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橋本光恵さんのレビュー一覧

投稿者:橋本光恵

4 件中 1 件~ 4 件を表示

炎の馬と氷の馬

2003/02/21 18:08

“炎の馬”を追い求めて旅する少年リーヨと少女エマの幻想美溢れる冒険物語

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 北欧のスフィンクスといわれたハリウッドの伝説的なスター、グレタ・ガルボは、日本では『アンナ・カレーニナ』『椿姫』等の1930年代の作品で有名だが、真の魅力は1920年代、ガルボ20代のサイレント作品において発揮されていたのだ。なかなか見られないそれら未公開の20年代の傑作を5本も集めて一気に上映してくれたのが、80年代にパルコで開催された「ガルボ映画祭」だった。この画期的な大イヴェントを情熱をもって担当していたのが、パルコに勤めていた本書の作者である。フランス文学科卒業の作者は、この頃からどこか現実離れした夢多い人で、「ガルボ映画祭」に愛を持ってのめり込んでいて、その姿に当時映画雑誌の編集をしていたガルボ狂の私も、一役買いたいと思ったものだ。
 その後、彼はレーザーディスク関係の仕事をしながら趣味で何冊か小説を書き、その都度読ませてもらったが、独特の世界観があり、非凡なものを感じさせていた。やがて、『三人の王子さまと三つの部屋』で、第3回ストーリーゲートオーディション文章部門優秀賞を受賞し、彼は本格的に童話の世界に入っていったのである。
 物語は、孤児の少年リーヨと旅の途中で知り合った女の子エマの冒険譚。炎の馬を追い求めて、苦難を乗り越えながら勇敢に旅する二人の強い愛の物語でもある。氷の馬や氷の川は、オーロラのようなブルー。ロマンティシズム溢れるその幻想的な色彩感覚や登場する魔法使いや立派な宮殿等は、あたかも北欧のイメージ。私の中では、どこかでガルボと結びつく……。
 作品を通して、今は三児の父となり、その子供たちのために童話を綴っているという作者の半生を感じ取るというのも、読書という魔力の賜物。作家であれ、アーティストであれ、芸人であれ、日常を送りながら非現実を生きている夢見る人、虚実の境界線のない人に、私はどうも惹かれる傾向にあるようだ。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/評論家)

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30人の各界著名人が選んだ思い入れ深い邦洋画5本ずつ、計300本+30本。各人の人生観が反映された短評付

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 映画に何を求めるかは、見る人の数だけ異なるだろう。それほどに主観的なもので、映画を論ずるということは、書き手自身を語ることになる。読む方はだから、書き手に個性を求める。そんな意味で、ここに登場する30人のゲストたちは皆個性の塊のような人物ばかりで、語られる330本の映画はまるで鏡のように彼ら彼女(女性がスタイリストの原由美子一人というのは寂しい)の人格、生き方までを映し出していて、30の個人史を読むようだ。オーバーに感じられるかもしれないが、映画雑誌の編集を長くやっている経験上、その人がどんな映画が好きで、どうしてその映画が好きなのかを聞けば、ある程度のその人生観がわかるのである——。

 まず、それぞれの専門分野に合った選択をしているのが興味深い。脚本家の山田太一は「面白うてやがて哀しき人間どもをキビしくかつ温かく描いている」ような『月の輝く夜に』や大庭秀雄監督の『帰郷』等セリフに味のある作品を、画家の横尾忠則は画家のキリコを例に出して黒澤明やフェリーニ等の巨匠作品を挙げ、「悩んで迷って、混乱を混乱のまま提出する。そこに芸術家の真実の姿が見える」と自己を投影し、アニメ作家の久里洋二は「純粋に“美”のセンスだけで勝負してほしい」と、ヒューマニズムを吹聴するディズニーアニメよりもチェコの作家カレル・ゼーマン作品を擁護する。プロ野球解説者の豊田泰光は「映画も野球も観客の夢が実現されるフィールドというところが共通する」と語り、さらに「敗者たちの人生の掛け替えなさも謳いあげていて泣かせる」と、万年3Aの選手を描いた『さよならゲーム』を選択。自動車評論家の徳大寺有恒は「洋画への憧憬はスタアだけじゃなくてクルマの恰好良さにもある」と、名車が続々登場した『スピードに命を賭ける男』を25回も見て台詞も全て暗記したほどだという。同じカメラマンである立木義浩と秋山庄太郎が共に、照明と撮影に完璧主義ぶりをみせる市川崑作品を挙げているのも頷ける等など……。

 挙げられた作品は、選者たちが中高年世代ということもあって『第三の男』やヒッチコック、小津安二郎作品等古典的名作が多いが、文章の中からは様々な発見もさせてもらった。粋人である種村季弘は、“自分が転んだ姿を喜劇として見せて他人の笑いをとる”上方用語の転合(てんご)するという言葉を出して、ヨーロッパで京都とそっくりなウィーン出身のビリー・ワイルダーこそ、転合精神の権化だと鋭い指摘。「ユダヤ人に生まれてナチに迫害されて亡命、さんざん苦労した自身を笑い飛ばし、自然に滲みでる亡命者の悲しみ……」。短い文の中で際立つワイルダー論。また、黒澤明作品の美術を一貫して担った名美術監督の村木与四郎は、大のミュージカル狂。ベティ・デイヴィス等ちょっとデカダンスが香る女優がごひいき等の美女論を述べていえるが、トピックスなのが、黒澤明が本気で惚れていた女優を明かしてくれたこと。思い叶って『椿三十郎』に招いた女優、入江たか子こそ、黒澤にとっての最大の美女だったのである……。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/評論家)

