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先月(2017年8月)

USさんのレビュー一覧

投稿者:US

5 件中 1 件~ 5 件を表示

何度もおいしい、ケッサク複合体

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 ひょえええ〜っ!
 この本以外、『宇宙兵ブルース』も『銀河遊撃隊』も、映画『ソイレント・グリーン』の原作『人間がいっぱい』も、ハリスンの本はぜんぶ手に入らないようなので、ただちにコレを買うべきだ!

 倒産まであと一歩のB級映画会社クライマックス。BC級監督バーニイ・ヘンドリクスンの連れてきたあやしげな科学者ヒューイット教授の発明品で新作を撮ることが決まります。その発明とは、もちろんんこと、タイムマシン。

 タイムマシンが、映画撮影の役に立つのか? 立つんです。旅立つんです、撮影班は。大セットを組む必要のない11世紀の島々で、大迫力のヴァイキング映画を撮ろうというわけです。
 タイムマシンSFはアメリカが発祥の地ではないですが、アメリカ的な感覚と、よく似合う。「未来を自分の手で変えていこう」というお話しは、実に実に、アメリカ的な青春志向と、よく似合うっ。中でもこれはハインラインの『夏への扉』と並んで本当に傑作だと思います! 

 しかし、青春つっても出てくるのは「真っ盛り」のワカモノじゃありません。ちょいとくたびれた、中年手前のおっさんたち。映画撮って、ひと山当てようというんだから、ひとくせもふたくせもある連中です。イメージとしては70年代のエリオット・グールドやドナルド・サザーランドみたいな感じか(この本の奥付によると、原書の初出は67年らしいけど)。

 お話しだって『夏への扉』的な、良く言えば純粋、悪く言えば愚直な感じはぜんぜん無い。
 てんやわんやの撮影ウラばなしが進む中、読み進む読者は、トンデモ本的おもしろ時間論を知り、ハリウッド調コメディに触れ、男の友情に触れ、そして北欧のヴァイキング譚やサガをちょっとかじった気になります。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も『ターミネーター』も、この本の前にはみんなひれ伏す!

 モンキー・パンチさんの表紙と挿し絵は、まるで作者の依頼を受けて書いたかと思うほど、ぴったしです。主人公バーニイの風貌は、あの絵のムード以外にないっす!
 読んでないのは、もったいないっ!!

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紙の本踊る黄金像

2001/07/03 01:49

「活気溢れるニューヨーク」に出会いたいなら、コレしかない!

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 ニューヨークって、ハテ? 実際にはどんなところなんでしょか?
 この本読むと、いろんな映画で見覚えのある「あの」ニューヨークが、次々浮かんで来るんです。

 見返しのページを開けたその次の最初の「献辞」の7行からノリノリのこの本読むと、ニール・サイモンのニューヨークとか、植草甚一のニューヨークとか、ノラ・エフロンのニューヨークとか…いろんなひとが書いてきた「ニューヨークの空気」が、てんこ盛りの感じです。

 南米のとあるクニから盗まれた黄金像がこの街に持ちこまれ、ところが偶然にも複製品が十五体もあったもんだから、ハナシはしっちゃかめっちゃかになる。本物の像を探して誰も彼もがニューヨーク中を走り回る。錯綜した争奪戦を通じてこの都市の「全体像」をきゃははと笑いながら見てください、って趣向でス。

 インチキ航空貨物会社の青年がいて、離婚の瀬戸際にあるハープ奏者の女性がいて、へんな市民運動の活動家がいて、個人宅用プールのセールスマンがいて、ハーレムのボスがいたりして、あやしげな投資家がいたりして、まだまだ一杯いて、ダウンタウンからロングアイアランドの高級住宅地から空港から図書館まで、ありとらゆる場所が出てくる!

