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先月(2017年8月)

こじましゅういちさんのレビュー一覧

投稿者:こじましゅういち

36 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本星を継ぐもの

2001/06/17 16:51

ホーガンSF・初期の大傑作!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ニュートリノビームの干渉によって物体を透過して観察できる装置、トライマグニスコープの発明者であるヴィクター・ハント博士は、ある日、所属する企業を介して、国連宇宙軍への召喚を受ける。宇宙軍は、月で発見した「何か」をトライマグニスコープを使って調べたいらしいのだ。そして、ハントは月で発見されたものの正体を知らされる。それは深紅の宇宙服に身を包んだ、人間の死体。そしてその死体は、なんと死後5万年の時を経ていたのだ…!

 もはやホーガンの代名詞の感すらある、その筋では超有名作品の『星を継ぐもの』。初版は1980年…ってワタシがまだ4歳の時じゃないか!でも今読んでも面白い。読んでるとホント、わくわくしてくるんだ、これが。
 話の内容はといえば、月で見つかった死体は一体何者なのか、どこから来たのかを登場人物たちが調査していく、という、本当にそれだけのお話。にもかかわらずこの本が面白いのは、他でもない、その調査の過程そのものが、なまなかの話よりはるかにエキサイティングだから。最初の手がかりは、チャーリーと名づけられたその「人間」の死体と、その装備品数点、ただそれだけ。しかし、調査にたずさわる人々は、次第にその限られた手がかりから多くの情報を引き出し始める。するうち、思いもかけぬところから新たな情報が転がり込み、その情報から、世論を沸騰させるような驚くべき結論が導き出される。その方向で行き詰まりが生じたかと思えば、全く別の方向から、それまでの研究をひっくり返すような内容の情報がもたらされ…。途切れそうな手がかりを一歩一歩追っていく過程が、本当に面白いのだ。そしてクライマックスでは、それらの謎はすべて解明…!ああたまらん。
 謎が解ける際の胸のすくような感覚が存分に味わえる本。オススメ!

 ちなみに、この作品と、続刊の『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』は、あわせて俗にガニメアン3部作と呼ばれてます。もちろん『星を継ぐもの』だけでも楽しめるけど、このシリーズは3作それぞれにおもろいのでチェックすると吉。偏屈者だけどいつもおいしいところは持っていくダンチェッカー教授が毎回いい味出してます。

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キャッチワールド

2001/07/20 18:51

タガの外れ具合が最高!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 木星で発見された結晶状生命体は、突如地球に対し攻撃を開始した。人類はかろうじて彼らを退けたが、被害は甚大だった。それから40年、報復艦隊が、彼らの本拠地と目されるアルタイルめざして出撃する。敵を殲滅せんがために…!
 …のようなあらすじを見て、わたくしは「おおっ、これは実に『燃える』シチュエーション!読んでみたい!」などと思っていたのですね。これがほんの冒頭のさわりだけをまとめたあらすじとも知らず。一筋縄ではいかない作品だとは聞いていたんだけど。んで、最近ついに入手に成功したので、読んでみた次第。
 ぶっ飛んでました。想像よりもはるかに。確かに冒頭は伝統的なスペオペみたいなものかな、と思っていたら、報復艦隊が出港するなり問題が持ち上がる。しかしここまでならまだ他にも同じような作品があるかもしれない。が、さらに追い討ちをかけるような事態が発生。ここらへんから話がどんどん取り留めのない方向へ走りはじめる。さらにまたひとつ、そしてさらにまたひとつ、そして最後に…。
 ああ、具体的な説明ができないのがもどかしい。でも、例を引いて説明したらこの話の魅力も半減してしまうし。とにかく、この本は、今まで読んできた本の中でも、タガの外れ具合が群を抜いている。こればっかりは自分の目で確かめるが吉。おもろいつまらん以前に、展開のかっ飛び度合いに感じ入ること請け合いである。もう。嗚呼素晴らしき哉、ワイドスクリーン・バロック。とにかく、入手して損はないぞ!

