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先月(2017年8月)

わにさんのレビュー一覧

投稿者:わに

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本プラテーロとわたし

2001/07/10 10:58

なつかしいプラテーロとの再会

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 珠玉の散文詩である。
 2月に本書を買って以来、アンダルシアのとろりとした空気につつまれて、銀色の驢馬プラテーロは私の中で幾度も輝いた生を生き、幾度も死に、幾度も思い出となった。
 と、思い入れたっぷりに書いてしまったが、それは私にとって本書との出会いが「幼いころ大好きだったおはなしとの再会」だったからである。新刊なので体裁は違うが、なつかしい言葉、なつかしい挿し絵と再会できたことは望外の喜びだった。
 138編の短い散文詩のすべてに、アンダルシアでの驢馬との穏やかな生活の中でヒメーネスが感じた、生の喜びと死の悲しみが同時に込められている。プラテーロへの優しい語りかけという形を取っているが、この本のなかで吐露されているのは実は激情であると言ってよいと思う。
 同じタイトルで理論社版(小学生向け、2分冊)が入手可能なので子供にはこれをすすめたい。この岩波文庫版は、細かい訳注が付いているが、個人的にはそれが邪魔にならなかった。注付きで泣ける岩波文庫、最近ではめったにない。

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高校生向け教科書で沖縄情報の整理

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 金城武は“かねしろ”で、Kiroroの金城綾乃は“きんじょう”と読む。その背景には、20世紀前半(この辺は「時代がすすむにつれて」としか記述されていないが)の「改姓改名運動」の高まりに伴う、金城(カナグスク)姓の読みかえの進行があった。…例えばこういう歴史的事実を易しく示してくれる本である。
 本書では冒頭に“北海道・本土・沖縄の歴史的展開”の概念図をおき、それを念頭に沖縄の歴史が記述されている。パラパラめくったり、索引を引いたり、年表を見たりすると、今までアタマの中で断片的に持っていた沖縄方面の情報を、一応系統的に整理できたような気がしてくる。
 一応、と留保を付けたのは、やはり本書があくまで教科書だからである。教科書的記述(本当に高校以来初めて接するので、ずいぶん懐かしい感じがする)を成立させるために、著者・監修者による時代区分・整理の作業が施されている。詳しく突っ込むとそれはホントのところどうなのよ、という疑問がいろいろわいてきてしまうのである。
 そういう限界をふまえた上で読めば、沖縄発のこの本は非常に楽しい琉球・沖縄史入門書である。写真、図版がたくさんあるし、ルビもいわゆるウチナーグチはカタカナで、それ以外はひらがなで振ってある点など親切だ。
 「歴史を探究する」のコラムも所々にあり、興味深く読める。でホントのところどうなのよ、とやはり思ってしまうのだけれど。
 イリオモテヤマネコからDA PUMPまでカバーしたこの本、沖縄県の高校生だけが読むのはもったいない。日本史・世界史・北海道史(このぐらいのサイズの教科書があれば)の教科書と並べて読んで、「日本」を再考するのも一興。もちろん、沖縄にはまりかけた人が手に取ってみる、というのもアリだと思う。私は後者、「ちゅらさん」にはまったことをきっかけにこの本買いました。

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「落合恵子思想」研究入門

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 人がある本をどう読んだか、を知ることによって、その人の思想の一端に触れることができるように思う。ブックガイドとして編まれた本なら尚更だろう。ということで、かなり気になっていた「落合恵子の思想」に接するために、この本を読んだ。正直言ってかなりキツかったし、時間もかかった。
 落合恵子という人は、実はポリティカルな人物であるという印象を持つ。特に政治的な活動を展開する訳ではないが、「アタマとココロとカラダのバランスが取れていない」と感じる現代の都市生活者の間では、彼女の思想は結構浸透力を持つ。時には“子どもの本”という形で、またある時には“有機農業”関係の組織の支援という形で、更には読売新聞の“人生案内”欄において。
 思想を明示しない、というのが彼女のスタイルだと言えば言えよう。「…」で含みをもたせたり、「?」を付けてみたり、「〜できたら」と願望形にしてみたり。最近、自分の周囲でこのスタイルを真似る人が増えた。気持ちはわかるが、思想としてはっきりしてみてはくれまいか、と言いがかりをつけたい気分である。
 そのストレスを幾分解消してくれそうなのが、この本である。落合恵子は、絵本を選んで紹介文を書く、という仕事によって、自分の思想をコンパクトにまとめているように思われる。自分らしくかつ自然に(←この語結合が私には解らない)心を育てようというメッセージが、個々の絵本の紹介文から伝わってくる。
 索引(作家・画家ともにインデックスされている)や付録が親切なブックガイドだし、実は私が愛してやまない絵本も多数紹介されているので、評価は高めに付けてみた。落合恵子の思想や文体への評価と星の数は別物である。通読してみてください、キツいから。

