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田中さんのレビュー一覧

投稿者:田中

1 件中 1 件~ 1 件を表示

ジェンダー学を教えている人はこれを読んで怒らないのだろうか

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

思わず書評を書きたくなってしまうほどの惨憺たる内容である。
名著『紅一点論』を彷彿とさせる題名に引かれ、手に取ったが、
読了するのもつらいほどであった。
たとえば、こうである。
「(前略)モノを生産する男性が、生命を生産する女性を統括し、支配している。しかし現代では、その必然の結果として先進国では軒並み人口が減ってしまった。生命を産む性を尊重しない社会で生命が増えるわけがない。このシステムが金属疲労に陥った証拠である」。
今もって世界の人口は増加傾向にあり、それは有史以来もっとも急激といっても過言ではない。しかるに、「必然の結果として先進国では人口が減ってしまった」。では、(人口増加の一途を辿る)先進国以外の国は、ジェンダーから逃れえているのだろうか。ジェンダー学などというものは先進国でしか成立していない学問ではないのか?
だとすれば、むしろ人口抑制はジェンダーから解放されることの結果ではないのか?(無論、ジェンダーと人口を無造作に結びつける議論がおかしいのであって、このことを主張しているわけではない。)
もうひとつ例示しよう。著者は『白雪姫コンプレックス』を書いた心理学者のエリッサ・メラルドについてこう述べる。
「こういう本には書いたひとの誠実さ、正直さがいちばん訴える力がある。最初から冷静で賢明な女性には、普通の、そして大多数の女性のことを語ることはできない。」
なんという差別意識(!)。「大多数の女性」は「冷静で賢明」ではないと主張しているも同然ではないか(!)。
著者は「ジェンダー」憎しの感情が強いのか、あまりにも迂闊で勇み足が過ぎる。誰よりも「ジェンダー」に囚われてしまっているようだ。ほかでは良著があるのかもしれないが、少なくともジェンダーについて語るべきではないように思う。この著書にも紹介されている数多くのジェンダー学を研究している人はこのような状況に対してどう思うのだろうか。
それでも、対「ジェンダー」戦としては戦略的に構わないのだ、とでもいうのだろうか。だとしたら、(「ジェンダー」に関して問題意識を持つものとして)あまりに不毛で悲しい気がする。

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