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リゾートのエキゾチズムとエネルギッシュな生活空間が同居する国際都市、香港の美と贅、食を伝えるグラビア集

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 仕事柄、何十回となく訪れているが、その都度新たな発見をもたらせてくれる香港。世界の涯て、アジアの東南(日本はそのまた涯ての極東であるが)であるにもかかわらず、国際都市として繁栄した要因は、期限付きという都市と人々に負わされた悲運の宿命がかえってバネになっているともいえるが、何よりもその地形そのものの美しさや天候的好条件等、天分によるところが大きいのだ。何しろ、香港は風水でいう“九つの龍に守られて二匹の鯉が幸運を運ぶ街”なのだから。ビクトリア港を挟んで向かい合う九龍と香港島の海岸線とその背後に迫るなだらかな山の緑の美しさは、両面に立ち並ぶ高級ホテルからの眺めを絶品なものにしているのは周知の事実。そうした眺望が額縁の中の絵のように部屋を彩る高級ホテルのグラビアを中心としたB5サイズの本書は、だからため息のでるようなインテリア等、ゴージャスな面の香港を凝縮させた一冊といえる。
 従って、紹介されるホテルは、英国の香りを留めたペニンシュラやグランド・ハイヤット、ザ・リッツ・カールトン、シャングリア等、香港島、九龍半島両側の代表的な最高級ホテルが中心。トップを飾るのは、1963年に創業された老舗のマンダリン・オリエンタル。松と紫檀をふんだんに使ったシックな調度品やカーテンやクッションにあしらわれたシルクの輝き等、東洋のエキゾチズムがそのまま香ってくるような見開きグラビア。ページを繰ると、レストランやバー、バスルームが現われ、コリアンダー、レモングラスをトッピングしたロブスターのメインディッシュ等が溢れてくる。
 そして、これらカラーの100ページにも及ぶ華麗な雰囲気に続いて、香港のもう一つの面、人々のエネルギーが熱く滾っている生活空間を扱ったモノクロページ“ディープな香港 香港のオキテ”が以降に登場する。近代的なビルディングが建ち並ぶ摩天楼のそのすぐ隣りには、昔ながらの庶民の暮しが今も息づいているのだ。この極端な好対照が、香港の魅力を複雑で多彩なものにしているといえるが、こうした庶民の空間での屋台でも高級レストランでも、変わらぬ絶妙な味を提供するのが、食のパラダイス香港の新骨頂なのである……。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/ASIAN POPS MAG.編集長)

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日本映画黄金期をくぐりぬけ、芸道を歩み続ける女優の語りおろし。偉大な先人たちとの貴重なエピソード満載

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 サブタイトルに「出会った人々 たどった道 華の映画、舞台を語る」とある。キャリアの長い人ほど、このサブタイトルに重みがある。雪代敬子は、かれこれ40年以上前、東映時代劇全盛時代に大活躍したお姫様女優。大映時代劇ファンだった私は、数年後にテレビで放映された時に、まとめて東映時代劇を見て、京人形のような愛らしい風貌で、もっぱら東千代之介や市川右太衛門、中村錦之助といった男性スター中心の物語に可憐な花を添えていた彼女をよく覚えている。派手な印象はないが、はんなりとした女性らしい雰囲気をいつも醸し出していた彼女……そして、共演者をひきたてることに徹するという“個性”も道としてあるのだなあ、と本書を読んで実感した。
 巻頭の「雪代敬子 賛」で浜村淳が述べている。「彼女はお姫様になったり町娘になったりして夢と虹の世界に生きてきました(略)そのかげには長谷川一夫、島田正吾らの名優たち、今井正らの名監督たちの指導や助言があったのです(略)しかも、それら大先輩たちのみちびきにこたえて、しなやかに、ねばりづよく、決して折れることのない雪もち笹のように闘志と根性を心に秘めて芸の道に精進して来たのです」。
 踊ること、演技することが大好きで、自ら希望してSKDに入学し、努力と精進を重ね映画に抜擢され、活躍していた20代の満開の頃にあっさり東映を去り、一から出直して舞台に進み、芸の力を信じてひたむきに生きる彼女。そして念願だったリサイタル開催の夢を、家を売って資金を捻出し実現させる情熱。楚々とした風情からは想像できないこの潔さは爽やかですらある。
 SKDの大スター、川路龍子や美空ひばり、山本富士子ら大輪の“華”である彼女たちとのエピソードや、次々に披露される失敗談を読むうちに、真に芸道が好きな彼女の軽やかな生き方が見えてきて、読後にほのぼのとした余韻を残す。同時に、日本映画黄金期の現場を伝える証言集としても貴重だ。 (bk1ブックナビゲーター:橋本光恵/評論家)

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