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「闘」の字のないページに込められたもの、それは愛である

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とにかく「闘」の字で埋め尽くされた本である。闘い、闘う、闘争…兵士となる、と決めてからの重信房子の生きる姿勢の揺るぎなさに圧倒させられる。しかし、その文字のないページには、彼女の豊かな愛があふれている。
 幼少時代の回想、迷いつつ運動に飛び込んだ経緯、パレスチナの同志との連帯、それぞれの場面で彼女は闘いつつ愛する。その生き方が確固たるものとなったのは、我が子をこの世に産み出そうと決断した時点からだったのではないか、と感じさせる。
 重信房子の闘いについては、私は必ずしも肯定的な立場をとらない(知識が不足しているので、断言してしまうのはためらわれるが)。だが、この本を読むことで、彼女もまた人を愛する人間であるのだという認識だけは持てたように思う。
 文章は思いがけなくリリカルである。「闘」の字にいちいちひっかからなければ一気に読める。ただし、“上申書”というものが出版物として流通するまでの過程で、どの程度の編集作業が行われたのかが明示されていないことが気にかかる。少なくとも「章立て」などはなかったと思うし。
 そういうところを丁寧に示してくれれば、より幅広い読者を得ることができたのではないかという気がする。極端な話、夏休みの課題図書(大学?高校?)とかいうものにもなり得たかもしれない。…そうなったら逆に若者は読まないのか…? 個人的には未成年にも薦める。

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紙の本「うつ」を治す

2001/03/31 22:48

余儀なく部下の「うつ」に関わるはめになった知性ある上司へ推す、90分で通読する「うつ」の最低知識

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ○○さん(匿名)の症例を羅列していない。評者はその点を本書のいちばんの特長として評価したい。この点によって、本書はあまたの「うつ」入門書と姿勢を画するものとなっている。
 うつは流行っている。「心の風邪」というキャッチフレーズ(?)も雑誌等で定着しつつある。
 うつに興味を持ち始めた人にとっては、「A男さんは28歳の会社員。営業職からシステム管理部門へと異動になって…」云々の事例紹介で始まる入門書は読みやすいし、時には面白かったりする。大抵は、その入門書の著者の施した療法によってA男さんは回復する。
 社会事象に対する見聞を広めるために読むなら、それで十分である。しかし、管理責任を問われる「上司」という立場の人にとっては、自分の部下がうつで欠勤し始めたら、事態は他人事では済まされなくなる。どう対処するのが知性あるやり方か?
 治療は専門医に委ねるとして、自分もうつに対する最低限の知識を持とうと努力すべきだろう(管理職研修の「職場のメンタルヘルス」なる講義にはまったく興味がなかったにしても)。
 この本では、他人事でなくうつに関わる者(主たる対象はうつ患者自身)にとって必要なうつの症状と治療の基本的知識が、ほぼ偏りなくコンパクトにまとめられている。「ですます」調で、難解な用語もないので、比較的短時間で通読できる。
 風邪になぞらえられるうつが実は慢性化しやすいこと、再発しやすいこと、自殺につながりやすいことを押さえ、薬物治療への偏見をとく記述もなされている。「うつの社会的治療」という章を設けて、職場関係者も含めた周囲のサポートについてもアドバイスしている。
 著者はうつの心理的治療の一つである認知療法の専門家であるが、本書においては、どの療法についても掘り下げてはいない。新書一冊という分量からすると妥当であろう。
 治療法を選択するのは患者自身である。その選択に対しての責任まで上司が負う必要はない、それは管理の範囲外だと割り切った上で職場のサポート体制を考えるのが知性ある対処法だろう。
 それでも本書のなかで気に入った、あるいは気になった点があるとしたら、それは部下ではなく自分自身の「うつ」に気づいたというサインかもしれない。自分の治療の手がかりを、本書を読むことによって得るかもしれない。その時には、あなたも部下も症例羅列本のA男さんではないということを実感できるだろう。

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写真はおすすめ、帯には注意

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 病床のレーニンの写真、レーニンをはじめとする「防腐処理を施された指導者たち」の写真など、画像情報が豊富な本である。文庫にこのぐらい写真資料が付いていたら、お買い得といえるかもしれない。
 内容は帯のキャッチコピーとはちょっと違って、レーニンの遺体に防腐処理をした化学者「のうちの一人の息子」が明かす真相、であった(息子も少し遺体保存には関わっているが)。
 遺体保存にまつわるあれこれの話は面白いが、ソ連裏面史と呼べるほどのものではない。資料的裏付けは勿論ないし、党や国家機関の名称も不正確である。訳者あとがきを読んだが、翻訳事情が錯綜していてよく判らなかった。
 欧米各国で反響を呼んだとされ、フィナンシャル・タイムズ紙やツァイト紙の書評の一部も帯で紹介されているが、これも書評全体を読んでみないと評価は怪しい。一頃まったく出なくなっていたロシア革命期〜ソ連期がらみの本がまた出るようになったことだけ、取りあえず喜んでおきたい。

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2001/05/21 12:52

「柳美里調」の破綻

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 興味本位で読んだ。内容ではなく、二谷友里恵が書いた(とされている)文章の、文体への興味である。昔『愛される理由』をめくった時、ちょっと面白いと思った。
 今回は、まあ真実の記録ということで、「柳美里」の文体を意識したのではないだろうか。二章あたりまではそれらしい雰囲気で一応、統一されている。
 しかしそれ以降は、「友里恵節」大活躍である。過去の回想が、臨場感にあふれている。どろどろの会話の描写の後、妙にむずかしい言葉を使ってコメントを付けるところなど、前作と同様の妙ちくりんさである。あと、「甚だヴァンサンカン的な」とか、柳美里なら書けない言い回しだと思うが、どうでしょう?
 評価はしない(内容を忘れたから)。でもせっかく自分の文体を持っている(ように見える)のだから、全部「友里恵節」で書けば、もっと面白かっただろうにという気がしてならない。
 最後に一つ。傍点多用は見苦しいです。もう書かないつもりなら、無意味な「含み」を持たせた本にしないようにしてほしいです。

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