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紙の本未来の二つの顔

2001/06/17 17:00

人工知能の傑作はHALだけじゃない!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ダイアー博士は人工知能の世界的権威。ところが、月面基地で人工知能の思わぬ能力の飛躍による事故で人があやうく殺されかける。地球上を覆う人工知能ネット網に対する論議がまっぷたつに分かれる中で、ダイアーはある提言をし、それは実行に移される。果たして人工知能は人類の敵なのか、味方なのか。
 ああ、読んで欲しい。ここで展開される人工知能論は現実に即したもので、多分現実でも人工知能基礎として十分通用するはずだ。ハードSFだと、知識をひけらかすあまり、基本的な面白さを犠牲にしているものが多いが、この本に関してはその心配はご無用。ラストに向けて指数関数的にテンションが上がっていく。そしてとどめにラストが……美しい。ビジュアル的な美しさという意味ではない。人工知能ものならかくあるべしという最高のラスト。発表された時期は多少古いが、古びていない。読めぇぇ!

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ラストの怒涛の展開まで目を離すな!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ポール・スコグルンドは、幼いときから、意味のない動きをしてしまう運動チックや汚言症といった症状を伴うトゥレット症候群を患っていた。そのおかげで、職と妻を失い、今は同棲しているガールフレンドのライアの稼ぎでかろうじて生活している状態。そんな彼の元に、叔母のヴィヴィアンからの奇妙な依頼が舞い込む。彼女の所有するニューヨーク郊外の邸宅が何物かに破壊されたので、ポールの大工としての腕を見込んで、その修理をしてほしいというのだ。生活に窮するポールは依頼を引き受けるが、邸内に足を踏み入れたポールが見たのは、その常軌を逸した内部の破壊のさまだった。一方、ルイスボロ分署のモーガン・フォード刑事は、相次ぐ若者の失踪事件を調査していくうちに、事件と破壊された邸宅とのつながりに気づき始めた…。
 サブタイトルの仰々しさはさておき、結論から言うと、かなりアタリ。最近モダンホラー系をあまり読んでなかったせいもあるかもしれないけど、それを差っ引いても、なかなかの作品だと思うぞ。普通、こういう作品の場合、アイデアの勢いとかで押せ押せになる傾向が強いけど、この作品は、そういったものに寄りかかることなく、普段の展開から、きちんと話を積み上げてきているように思える。いや、勢いで押せ押せの作品もそれはそれで味があっていいんだけど、こういう作品はやっぱり安心して読めますですね。
 しかし、嬉しいのは、きちんとケレン味を出すべきところは出してくれてるということ。クライマックスではしっかり一発派手にかましているのが、こちらとしては嬉しい限り。「ポールと犯人との対決のときが迫る!」って、ラストは本当に対決だからなぁ。鍵は脳関係の理論「ハイパーキネシス」「ハイパーダイナミズム」。実際にあるんじゃなかろかと思わされるような荒唐無稽さがたまんないッス。それに、キャラも結構立ってるしね。わたしゃ銃を持つなりカッコよさが5割増(当社比)のモーガン刑事がすき。それに、トゥレット症候群に悩まされながらも謎に立ち向かっていくポールや、立派な恋人ライアなど、この点でも安心して読んでいけます。
 今まで読んできたモダンホラー系の作品の中でも、ワタシ的にはかなり上位に食い込んできたぞこの作品は。ダニエル・ヘクト、この名前は覚えておかにゃならんね。この類の作品が好きなら、迷わずオススメ印の作品だ!

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海魔の深淵

2001/07/20 18:39

戦う自律兵器を扱った隠れた傑作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 核戦争は終わった。しかし、南氷洋には、その戦争の落し子が今なお潜んでいた。
 クラック。完璧な性能を誇る自動兵器要塞群である。これがもし再起動すれば、人間の手の届かぬところで全面核戦争が再開してしまう。各国は協力して要塞の武装解除に挑むが、ついにその一つが起動してしまった!もはや余力も少ない人間に残された最後の切り札は、小型サイボーグ潜水艇<デーモン−4>。極寒の南氷洋で、人類の命運をかけた武装解除作戦が開始される……。

