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先月(2017年5月)

佐々木力さんのレビュー一覧

投稿者:佐々木力

1 件中 1 件~ 1 件を表示

西欧近代理解にヒューマニズム的前奏の重要性を持ち込む

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「モダンだ」、「ポストモダンだ」といった議論が盛んになったのは1970年代以降のことだ。そして1980年代になって「ポストモダン」を唱えなければ人にあらずといった風潮になったことは記憶に新しい。21世紀に入って、さすがに「ポストモダニズム」の軽薄さを支持する人は少なくなったが、依然として、どのように「モダン」すなわち「近代」を理解するかは重要な未解決問題として、われわれのもとに提起されたままである。
 本書の著者は、これまで支配的であった、デカルトやガリレオといった近代自然科学を創造した思想家たちの登場をもって近代と定義する考えに対して異議を唱えている。そして、それ以前の、たとえばモンテーニュやシェークスピアといったルネサンス人文主義者の叡智を復権させ、そのような思想家が切り開いていった近代の遺産をこそ継承することを呼びかけている。このような所説のゆえに、著者は「ネオ・プレ・モダン主義者」というように呼ばれた、と日本語版への序文は教えている。著者は、このように問題提起するだけではなく、どうしてデカルトの提示したような極度に厳格な確実性の探求が哲学的課題になったのかを、たとえば三十年戦争といった悲惨な宗教戦争を背景にして理解しようとしている。このように哲学と歴史的考察が結合しているのにも好感がもてる。
 著者が提起している問題は極めて重要である。著者のトゥールミンは科学哲学の世界では著名な人で、トーマス・S・クーン(私の師だ)らとともに、科学を歴史的背景とともに再考することの重要性を訴えた論者であった。その彼が近代という時代の定義の全面的な見直しを提案しているわけである。本書の続編として、著者は『理性への帰還』という著書をも2001年にハーヴァード大学出版局から刊行している。未だ邦訳はないが、「理性」を、デカルトのように「ハード」ではなく、いわば「ソフト」に解釈し直して、実り多い思索を呼びかけている。本書ともども、科学哲学の専門家だけではなく、一般の読書人にも一読をぜひ勧めたい。 (bk1ブックナビゲーター:佐々木力/東京大学教授)

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