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パンテオンさんのレビュー一覧

投稿者:パンテオン

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本恐竜世界のひみつ

2003/09/02 06:15

プロにとって、こわい本

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

装丁を見る限り、どう見ても小学生対象。が、外観にだまされては
いけない。中身はマンガ版“最新恐竜学レポート”といっていいほど。
あらゆる意味で、金子隆一の恐竜学が披露されている。

たとえば裏表紙。「恐竜の分岐分類表」がある。“マニラプトラ”あた
りはまだしも、“ユーリポーダ”、“アンキロポレクシア”、“コロノサク
リア”、“パルアヴェス”これらの分類用語がそのまんま載っている。
これを見た小学生が、そのままこのことばを口にして質問などしたら
誰でも驚くだろう。

ストーリーはまんが仕立て。小学生の主人公が、「シムガイア」とい
うバーチャル世界で、恐竜の誕生から絶滅まで、ガイドの案内で体験
するというかたちで展開する。
漢字には全てルビがふってあるので、低学年でも読んで十分理解する
ことができる。が、登場人物のせりふに、えっ?と自分の常識をゆさ
ぶられる箇所がかなりでてくる。欄外の「まめちしき」もばかにでき
ない。鳥類から恐竜が進化したという、“BCF理論”にはまる小学生も
出るだろう。

伴俊男さん作画の恐竜たち。まんがとしては正確な復元の方。まんが
とは別に山本聖士さんの恐竜イラストもある。原画はすばらしいのだ
が、ここではあまりよい印刷になっていない。残念。

大人にとっても、いまの恐竜学を概観するのに適する。この本の内容
が、日本のこどもの常識になったら、“理科ばなれ”は消えてしまうだ
ろう。博物館の学芸員のように、こどもに質問される立場の大人にとっ
ては、こわい本。

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紙の本竜とわれらの時代

2002/10/20 23:53

徹夜してでも読みたい本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 サイエンスに基礎を置きながらストーリーでも定評のある川端裕人氏の最新作。小説的感興と知的興奮を何度も味わえる。日本が手にした最高の恐竜小説。
 主人公は、恐竜をはじめ中生代動植物化石の産出で知られる手取層群のある地域、架空の手取郡で育った古生物研究者。渡米し師事した教授のチームの一員として、手取層群の発掘を行う。
 その白亜紀最前期層から、マメンチサウルスとティタノサウルスの特徴を併せ持つプロブレマティックな竜脚類の全身化石が出て(後にテトリティタンと名付けられる)、あれやこれやの大騒動が始まるというストーリー。
 主要登場人物は、地元出身の古生物研究者の卵、元宇宙飛行士志望の技官、キリスト教福音派の活動家、イスラム過激原理主義者……等々いろいろ。
 なぜ、こんなに多様な登場人物が出てくるのだろう? その訳は、書名に端的に表れている。“竜”と“われらの時代”。恐竜をメインとしながら、“われらの時代”に渦巻く諸問題をサブテーマとして絡ませているからだ。
 主人公が師事した教授は、後に進化論を認めないキリスト教団体が発行する科学誌の編集に携わるようになる。日本では考えられないことだが、アメリカでは、進化論に反対する勢力も強く、カンザス州では進化論を学校で教えないと議決されたほどである。
 一方、恐竜は文化的にきわめてアメリカのものである。世界中で日本人とアメリカ人ほど恐竜好きな国民はいない。中国など、あれほど瞠目させる化石の発表があっても、一般人民レベルでは話にも出ない。アメリカ人にとって恐竜とは何なのか、そのあたりもこの小説に広がりを与えている。
 目を転ずれば、アメリカ文化は今や世界標準として他の文化を蹂躙しているかのようだ。とりわけイスラム世界からの反発が強い。イスラムは古代ギリシャの遺産を西洋に橋渡ししたが、今では文化的にも経済的にもアメリカという恐竜に踏み荒らされている。そこから、ホメイニ、サダム・フセイン、オサマ・ビンラディンなどその反対者が現れ、過激グループがテロに走っていることは承知のとおりである。
 日本はどうなのだろう? 私たちにとって恐竜とは?
 夏休み中のイベントを通して付き合うものなのだろうか。子供時代の一過性の対象なのだろうか。小説中の手取郡の老婆は竜神様として信仰し、頭蓋骨をご神体として守る。日本人にとってはこれが自然なのかもしれない。
 と、ここまで書くと何やら読むのが大変?と思うかもしれない。が、実際は息もつかせず読ませる小説。私など、半日読みっぱなしだった。久々にセンス・オブ・ワンダーを感じさせた。
 恐竜発掘から研究・展示にからみ、上に述べた様々な伏線で、舞台も手取郡からアメリカに広がり、時の広がりも老婆の夢に出る白亜紀、竜神信仰の伝統、手取郡の民俗など深みを与えている。
 古生物学的なレベルを見ても、著者は研究者、論文、現地などしっかり取材した上であることが読み取れる。生半な恐竜本より最新情報も押さえ、信頼できる。
巻末で真鍋真氏が解説しているように、手取での研究は、「ジュラ紀から白亜紀への変化を、生態系を出来る限り復元し、その進化を明らかにしようとする新しい試み」。小説中、主人公たちが行った研究は、すでに実際に実行され、その成果の一端は2002年夏、千葉県立中央博物館でも展示された。
 恐竜ファンはもちろん、SFファン、一般の方にも自信を持ってお薦めできる。
秋の夜長、たとえ徹夜しても読みたい本だ。

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