 デイウィッド・メイス「海魔の深淵」は、戦闘メカ好きならば是非押さえておきたい逸品。
 人類の武装解除作戦の対象となる<クラック−1>は、物語の冒頭から、その悪魔的な性能を十分に誇示してくれる。光も届かぬ深海に設置された<クラック>は、それぞれが戦闘能力を有する防御サテライト6基を備えた、半径40キロの防御周界をベースに、中枢部から半径1000キロに及ぶ迎撃射程をもち、そこに侵入する敵は陸海空問わず迎撃する能力を持つ。また、機能解除中に、戦闘行為を関知するなどすると、要塞はフェイルセイフ指令下に入り、全抑止項目は消失、接近するものは敵味方問わず破壊し、また、プログラムに従い、限定地域に核攻撃を開始するという、難攻不落の戦闘要塞。
 対する<デーモン−4>は、水の中でもほぼ無音で潜行し続けることを目的にしたボディを持つ、最新自由意思型ロボット戦闘体・深海航行多機能型巡航艇。戦闘能力は大型の潜水艦にも匹敵する。その中枢部、CYVOCユニットには…。
 全自動で迎撃を行う、強大な戦闘力を持った要塞と、死してなおロボット戦闘体として生きる<デーモン>、その対決の結末や如何に…。

 久々にいい本を読ませてもらった。アイデア、構成、どれをとっても水準以上の出来。デーモン、かっこいいっす。SF、軍事もの、海洋冒険もの、どのように読んでもきっと満足してもらえるだろう。後は読んで確かめてほしい。損はさせないはずだ。読み終わった後で、もっと読みたいなんて感じたのは久しぶり。お薦め!

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リバティ・ランドの鐘

2001/06/17 17:04

ロボットとメルヘンにあふれた名作

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 リバティ・ランド。それは直径6500メートルの球形宇宙コロニーにして、800万体のロボット・アニマトロイドが作り出す夢と魔法とノスタルジーあふれる巨大遊園地だ。彼らは惑星から惑星へと渡り歩き、各惑星の衛星軌道上にとどまって、その惑星の人々に素晴らしい娯楽を提供する。リバティ・ランドはそうして長年にわたって、人々に夢を与え続けてきた。
 しかし、リバティ・ランドが惑星チェスナットの衛星軌道で営業中に、開園以来の危機に見舞われた。各惑星を次々とその隷属下におさめている恐怖の軍事組織ナパージの、チェスナット侵攻に巻き込まれてしまったのだ。巨大ロボット兵器・パンツァーヘムトを擁する相手に、観光客2千人を抱えたまま孤立してしまったリバティ・ランド。だが、その危機に対して立ち上がったのは、なんと普段はアトラクションで活躍中のアニマトロイドたち!敵の強大な軍事力に対して、娯楽目的で作られた民生ロボットで立ち向かうリバティ・ランドの運命は…!

 めっちゃアタリっす、この本。
 そりゃアンタ、米軍タクティカルアーマー師団VSディズニーランドみたいなことをやらかして、こりゃ先が見えてるぞと思いきや、ディズニーランドが知力を振り絞って米軍をきりきりまいさせてたら、そりゃ面白くないはずはなかろうて。そう、アニマトロイドは、戦闘能力ゼロにも関わらず、孤立した観光客…人間のために力の限りに戦うのである。普段はユーモラスな姿を辺りに振りまいているアニマトロイドが、いかな策略でナパージと戦うか、それは読んでのお楽しみ。しかし、それは消耗戦。ミッキーやグーフィーがバタバタ死んでいくぅ!人間のために笑って次々と壊されていくロボットたちには落涙を禁じ得ないのだった。ミケルとアランの最後のやりとりは、この話における人間とロボットとの関係を端的に表してる。ベタのような気もするが、ぐっときちゃうんだな、これが。
 それでいながら、根底に流れてるのはやっぱり夢と魔法とノスタルジー、というのがなんとも…いいねぇ。冒頭のアロンゾ騎士団から始まって、戦う理由、ロボットの夢、人の夢…ラストはもういうことなし。要所要所でもしっかりツボを押さえてくれてるし。いい話。

 これは名作と言っていいほどのアタリ作品。メカ描写にもけっこう力がこもってるしね。なんだか妙に軟弱な表紙に騙されないように。迷うことなく買い、だ!

