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先月(2017年3月)

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    3月のライオン(1)

    3月のライオン(1)

    羽海野 チカ(著),先崎 学 (将棋監修)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

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    はらぺこあおむし 改訂

    はらぺこあおむし 改訂

    エリック=カール (さく),もり ひさし (やく)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

うりさんのレビュー一覧

投稿者:うり

12 件中 1 件~ 12 件を表示

異色。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 まず驚くのは、主人公が中学生の息子を持つオジサンだということ。少女漫画なのに・・だ。

 「なかなか良く育った方だ」と思っていた息子の、「俺、クラスの子を妊娠させたかもしれない」という告白ではじまる表題作『こどもの体温』、そしてその後日談『よくある1日』は、まだ子供の匂いを残す中学生のココロが、非常にリアルに感じさせてくれる。

 繊細な描線、美しく描かれる男達はまさに、少女向きなのだけれど、お話しの内容はむしろ大人向きかもしれない。

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暴力と無垢と

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 これは、暴力と無垢が共存する物語。

 舞台は架空の都市「宝町」。近未来とも異国ともとれるが、ここに表現されている煩雑さや生活感はとてもリアルで、とても身近に感じさせられる。そんな賑やかな町で暮らす、“シロ”と“クロ”は暴力を生活手段の一つにしているが、心は無垢。

 絵柄は温かみと独特の立体感に加えて、わくわくするようなスピード感もあり、ひとコマひとコマをそのまま1枚絵として抜き出したとしても、充分見ごたえあるだろう。
 暴力で成り立つような町で、その奥にある悲しさわびしさと人情が微妙に工作していくストーリー展開は、第一巻で早くも心にぐっときてしまう。

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紙の本サザエさん 45巻セット

2001/09/13 23:18

時代が読める、もっとも身近な参考書。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ほのぼのとした家族物語の代表格と言えば『サザエさん』。というのは、世間でもはや常識となっています。けれども、それだけでは無いのです。実際に、4コマ漫画のその世界をのぞき見ると、ピリリとスパイスの効いた風刺、人間像がさりげなく盛り込まれ、さすが新聞連載、と思わせてくれます。

 連載開始当時の作品は、現代からは想像もつかないような、戦争直後の暮らしをうかがい知ることができ、その後の高度経済成長期の作品は、20年以上たった今でも解決できていない様々な社会問題を知らされます。

 全巻まとめて読めば、堅苦しい参考資料なんかを読むより、ずっと身近に時代の変化を感じることが出来るでしょう。

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紙の本照柿

2002/05/09 01:10

慟哭

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まさに、胸をえぐられるような一冊。
声をあげて泣きたくなった。けれども、甘美な悲劇なんかじゃない。

同じ合田刑事を主人公に据えるも、あの疾走感ある『マークスの山』から一転。
人を思う気持ち。合田雄一郎の、女へ、友人へ、故郷へ、
そして仲間達への湧き出る様々な想いが荒々しく描かれ、
前作が河の濁流なら、この『照柿』は海の潮のうねりのように重い。
そして読む者の心拍数は前作同様、いやおうなしに上がってゆく。

いったい雄一郎の心はどこにあり、どこへゆくのか。
歯軋りしながら歩いてゆく人生のリアルさがそこにある。

4行間に託された“何か”までをもさらうように見つめた498ページ2段組。
その全てを読み終えたとき、まるで泣き疲れて目覚めた朝のような、
濡れた軽さが心に甦った。

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紙の本マークスの山

2002/03/24 21:58

疾走

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 心臓が痛くなるような、疾走感。読み終えてから一日たった今でも、本を開くだけでドキドキする。

 序章の書き出しは淡々と、連続殺人事件の遠いきっかけとなる16年前から始まる。まるで助走のように淡々と…そして、16年後の東京で起こる第一の事件から一気に加速、最後の一行まで息もつかずに走り抜ける。
 この小説で、事件解決までの道のりと同じくらいに重点を置かれているひとつが警察の内部事情。様々な不祥事が発覚し、ドラマやニュースでさんざん取り上げられた今、新鮮な驚きは薄れてしまっている反面、リアルな説得力が読者をひっぱる。そしてもうひとつは、主人公・合田刑事をとりまく人間模様。反発しあいぶつかりあい、そして信頼しあう微妙な心の変化が、絶妙なさじ加減で展開する。

 この職場事情と人間模様の面白さともどかしさが、ページをめくる手を加速させるのかもしれない。

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絵と間の魅力。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私が人に『Anghel bload(アンヘル・ブラッド)』を勧めるなら、この5巻以降を強く推したい。

 もちろん、話は1巻からの続き物なので、第1話から読まないことには意味が無いのは重々承知だが、この5巻以降、絵のパワーが凄いのだ。

 もともと、独特のセンスと実力を兼ね備えたこなみ詔子。その絵柄は時間と共に次々と変化をする。もっとも初期の作品『あねさんは委員長』時代の普通の少女漫画絵。そして『カムイ』あたりから見せるクール絵。それはいったん『コインロッカーのネジ』で完成形となったように見せて、その後本作『Anghel blood』で、また大きな変化を見せる。

 1〜3巻までは、華やかないわゆる「はやりの」絵柄で特筆すべきほどではない。ところが、表紙カバーが黒基調から白基調に変わる4巻後半から、他ではみられない空間の「間」が加わり、どんどん無駄を排除するかのように、力強く大胆になっていくのだ。

