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先月(2017年8月)

セロリさんのレビュー一覧

投稿者:セロリ

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本風立ちぬ

2001/11/04 04:08

衝撃的な近代性

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 最初に読んだときには、少し衝撃を受け、自分の無知を恥じた。日本にこんな小説を書ける作家がいたことを、知らなかったからだ。淡い恋愛を主題にしているが、ストーリーが面白いわけではない。ただ、心理描写が深く、美しいのだ。伝統的な日本の小説にはない、完全な自我の意識を基礎にして構成されており、ふと、風景や外観こそ、日本的だが、本質的にはフランスの近代心理小説ではないかと感じさせられた。短い短編小説で、簡単に読み通せ、読後感は、爽やかな秋風、といった風情だが、その作風の近代性には、心底、驚かされるものがあった。

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2001/11/04 03:47

戦前の農村社会を描いた自然主義文学の傑作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 内容は、関東近辺の小作農家の夫婦の日常生活です。そう申し上げただけで、土俗的で、伝統的な内容だと思われるかもしれませんが、主人公の日常生活を情緒的に描いた私小説とは、小説の描写方法が異なっています。その方法は、貧しい小作農夫婦の生活を、同情を込めて、悲劇的に描くというものではなく、著者の個人的な感想を全く語らず、描かれている登場人物の行動やその心理を冷静に描くことに徹しています。ですので、読み終えても、この夫婦の悲惨な結末を悲劇として同情するというより、そこに描かれている世界観とのあまりの違いに、不可解な気持ちにさせられるものでした。
 それは、まるで、モーパッサンの小説の冷静さでした。対象と距離を置き、冷静に分析することをその使命とした自然主義文学の方法を感じさせられたのです。ですので、この小説は、良く高校生向けに薦められるのですが、当時は、面白いと感じられませんでした。血湧き、肉踊るという要素がないからです。しかし、年齢を重ねてもそこに描かれた世界観の違いは、忘れられませんでした。あまりにも現代社会とは異なった世界だからです。こんな悲惨な状況や結末を、なぜ我慢できるのだろうかという疑問が、付きまとったのです。
 この小説を、芥川竜之介が絶賛したという話を聞いて、少し意外でした。彼の緻密に構成され、起承転結のはっきりした面白い小説とは、全く逆方向の内容だったからです。しかし、今にして思えば、その理由が少し理解できたような気がします。竜之介の小説が、彼の生きた時代とは無関係に、警句的な内容になる傾向が多かったのに対し、この小説は、現実と真正面から向かい合って、その時代を生きようとしているからです。
 最後に、この小説から受ける冷静さと冷淡さを勘違いしないでください。これほど冷静な描写を可能にした背景には、描かれた人々に対する強い愛着が存在しているはずだからです。

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