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ドラキュラ紀元

2001/06/17 16:35

逆転の発送が見事!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 久しぶりにいい本読んだなぁ、まったく。この小説は基本的には「吸血鬼ドラキュラ」の続編ですが、柳の下のどじょうに留まっていない。久しぶりに時間を忘れて読んだよ、全く。逆転の発想が見事。何が逆転かって?それはね……。

 ヴァン・ヘルシング教授(「吸血鬼ドラキュラ」の主人公の一人)は敗れた。ドラキュラはイギリスに乗り込み、吸血鬼はついにイギリス全土を征服した!英国人は次々と吸血鬼に転化させられていく。だがその治政下、吸血鬼の娼婦ばかりが惨殺されるという事件が発生。闇内閣<ディオゲネス・クラブ>のエージェント、ボウルガードは命を受けて連続殺人犯<切り裂きジャック>の追跡に乗り出す。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼、外見は16歳だが実年齢は400歳以上の少女ジュヌヴィエーヴもまたこの事件に巻き込まれていく……。

 舞台にした時代柄か、作者の作柄なのか、はたまた訳がいいのか、なんというか、この本は雰囲気が上品だ。また、この小説の大きな特徴として、登場人物の実に95%が実在の人物、またはこの時代を舞台にした有名無名の小説の登場人物だということがあげられるが、そうした人物たちにも、本当にその時代に生きていたような独特の存在感がある。興味があれば、その元ネタをたどって、原作との違いを知るのも楽しい。また、切り裂きジャックに興味のある人は、それがこの小説上でどのように調理されているか見るのもいい。推理小説のような上質のストーリーを追うも良し。ロマンスに酔うも良し。巻末の登場人物辞典はそれだけで読ませる。ボウルガードかっこいい、ジュヌヴィエーヴかわいい、きゃー、もまた、良し。こういう系統が好きなら、絶対に損はさせないぞ!

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サターン・デッドヒート

2001/06/11 23:37

土星をまたにかけたハードSFの大傑作!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 僕はこの作品を深く深く、ン年に1度のクリティカルヒット級に気に入ってしまってます。いいぞ、これは。

 スペースコロニーと地球が経済的な原因などで反目しつつある中、土星の衛星イアペトゥスで、異星人の遺物とおぼしき謎の六角形体が発見された。分析と解読の結果、その遺物を残した異星人は、さらに同じような物体を土星近傍に残しており、その内容が、異星人が土星に残した「贈り物」の在処を指し示していることがわかった!それを手に入れれば、経済的に相手の遙か先まで進めるかもしれない。スペースコロニー側は、遺物の解読に携わった考古学者クリアスを土星に派遣。一方、地球側も負けじと宇宙船を繰り出した…。

 実は裏表紙のあらすじほど派手な話ではないので、その類のアクション風作品を期待していたりすると見事にスカるだろうが、少しでもハードSF系の作品を読みつけているのなら、最初の数ページ読めばそこらへんはすぐにわかるはず。しかし、ウィットの効いた語り口が、ともすればうざったくなるほど堅くなりがちなハードSF的展開を楽しく読ませてくれる。まずこれがいいんだ、この本は。最近読んだ本はこういう語り口の作品が少なかったからなあ。わたし、個人的には、この時点で既に合格点出してます。
 で、内容はといえば、これが良くできた土星漫遊記。細かい点にまで気を配った描写が、物語に深みを与えるのに一役買っている。僕は、主人公が初めて土星を近距離から眺めたときのやりとりが好き。それから、意外なことに、この本は主人公クリアス・ホワイトディンプルの成長記としても読めるのだ。象牙の塔で暮らしてきた学者先生がインディ・ジョーンズに変わっていく過程。ちょっとできすぎかな、とも思えるが、十分けれん味として許容できる範囲内。うん。それよりなにより、この本のラストのエピソードは、SF史上屈指の名エピソードである。「ちっぽけなブリキ缶」に何ができるか見るがいい!この部分、わたしゃもう何度読んだかわからないくらい読んだが、いまだに手に汗握らされる。最高である。
 それから、早老の天才児、ジュニア・バディルを忘れちゃならん。これがまたいい味だしてるんだ。

