(?)の粒子から
弱い力とβ崩壊…クォークの種類を変えたりレプトンと生み出す弱い力
パリティの保存とは…左と右、すべて変われば気づかない?
弱い力でパリティは破れる…自然は左と右を区別する!
CPTの保存とは…Pが破れ、Cが破れ、CPが破れたからにはTも破れる
ミクロの世界で左右は伝えられるか…解決した『オズマの問題』
コラム(いろいろな対称操作4回映)

8章 ミクロから再びマクロへ
不思議な粒子ニュートリノ…ニュートリノに質量はあるか?
ヒッグス粒子と粒子の質量…質量を持つのはヒッグス粒子のおかげ?
粒子と反粒子…ニュートリノはディラック?マヨナラ?
超対称性理論…フェルミオンとボソンが対をなす魅力的な理論
CP対称性の破れで物質ができた…万物の創世は対称性が破れたから

巻末付録
索引
参考文献

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