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先月(2017年2月)

ピッピさんのレビュー一覧

投稿者:ピッピ

1 件中 1 件~ 1 件を表示

同時代の面白い書かれたもの/語られたものとして

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 本書中にも登場するサイゼリアで書いています。なるほど安いですね。結論からいうとこの本は面白い。作家とかアーティストのオムニバス・インタビュー集に通ずるものがある。ふだんこういうビジネス書の類いは読まない人なわけですが、たまたま同時に読んでいた、いつか読もうと思って楽しみにしてたヤノーホの『カフカとの対話』よりもある意味ぜんぜん面白かった。 なぜか? 
 ちょっと違うかもしれないけど、田中康夫の『脱ダム宣言』を連想しちゃった。あのステイトメントって彼の書いたどの小説よりも感動的なテキストだとわたしは思うのだけれど、もっといっちゃうと同時代の日本のどの文学作品よりいいなーなんて。とはいっても同時代のもの、それほど読んでないから、例えば保坂和志なんか面白いのかもしれないけど、
 NAM原理じゃないけど資本主義では文学はムリってかんじに特にこの国はなってる感じがして、書き手もあいも変わらず自意識に拘泥してるだけだったり、なんて印象があり、心理学や経済学で説明のつくことしかやってない気がして読む気がしないと。ところが田中康夫は行動でもって自らの思想を示し、パブリックな場で自分とまわりの状況を作品っぽく見せてるような気がするし、動向を見守りたくもなる。
 この本に出てくる外食トップたちも行動の人たち。冷静で、肯定的で、欲望の力が大きいひとたちですね。そして語られてることは現実に根ざしてる。それも「食」というわたしたちみんなが共有できる普遍的かつ具体的テーマ。これからエコロジーが世界を「統制」していくはずですが、彼等の語る未来のヴィジョンが、何年後かに読み返したときにどうなのか?
 もちろんすべてを肯定的に見れるわけではない。一個のハンバーガーに入ってる百数十種類の化学物質(何年か前のある女性誌の調査による)についてマクドナルドの藤田田は語らないし編者もあえてそういう方向からは切り込まない。エコロジーの本ではなく経済/経営のインタビューだからそれでいいのだが。
 彼等のリアリティを伝えようとする編者の手腕も好感が持てる。別なテーマ、例えば医療業界編なども読んでみたいものだ。
 これをきっかけに経営や経済の本を文学作品を読むように読みはじめてみようかなと思わせる。同時代性はそっちにまかせて、文学は古典の再読、シェイクスピアや漱石やドストエフスキーや幾多のマイナー文学たちを読むと。そんな気になった。
 自由業の人にもお薦めですね。

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