 本当に久しぶりに、のめり込んで、笑って、手に汗握って、おまけにちょっとホロリとさせてくれるいい本を読みました。このジャンルは人を選ぶというのは重々承知だけど、もしこの類の作品に抵抗がなくて、手に入れる機会があったなら、私の最大級の讃辞とともにおすすめします。「買え!」

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紙の本巨人たちの星

2001/06/11 23:32

ガニメアン3部作の完結編に相応しい逸品

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 冥王星の彼方から、再びガニメアンからとおぼしき通信が届き始めた。ところが、通信はなんと地球側の標準データ転送コードを使用しており、文は英語だったのだ。意味するところはただ一つ。地球は遥か昔から監視されている…!通信元は宇宙の彼方のジャイアンツ・スターに移住したガニメアンの末裔。しかし何かがおかしい。権謀術数とは無縁なはずのガニメアンが何かを隠しているようなのだ。さらに、通信内容は現実の状況とはかけ離れた認識を示していた。やがて明らかになる陰謀とは…。

 『星を継ぐもの』、『ガニメデの優しい巨人』と続いてきたガニメアン3部作の完結編。完結編だけあって、お話はもう山あり谷ありの面白さ。のっけから権謀術数渦巻きまくり。地球を監視してきた謎の監視機構の目をくぐって極秘裏にコンタクトしてきたガニメアンの一派、コンタクトする人類側も一枚岩ではなく、状況は地球から旅立った<シャピアロン>号のガニメアンすら巻き込んで動き出す。ガニメアン、人類双方の間で暗躍してきた謎の地球監視機構の正体とは?展開が次から次へとダイナミックに動いていくので飽きさせません。人類側もアメリカ、ソビエトの頃の話なのでいろいろ複雑だし。でも、ペイシーとソブロスキンのくだりはいいよなぁ。「君は一敗地にまみれたといったね。それは違う!」のシーンは思わず泣きが入る。
 しかし、この作品の醍醐味といったら、何と言っても後半の「架空戦争」でしょう。遂に牙をむいた敵の擁する戦力は、地球を滅ぼすことすらできる大艦隊。かたやガニメアン・地球人にあるのは、なんと丸腰の<シャピアロン>号が一隻のみ。ところがどっこい、ガニメアン・地球人連合は、知恵と勇気とハッタリだけで敵に立ち向かってしまうのだ。もうだめかと思われた絶対的劣勢から一気に大逆転!いやはや、痛快無比とはまさにこのこと!

 いろんな要素をまとめて大団円になだれ込む、完結編にふさわしい逸品。これだからガニメアン3部作はやめられない。大のオススメだ!

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紙の本順列都市 上

2001/06/17 16:07

目くるめくアイデアに幻惑される

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 記憶や人格などをコンピュータの中に転写することができるようになった近未来、金を持つ富豪たちは、自らをそのソフトウェア化された人格<コピー>とし、コンピュータが停止しない限りは死なない存在として第2の生を送っていた。だが、その<コピー>たちに対し、たとえ宇宙が終わろうとも永遠に生き続けられると説く男、ポール・ダラムが現れた。<コピー>を走らせているコンピュータはいつかは壊れる。そうなる前に、<コピー>に対する排斥運動が発生して、彼らを駆逐してしまうかもしれない。そういった問題を全て解決できるというこの男は、一体どのような手段を用意したというのか?
 一方、現実世界の物理的な構造を単純化したシミュレーション世界、オートヴァースにおいて、菌類の突然変異を起こさせることに成功したソフトウェアデザイナー、マリア・デルカは、ポールから接触を受ける。オートヴァースの物理法則に基づいた、生命を発生しうる惑星の設計を依頼されたのだ。地球に存在するハードウェアの全てを合わせた能力をも上回るプログラムの作成を依頼する意図とは…。

