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先月(2017年8月)

できそこなくはないかな?さんのレビュー一覧

投稿者:できそこなくはないかな?

1 件中 1 件~ 1 件を表示

これはメタフィクション小説だ!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 数学、算数、数遊びが好きな人は、必ず読んで楽しめる。本書は、マニアの心をくすぐる構成と小道具に満ちている。

 ゴールドバッハの予想が定理になるかどうかはわからない。4色問題の計算機の登場による華麗な定理化のような、劇的な幕切れが待っているのか、フェルマーの最終定理のような力尽くの、さほど素人には楽しめない終結があるのか。

 けれど、巨大な数学の予想に人生を翻弄されるなんてことは、じつは現実によくあることなのかもしれない。しかし、数学という学問は、本書にあるように、成功以外は全て抹殺され歴史に残らない。だから、本書のペトロスのような人物がいても不思議ではない。リアリティに満ち溢れる。その意味でメタフィクションな香りが本書からは漂う。

 数学の深い知識を必要とせず、文学的感性豊かな文で飾られた本書は、数学好きだけに与えるにはもったいない。

 たくさんの人に読んでほしい本だ。

 蛇足ながら。本書の中でペトロスが「素数には意味が無い」というお告げをいただく夢の件がある。私は素数は最も重要で最も不可解な数論上の存在だと思っている。それは、素数の定義「1と自分自身以外では割り切れない数」という中に自分と言う概念、すなわち自己言及、もしくは再帰の概念が混入しているからだと思っている。いつか数論をやるときにはこのことに注目してなにか有名な予想を定理化したいものだ。

 ま、老後の楽しみだろうけど。

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