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先月(2017年6月)

彩人さんのレビュー一覧

投稿者:彩人

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本NIGHT HEAD/覚醒

2003/09/15 06:43

映像的文章が描き出す情景とキャラクターの魅力

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人気テレビドラマの小説化。しかし、私は原作であるドラマは未見です。それにもかかわらず、すっかり世界にはまりこめた……つまり、小説として単体で十分おもしろい作品でした。

まず、特筆すべきは、その映像的文章でしょう。各シーンの光景が、鮮やかに浮かび上がります。特に、情景描写の美しさは独特です。超能力を持つため、15年間主人公の兄弟が閉じこめられていた群馬の森の奥深くにある研究所のシーンなどは、木々の匂いやざわめきまでもが伝わってきます。

また、キャラクター描写も魅力的です。主人公の霧原直人、霧原直也はもちろんのこと、脇役に至るまでキャラクター像がはっきりしています。こちらも同じく映像的で、文章で性格を表現するというよりは、キャラクターの外見や私生活をとおして、まず人物のアウトライン浮き彫りにしていきます。

こうして作り上げられた舞台とキャラクターが、超能力をテーマにしたSF作品を進行していくのですが、超能力に関するハードSFを期待されると物足りないと思います。

しかし、登場する若い男女のキャラクターがみな素敵だったり、ストーリーの中心が人間関係だったりと、ドラマ的、少女マンガ的要素を含むSF作品としては逸品でしょう。私はその点にかえって惹かれました。

頭の中で再現できるほど現実味を持てるにもかかわらず、どことなく幻想的。そして儚いキャラクターたち。それがこの小説版「NIGHT HEAD」の醍醐味のひとつではないでしょうか。

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紙の本ラーゼフォン 時間調律師

2003/09/30 22:52

時空と神話がテーマ壮大すぎて読み足りない!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ノベライズを超えたコラボレーション・ノベル」(巻末対談冒頭)にもあるように、原作アニメの小説化ではなく、同じ世界観で繰り広げられる「ラーゼフォン」のアナザー・ストーリー。アニメは未見なのですが、時間と音がテーマのSFというアイディアには惹かれていて、それを神林長平氏が執筆ということで、迷いなく手にしました。

時の流れといった形のないものを題材にしているため、やはり253ページという分量では厳しいのではないかと思いました。「ラーゼフォン」世界の周辺をぐるりと回っただけといった感じで、残念でなりません。登場人物や状況をエジプト神話などに関連づけて展開していくのですが、これも表面的な説明で終わってしまっています。

時間、転生、神話、音楽、家族、宇宙、超兵器、軍隊、架空都市……短い中に多くのテーマが盛り込まれているせいか、どれも「もっと深く知りたい」という気持ちが読後に残ってしまいます。神林長平氏が執筆するのであれば、もっと掘り下げて大長編になっても十分最後まで読ませられるのではないでしょうか。観念的な物語を生き生きと重くならないように描くことこそ、神林長平氏の魅力なのですから。

とはいえ、主人公の村瀬明は魅力的です。何千年、何万年と閉じこめられた時間の中を繰り返し生きていて悟りきっているはずなのに、宇宙を包み込む時間の支配と戦っているのに、イマドキのフツーの高校生世界も平行して存在している感覚。ジュヴナイルSF的な最終章が、さわやかで爽快です。

この本の存在を知ったのは「戦闘妖精・雪風 解析マニュアル」(2002年早川書房)の神林長平ロング・インタビュウ(P139)でした。氏いわく、「いま『ラーゼフォン』をやっと書き始めたんですけど、これは同じことを繰り返し繰り返し何万回もやっている話だな、と思ったら、その瞬間に、あ、いけるかも、と」。ぜひ、最後までいってほしかった!

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