 イーガンの邦訳2作目。そろそろこの人の作風も見えてきましたですね。とにかくアイデア勝負。奇想天外なアイデアをどどーんとぶっておいて、そのアイデアの勢いで話を一気に組み立てていく、といった感じ。それは『宇宙消失』では量子論だし、今回は作中で「塵理論」と呼ばれる並行世界解釈から生まれる、とんでもない不死の実現方法だったりする。やっぱ、個人的には、アイデアのほうが前に出てくる話は好きだし、最近はハードSFとかでも物語重視の作品が多くて、アイデアで勝負してくれる作品ってのはなかなかないからなぁ。
 だから、この作品を読むときの姿勢としては、ストーリーのほうは、極端な話、あくまでもアイデアを見せていくための道具、と思いながら読むのが良いのではないかと。実は塵理論とオートヴァースは直接の関係はなかったりするし(オートヴァースが必要な理由。いいんか?それで本当にいいんか?)、相変わらず最後のほうは駆け足っぽい感じで終わっちゃうし。でも、やっぱり個々のネタが面白いから許せちゃうんだよなぁ。
 ともかく、読んだぶん思いっきり楽しませていただいたので満足満足。めくるめくアイデアに幻惑されたい人に。でも、幻惑されすぎないように気をつけたほうがいいかも。塵理論のアイデアが重点的に書かれている下巻の頭のほうを何度も読んだけど、まだ塵理論が理解できたかどうか確信がないッス(笑)。

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紙の本降伏の儀式 上

2001/07/20 18:58

人類は反撃する。一山いくらの大安売りの核攻撃で。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 わーっはっはっは。(どちらかといえばいい意味で)バカSFだあ。
 なんつーか、やっぱ肉食って育ったひとたちはちがうなあ、と思わずにはいられない本。東西対立、冷戦のさなかに書かれたという背景をさっぴいても、とにかく「強いアメリカ・力の論理」が全開。要するにこの本は宇宙人侵略ものの話なのだが、ソ連側の描写なんぞ、ホーガンでもここまで正面切っては書かんぞ、と思えるくらい官僚主義風だし、核爆発は一山いくらの大安売り。この本を読んだ後なら、「インデペンデンス・デイ」のラストでのランディ・クエイドの特攻も、なんかさもありなんと納得してしまう。ラストでもその印象は強い。お互いに銃を突きつけあったら、何があろうと、相手が銃をおろすまでは譲歩しない、どうしてもおろさなければ撃たれる前に撃つまでだ、というわけですね。
 さりとて、そんなある種脳天気とさえ言える雰囲気のおかげで、こっちは小難しいことを考えずに単純に楽しんで読めるわけで。とりわけ気に入ったのが、人類の切り札である迎撃用兵器<大天使>。冗談としか思えない推進法で宇宙に飛び出し、宇宙人の母艦と戦う。これから読む人たちのお楽しみのためにネタばらしは避けるが、こいつの推進法はマジで笑える。少なくとも、日本人には考えることあたわざる方法ではある。それから、この本に登場する宇宙人。「インデペンデンス・デイ」のエイリアンみたいなのを想像していたら、あれだもんなあ。意表を突く姿であることは間違いない。それにこいつら、やってることは結構えげつないのに、それでも「こいつら、本気で地球を侵略する気あるのか」と思わずにはいられない、妙な味を持った連中でもあります。
 うん。というわけで、テイストとしてはまさに「インデペンデンス・デイ」の原点!といった感じ。個人的には、ひどい目に遭っている割には、宇宙からの災厄によってぼろぼろになった人類、という感じがいまいち希薄なのが気になるが、まあいいっしょ。一気に楽しんで読み通すのが吉。

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こんどはさながらパニック映画!