 無数の人物を配した上で、おフザケの中に、男と女、ジェンダーの問題から貧富の格差から、性的嗜好や人種偏見のハナシまで、さりげなく入ってる。それがぜんぶ、かなり粋に茶化されてます。字で読んで、しかも翻訳モノの文体でこれだけおかしい「小説のカタチの都市論」も、あんまりないという気がする。

 解説によると、書かれたのが1976年らしいけど、70年代の猥雑な「生きたニューヨーク」を生鮮保存した感じ。

 笑わせて、わくわくさせて、ほいでときどきじーんとさせる。読み終えると、眼に栄養をもらった気分の一冊です。

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ハンパな遊びが嫌いな方へ!

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 糸井重里さんには、もともと「ことばのきれはし」みたいなモノを愛撫する文癖がありました。『ほほ日刊イトイ新聞』という空前絶後の新市民メディアを作るに当たり、糸井さんはその文癖を意図的に放棄しました。現在、ネット上でも書籍の上でも、あの深遠なるポピュリズム横溢する「ぐだぐだ言い」に出くわすことは、ほとんどない。『新聞』を名乗ったのはダテじゃない。現在の糸井さんはまさに、朝刊コラムのように、歯切れの良い文体を選んでお書きになっています。

 なぜ、「書き方」を変えたのか?

 糸井さんの「ぐだぐだ言い」にはちょっとした特徴があります。一見すると「誰もいないところで独りでしゃべっている」…つまり、独白のように見えるのです。しかし、もちろん、人前に出す以上、それは独白じゃありません。独り言のように見えて、実はさりげなく話しかけている文体。小田和正さんの詩の世界とも、通じる文体。それが糸井さんのオハコです。

 そうした文体は、プロとしての計算だけで書けるものじゃないでしょう。独り言の世界とは、何を言ってもいい世界。つまり、自由が保障された世界です。独り言に耳を貸す誰かがいて、はじめてそれは同じ場所に集う者同士、共有できる楽しみになる。つまり「クリエイション」として成り立つのです。

 独白のように自由な調子で読者に話しかけるとき、クリエイター・糸井さんには、【きっと聞いてくれる人がいる】、という「世の中への信頼」があるのです。自分がどのように話しても、それはクリエイションとして成り立つはずだ。支えてくれる人がいる。どんな創作の意欲にも応えてくれる受け手がいる。

 ですが、そうした創り手と受け手のあいだの幸せな信頼感は、どうやら一度、崩れたようです。

 80年代初頭、各企業が「物」による生活の充実を掲げた時代から、やがてバブル崩壊へ。まずなによりも景気の回復。そうなったとき、クリエイターたちは二義的な存在へ追いやられてしまいました。
 表現の場に於いて、独り言に耳を貸す人がいる素晴らしさは、いつしか「なんとなくしゃべってれば伝わるだろう」という怠惰にすり替わっていたのでしょうか?

 これは80年代的自由の空気を思いきり吸い、演出もしてきたクリエイターが、自分を徹底的に見つめ直し、クリエイションの価値とは何か、再考しようとする本です。

 釣りの本じゃないのか? いえ、中身は全編釣りですが、本書の「釣り」とは、考えの海に遊ぶための手がかりです。いきなり「人間は誤る動物である。」から始まるんだぜ? こりゃ、どう読んでも思想書です。

 しかも、最高に充実した思想書です。

 やったこともないのに釣りに好感を持つ男。その男がゼロから学びトナーメントにも出場する。そうしながらこの男がひたすら考え続けるのは、なんと、人間の可能性と限界です。本書の語り手は、そのふたつのあいだを激しく行ったり来たりする。誰かに聞いてもらうことをほとんど期待してないせいか、この本の「ぐだぐだ言い」には、異様な気合いが漂いますヨ。これを書き終えることが、結果的には現在の『ほぼ日』活動に欠かせない、準備段階だったのかも…

