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日経BP社 編集委員 木村功さんのレビュー一覧

投稿者:日経BP社 編集委員 木村功

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本「紫の牛」を売れ!

2004/04/16 10:41

マーケティングの本質を突く

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 この本のタイトルを見て、はて何だろうと多くの人は首を傾げ、興味をひかれるのではないだろうか。著者の言う「紫の牛」とは、「常識破りのもの」ということだ。そして、書店で足を止め手にとってみる効果を意識した常識破りの表現が効いている。茶色の牛を見て美しいと感じていた著者が、この普通の牛を大量に長時間眺めているうちに見飽きてひらめいたのが、紫色の牛がいれば誰でも驚かされるということだ。

 商品があふれかえる今の時代に、消費者を引きつけるのは常識破りでなければならない。「常識破りのマーケティングとは、製品やサービスに、注意を払う価値のある点をつくりだす技術である」と説く。そして、何が、どんな理由で常識破りなのか、常識破りで成功した商品、サービスを具体的に取り上げ分かりやすく成功因を解説する。この実例が非常に面白いのが、本書の特徴である。

 目次の表現が目を奪うような表現になっている。「すべての人に宣伝するのは無駄である」、「弱小ブランドにはまったくチャンスがない」、「未熟な企業ほど、費用の大半をマス・マーケティングにつぎ込む」、「オタクを狙え」、「キャッチフレーズはいらない」、「スニーザーを徹底的に利用せよ」、「マーケターはデザインを学べ」、「役に立たない広告キャンペーンや販売会議はやめよう」、「安いだけが能じゃない」といった具合だ。

 スニーザーというのは、くしゃみをする人の意味で、新製品の特徴やアイデアを友人や仲間にまき散らし広げてくれる人のこと。どの市場にも必ず少数のスニーザーがいて、彼らを利用しない手はないというわけだ。また、オタクは時代の先端にいるのが好きで、紫の牛がもたらす現象の中心にいる。新製品を受け入れてくれる熱意ある人がオタク消費者で、またスニーザーでもある。
 最終章「世界のベスト・ブランドも口コミで生まれた」では、紫の牛度を飛躍的にアップさせる40の秘訣をまとめ、紫の牛を生み出す8つの方法を挙げる。ここのキーワードは、少数の顧客、もっと小さい市場、顧客に直接語りかける、ほかがやっていないこと、などである。

 読むのを薦めたい人は、マーケティング・PR部門の担当者、製品・サービスの開発担当者のほかに、期待が外れ売れない新製品に頭を悩ましている経営トップ。固定観念にとらわれて固くなっている頭を柔らかくしたいと思う一般のビジネスマン、エンジニアもよい刺激を受けるだろう。

 著者は米国ヤフーのマーケティング担当副社長。情報技術(IT)を利用した効果的なマーケティングを提案した好著「パーミションマーケティング」(翔泳社、1999年刊)を書いている。

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