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 それはタイタン・リゾート社に届けられた手紙から始まった。文面はただ一言…「カメレオンは誰を狙っているのかな?」

 ≪TOKYO I.E.C.≫の治安協力士…九条隼人が選んだ、今度の獲物は大物だった。カメレオン・ザイオン。誰一人素顔を知らぬ謎の殺し屋だ。カメレオン・ザイオンの足取りを追って、オープンしたばかりの最新高級海底リゾート「ポセイドン海殿」へと、恋人の劉美花と共に(美花のコネで)やってきた九条。しかし、カメレオンの足跡は杳として掴めない。しかもそこに発生する異常事態。突如として海底の牢獄と化すポセイドン海殿。全てはある人間の陰謀だったのだ。逆境に追い込まれるほど燃える、ヘラクレスの活躍が再び始まった!

 待望の、爆炎は巻き起こるわ車は空飛ぶわ泣くわわめくわ呪われるわの度肝抜くノンストップ大活劇『アーバン・ヘラクレス』の続編。前作が鼻血の出るほど燃えまくるアクション映画だとするなら、今回の作品は緊迫感あふれるパニック映画。まぁポセイドンでアドベンチャーだからな!まるで「九条隼人vs無茶シチュエーション・百番勝負」のようだった前作と比べてしまうとやや大人しめですが、今回ノンストップなのは九条隼人ではなく舞台の方なので差し引きゼロ。九条隼人だけでなく、今回は懐かしの前作メンバー、ジョセフィン・狩野や峰岸警部補の視点でも物語が進むのもなかなかグゥ。
 でも読んでる最中は難しいこと考えずに、九条隼人のヘラクレスな活躍に胸躍らせてればいいわけで。相変わらず無茶すべきところでは無茶しまくってます。今回の九条隼人は危機に陥るごとに「こんなこともあろうかと」とか言いながら(言ってない)次々と秘密道具を取り出してピンチを切り抜けるので、それを見ているだけでも飽きないです。ラストはえらいことになったポセイドン海殿を、さらにえらい方法で切り抜けようとするし。そしてもはや高いところから落ちるのはお約束。でも恋人の危機には取り乱しまくる九条。っていうか取り乱しすぎ。
 あ、あと今回は、謎の殺し屋カメレオン・ザイオンがいい味出してますね。でこぼこコンビっぷりがたまりません。ラストのザイオンvs九条の銃突きつけあいもGOOD。九条の賞金稼ぎとしての意地があればこそ、このシーンも引き立つってもんですね。このシーンに限らず、ラストの九条は男前だなぁ。治安協力士IDをぴっと見せて「ヘラクレスさ」。かっちょええ〜。

 というわけで、ワタシの一押しシリーズとなりつつあるアーバン・ヘラクレスシリーズの2作目も、ばっちり楽しい作品でしたとさ。前作と比べるとやっぱり勢いに差が見えてしまうかもしれないけど、これは好みによるでしょう。こういう話が好きならオススメ!

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ホログラム街の女

2001/06/17 16:54

実はハートウォーミングな一品

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 ウィルスンは今までホラー畑で有名だっただけに、ハヤカワの青い背表紙に「F・ポール・ウィルスン」って書いてあると、なんだか物凄く違和感があるな。表紙絵を見ると、さらに違和感倍増。なんか今までのウィルスンのイメージとちゃうぞ。「ホログラム街の女」。ハヤカワミステリの棚に並んでてもおかしくなさげなタイトル。うむむ。大丈夫か…?
 …と思っていたら、今までの作風とは違うのはその通りだけど、意外や意外、こっち方面でもなかなかの作品でした。
 この本の内容を一言で要約するのなら、「ちょっといい話」になるのでしょうか。第1部最後の主人公の粋な計らいとか、第2部での、主人公と<落し子>の少年との交流とか、第3部の展開とか。第1部では、シリアスでちょっとエグいパーネル・ホールな感じの、典型的な近未来ハードボイルドだなぁ、と思っていたら、次第に頭角を現してくるハートウォーミングな描写。第3部、もうハードボイルドちゃうぞ。
 でも、それはそれ、これはこれ。これがまたいいんだ。この本、読後感はいい。すごく。考えてみれば、こういう爽快な大団円を迎える本って、久しぶりに読んだ気がする。「造物主の掟」(群衆がみんなでハッピー)やディックの「いたずらの問題」(マスメディア関連ってことで)など、いろいろと思い出してしまいましたよ。第3部はもうちょっと書き込んでもいいような気もしたけど、それでも、やっぱいいわ、こういうポジティブな終わり方は。
 小道具のなかでは、やっぱり第2部の分子ワイヤが光ってる。第2部は、こいつのおかげで掴みがバッチリですな。笑えるよなぁ。痛そうだけど。あと、第1部の後半に出てくる護身用武器のザッパー、あれって、読んだ人全員、絶対同じこと連想すると思うぞ。マジンガー。
 表紙絵やあらすじを見て、徹頭徹尾硬派なハードボイルドを期待していると揚げ足取られるけど、その辺りをさっ引いても面白い本。読みやすいからすいすい読めるし。おすすめ。