 僕たちは、彼の体験を追読しながら、結局は団塊の世代、新憲法の申し子が挫折の中から復活しようとする様を見ることになるのです。

 副題に「バス釣りは、おもつらい」とある通り、簡単な本じゃない。
 しかし、とにかく、ハンパに考えるのはイヤだ!という方には強烈な一冊です。

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得した気分

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 この本のひとつの核は、冒頭からしばらくの、ていねいな話し言葉にある気がします。
 長年の糸井重里ファンならご存じの通り、糸井さんは、しゃべっても書いても、けっこうお茶目なモノの言い方をされる方です。あまり知られていませんが、さりげなく優しいイジワルを言うことも、そんなに嫌いじゃないはずです。それが、この本では、そうしたお茶目を出来るだけ抑えて、真摯に語り出すトコから始まる。
 邱 永漢という戦前戦後を生き抜いて、いまも鋭敏な視線で世の中を透視する、ひとりのおじいさんと話すためです。
 これは戦後二番目の世代の子供が、いままで、未来のこと、なにも考えてなかったけどだいじょぶでしょか? と、賢者の門を叩くお話し。すると、賢者は言うんですねぇ。「今だって、確固として生きているわけじゃないですよ」。
 そこから、本当のお話が始まります。大丈夫だと思える知恵を探す旅です。
 題名通り、お金の話が中心ですが、インターネットの可能性を巡る対話や、邱さんの若いころのお話しも出てきます。香港亡命時代の邱さんが、編み物をしてた(!)ってご存じでした?

 長い対話の中で、どこからページを開いても、なにかしらのイイ小話しが出てくるようになっています。ワンフレーズに深味がこもるのは、世代を越えて、このおふたりに共通の真骨頂。夜読んでも、電車の中でも得した気分。

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においカミングアウト

2001/07/02 22:53

蒸発する「水分」についての平成文化史

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 黙々と読んでると、ごはんが食べたくなくなるんですよ。
 牛丼屋さんとかラーメン屋さんとかでバイトするヒトが、蒸気といろんな匂いにアテられて、自分じゃ食べる気がしなくなるって言うじゃないスか。あんな感じ。いわゆる「良い匂い」のハナシがほとんど無いんで、一度に4ページ以上読み進むと、かなり、あやしい気分になってしまうと思います(ほめてんのかぁ)。

 ご存じ大人気サイト「Webやぎの目」の超人気コーナーから出た本です。ややコンパクトサイズの黄色い装丁が、かわいーです。
 足の指とか、お相撲さんとか、習字道具とか、都こんぶとか、マッチの火が消えるときとか、たくさんの「におい」についてのコメントが並んでる。ぜんぶつなげると、まるで、ねじめ正一さんの書く現代詩! においというよりは「水分」についての本、てな感じ。
 
 水分、とは? ニンゲンとしての「潤い」つうか…。発汗するなまなましさ。こみ上げる「涙」に込められた感情。「よだれ」に含まれる食欲と、ときにはエッチな感覚、などなど…。

 世の中に、森羅万象、星の数ほど「事物」があれど…たぶん、その「水分」てのが、いちばん文章に起こしにくい物の気がする。歌舞伎とか落語みたいな古典芸能の世界で、名人に対して「艶がある」という誉め言葉があるじゃないスか。達人にしてはじめて表現できる潤いのある美しさ、色気のことを。

 ただ、そういう達人みたいなプロが表現を創るとき、整理整頓して「捨てちゃう水分」があると思う。なんてーか、枝葉扱いされやすいコマカイ感覚。人間的水分の中でも、「表現」として凝固させにくい、ハカナイもの。ひじょーに繊細で微妙なモノ…もう、水なんていう代物でなく、水蒸気のようにふわっと浮いて、よほど優しく扱わないと雲散霧消してしまうモノのことを、この本では「におい」と呼んで、まとめています。

 そういうモノに関する話題が、ネット上で人気を集めるっていうところが、おもろいですね。これは、蒸発しやすい霧のような「ヒトの水分」についての本だと思う。

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