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先月(2017年6月)

よっちゃんさんのレビュー一覧

投稿者:よっちゃん

1 件中 1 件~ 1 件を表示

ミスティック・リバー

2001/11/18 19:49

自己の行動原理に固執する群像

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 デニス・ルヘイン「ミスティック・リバー」は、三人の登場人物の三代に渡る悲惨な物語である。残酷な物語である。現代アメリカ社会の底辺に近い(と思われる)生活環境に生まれた11歳の遊び仲間三人。その一人が遊びの最中、男たちに誘拐され、性的幼児虐待をうける。この事件は、誘拐の現場で、なすすべなく逃げ帰った二人も含め、彼らの心に消えることのない深い傷を与えた。そして25年後それぞれの人生を送る彼らであったが、一人が最愛の娘を惨殺される。一人は加害者と思われる。もう一人はこの殺人事件の捜査官となる。
 追うもの追われるもの復讐を誓うもの、その家族たちのあまりにも深い心の闇、そこにある煮えたぎる暗い情念には鬼気迫るものがあった。
 登場人物の感情の起伏には、それは時には家族への愛であり、自分自身への憤怒であり、敵対するものへの憎悪であるのだが、彼らの成長過程の詳述と緻密な心理描写によって、読むものの心を強烈に揺さぶるものがある。各所で生理的な共感を覚えた。
 ただし、この物語の人々には、あるいはアメリカの根底には社会規範、倫理、あるいは神、つまり人間が生活していくのに共通するモノサシは存在していないと断定するノワールな現実があるのかと思うとぞっとする。どうやら「存在」という認識がそもそもないのだから、これを「否定」する面倒な論理もそこにはない、そんな状況のようである。「人々が、ただやりたかったといった程度の理由で強姦し、盗み、殺しあうのを見て夜を過ごすうちに、人が罪を犯す動機について(奥さんと友達が)夜通し語り合うのにある日突然耐えられなくなった」。社会とはかかわりのない自分だけの行動原理があってそれを声高に主張し、忠実に従う。「ある人たちが神やナスダックや『世界をつなぐインターネット』を信じているように、彼も自分のことを信じているように思えた」。神は信じなくてもナスダックは信仰しているのがアメリカと思っていたが、神もインターネットも一括りにして信じるものを放棄し、自分だけで構築した行動原理に執着する。いやだな、日本でもそんな人種が増えるのだろうか。

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