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タイムトラベル冒険小説

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 1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。ナチス・ドイツがヨーロッパはおろかアジアやアフリカ、南アメリカまでも支配下においたのだ。もはやアメリカに残された手段は一つだけ…それがプロテウス作戦だ。選りすぐりの工作隊を過去に送り込み、歴史の進路をねじ曲げて、ナチスの野望を未然に叩き潰すのだ!過去に送り込まれたプロテウス部隊は即座に行動を開始するが、やがて予想だにしなかった困難が…そして、歴史の裏で暗躍する謎の組織<オーバーロード>の影が…。

 「プロテウス・オペレーション」はタイムトラベルによる第2次世界大戦の改変もの。ただし、それによって起こる事件の描写が非常に真に迫っている。ストーリーが極めて良くできている(と思う)ので、とっぴなSFはイヤという人もたっぷり楽しめるでしょう。このあたりから、ホーガンの作風に変化が出てきているような気がするが、第2時世界大戦という世相柄、その辺はまだあまり気にならない。ラストが静かに感動。泣かせる。

 この辺りから、ホーガンの作品は政治色が濃くなってくる。人によってはその辺りが受け付けない部分もあるかもしれないけど、ワタシがそれさえも目をつぶる気にさせられるのは、やっぱり、話の節目節目の盛り上げ方が上手いからだろうなぁ。作中の表現を借りれば、「あらゆる希望が一方の手の中でひと吹きの煙と共に消滅し、そのあと何か他のものがもう一方の手の中に隠れている」といったあんばい。特に下巻で中心となる、ナチスの<帰還門>の破壊作戦に向かう<アンパーサンド部隊>の活躍には手に汗握るぞ。それに、個人的には、下巻3分の1くらいがたっぷりエピローグとして盛り上げ部分に徹してるのがすき。いい作品だと思うですよ。

 あと、この表紙のナチの<帰還門>のイラスト最高ね。かっこいいなぁ。

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触手 上

2001/06/17 16:30

未知の力が人々を翻弄する

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 ダ・タイ・バオ。古来より伝わる奇跡の癒しの力。いかなる万病も、その力を持つ人間が触れただけでたちどころに癒えてしまう。しかし、そのような力を得た人間は、どんな生活を送ることになるのか。しかも、その力を使うたびに代償を払うことになっていたら…。
 いわゆる「ナイトワールド・シリーズ」に属する作品。ナイトワールド・シリーズは単純な正邪対決のエンターテイメントかと思っていたけど、こんな感じの作品もあるとは。おもわず、「アルジャーノンに花束を」を初めて読んだときのことを思い出しましたよ。内容はほとんど似てないけど、印象が似てる。異形の力を得てしまった人の戸惑いや、排斥にあう悲しみなどが。しかも、ダ・タイ・バオ自体が人々を翻弄しているかのように感じられてくるのだから凄い。最後なんぞ怖くすらある。本当に力に操られてるだけといった感じ。しかもしかもラストの一ひねりが効いてるね。単純なハッピーエンドかと思いきや、これが…。
 というわけで、「触手(タッチ)」、かなりおすすめです。F・ポール・ウィルスン、こんな本でもエンターテイメント魂も忘れておりません。楽しんで読めます。よむべし。

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