 絵の系統からいえば、モノトーンをはっきりとったクール絵はいくつか見られるが、ここまで完成形をみせたのは、こなみ詔子だけだろう。もはや、少女漫画というジャンルに収めておくには惜しいほどのパワーが秘められている。

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紙の本アド・バード

2001/09/13 22:07

アド・バードに乗って。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 想像もつかない未来の世界? いや、ここに描かれているのは、ひょっとしたら私達がすでに足を踏み入れてしまっているかもしれない、広告戦争とその後焦土と化した世界。物悲しく、息苦しい荒廃しきった世界なのだけれども、随所に行かされた独特の「椎名節」によって、どこかユーモラスで憎めない。

 宣伝用に加工された生物、アンドロイド、気象現象。これらの、まるで手に取るように思い描けるほどの丁寧に描写によって、私達をその未知なる世界に招き入れ、主人公兄弟・マサルと菊丸の外見的説明をすっぱり省くことで、私達は彼らになりきって、自由にその世界を飛ぶことが出来る。

 おせっかいな説教臭さは微塵もないのに、過熱していく現代社会への危機感が全編に漂う。冷えた体の芯を熱くしてくれる一冊。

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紙の本鉄コン筋クリート 2

2001/07/10 19:42

表情を見よ。

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 暴力と自由の街、「宝町」。独自のルールにのっとり、発展そして廃退してゆくこの街を、外からの「力」が飲み込もうとし始めている。自由自在に飛び回っていた、シロとクロの身にも追っ手がかかり絶体絶命の自体へ。

 松本大洋の絵の魅力の一つは、キャラクター達の豊かな表情だ。特に、その唇。笑う、驚く、喋る、叫ぶ…くるくる変わる子供達の表情を、最大限に引き出している。

 初めて味わう恐怖に、歪む唇。初めての決別を、耐える唇。物語が進むに連れ、どんどん多彩になっていくシロとクロの表情。何度読んでも、新しい発見があって、飽きさせない。

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十九、二十

2001/07/01 13:38

暑くだるい青春時代。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

彼女にふられ、父親は借金をつくり、始めたバイトはエロ本出版社だった。

人生、上手くいかないときは、とことん上手くいかない。そんな中で20歳になろうとしている主人公・山崎は、
勇猛果敢に戦うでもなく、かといって逃げ出すでもなく、次々やってくるさえない出来事を、ただただ受け止めて困惑して、イライラしてやり過ごしていく。そこが、とてもダサくてとてもリアルだ。

青春小説なのだけれども、そこで若者に教えを説こうとか、勇気を与えようなどというおせっかいは一切しない。読み手側にとっても、読み終わったからサッパリするとか、希望を与えられるなんてことは、一切無い。

 けれども、生きてく上での普遍的なダサさ、やるせなさがこの一冊につまっていて、「そうなんだよなぁ」と頷ける一冊。

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紙の本スヌーピーの初恋物語

2001/05/31 00:34

可愛いだけじゃない!

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 毎度おなじみ我らがスヌーピーが、スケートリンクで恋に落ちた! バレンタインカードひとつもらえないチャーリー・ブラウンなんかよりずっともてるのに、スヌーピーの恋はいっつも実らない。さて…今回の恋は??

 子供達による子供達だけの世界。
 大人は登場しないピーナッツワールドは、ロマンスや哲学、笑いや苦労がいっぱいで、大人社会顔負け。スケートリンクのカノジョを想い「どうしたってプロポーズしなきゃ!」と意気込むスヌーピーへ、ガミガミ屋ルーシーが言った言葉は「気をつけなさいよスヌーピー!10代の結婚てのは、たいていうまくいかないものよ!」

 吹き出しの中に、直接和訳が手書き文字で書き込まれているので、テンポ良く読みやすく幅広い年齢層で楽しむ事ができます。
 巻頭にはカラーで、人物紹介と人間関係解説図付きで、ピーナッツ初心者にもお勧めです。

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フワフワした少女漫画を卒業したい人たちへ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「…人間には絶対服従/最新機能搭載/特別ルートでコストダウン/別売りオプションで愛玩用にも…」SG社が開発した、人間型ロボット。通称「ドール」を共通項にした、短編集。一見、平和そうな世の中の微妙なゆがみが、ドールたちの存在によって、浮き彫りにされます。

 児童虐待、コンプレックス、親子関係、嫉妬、異常性欲…。新聞や週刊誌をにぎわしているような題材を、語りすぎず、押し付けすぎず、時に滑稽に時にダークにそして感動も盛り込んで、読ませてくれます。

 黒の効いたシャープな描線に、ゴシックロリータの衣装で重みのある甘さを加えた独特な絵柄は、フワフワした少女漫画を卒業したい人にお勧めです。

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これは一事にして万事。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

どんな商売でも、「お客様」の顔を忘れたときが崩壊の時。

集団食中毒を引き起こした雪印乳業、そして牛肉の産地偽装事件で
解散まで追い込まれた雪印食品。
この本は一流企業が、内部から発生したサビによって、
朽ちてゆく様を追ったドキュメントだ。

大規模化する製造過程で、自分達の扱っているものが、
ともすれば人の命を左右する「食品」だという意識が薄れて行った結果が、
この雪印の崩壊であり、その後次々と発覚する食品偽装事件なのだろう。

私たちの食べているモノたちは、いったいどのようにして作られているのか、
どのような環境で作られているのか。
「作る人」と「食べる人」の顔が見えない今の食品流通のシステム自体が、
見直されるときが来ているのかも知れない。

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