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先月(2017年6月)

RYHさんのレビュー一覧

投稿者:RYH

1 件中 1 件~ 1 件を表示

うたかたの日々

2003/05/25 18:05

本棚の片隅にはいつも…

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

岡崎京子という漫画家は知ってはいたが、
ボリス・ヴィアン原作の「うたかたの日々」が
CUTIEという雑誌に連載されていたことすらも知らず、
bk1の売上ランキングにこの本のタイトルを発見し、
ただただ驚くばかりであった。

私がボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」(早川書房刊)を購入したのは1984年。
原作を読んだとき、クロエの肺に睡蓮が咲く奇病とは
きっと何かのメタファーに違いないなどと思ったり、
裏表紙にあるヴィアンのルックスがあまりにもハンサムなので、
コランもこんな感じの人なのかしらと想像をふくらませていた、
20年近く前の自分を思い出す。

コランが愛するクロエの病状が悪化し、金庫のお金も底をつき、
生活の糧を稼がねばならないコランの毎日。
労働をし、社会に適応しおとなになっていくことなど考えたことのない彼にとって最終的に与えられた仕事は「死亡通知人」という残酷な仕事。
なんと最愛のクロエの名前を翌日の通知リストに見出す悲劇に見舞われる。
そしてクロエの死後、コランの心はバラバラに砕け散ってしまう。
もはや彼は沼岸に立ちつくし、クロエの命を奪った睡蓮を切り倒すことしかできない。

愛する人の死期が迫ることは、
ふたりの棲家の形までも変えてゆく。
原作で文章によって表現されている、きれいで広々とした棲家が段々と歪んでいく状態が、岡崎京子の本作によってみごとに明らかにされ、
いっそう不条理な人生を感じさせるのだ。
そう、愛する人を失ってしまったら、
喜びを感じたり幸せな気持ちになることなんか、
永遠にもどってはこないのではないかという恐怖が
いつもどこかにつきまとって離れない。

何度引越ししても、
本棚のどこにあるのかすぐわかる、
いつも心の小さな引き出しにしまいこまれているような存在。
そういう本はそんなに多くない。
これからは、この岡崎京子版「うたかたの日々」も原作の隣に並んで、
いるだろう。

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