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  3. ゆきなさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年8月)

ゆきなさんのレビュー一覧

投稿者:ゆきな

89 件中 1 件~ 15 件を表示

読書を通して一緒に進化していこう:受身の読書から行動する読書へ

17人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本は好きだが、「新書」はほとんど読まない、買わない。
そんな私がなぜこの本を買ってしまったのか。
理由はただひとつ。

「題名にひかれたから」

失礼ながら私は、「勝間和代」というお名前を存じ上げなかった。
リアル書店では、児童書と文芸コーナーしか見ないし、
片田舎の主婦という職業柄、移動はほとんど車で、
電車の広告を拝む機会などない。
テレビはあんまり見ないし、新聞も購読していない。
つまり、勝間さんのプロモーションにひっかからない部類の人間
だったのである。

ネット書店で買った理由も、読みたくてというよりは、
なんとなく買ってしまったという感じ。
でも読み進めるうちに、これは「なんとなく」ではなく、
戦略にハマッタノダと確信した。
“第四章「売る」仕組みを進化させる”には、以下のような一節がある。

「2008年の私の挑戦は、新しい顧客に対してどのようにアプローチ
していくかということです。」

あー、勝間さん。スゴイ営業力ですね。
私、つかまっちゃいましたよ。

内容は「実験的要素をもつ読書からはじめる自己啓発本」とでもいえば
いいのだろうか。
題名から私が想像していた読書論とは異なっていたが
堅苦しくなくて読みやすかった。

勝間さんは、本にはさまざまな可能性があり、
読書には人を進化させる力がある、と述べている。
ただ、自分を進化させるためには「読む技術」が必要であると。
加えて読んだだけで終わりにせず、本のアドバイスを実行に移すことも
必要であると。

でも、行動を実行に移すには勇気がいるものである。
だから、勇気のハードルが低く実行に移しやすい提案がある本というのが
読者にとってのご利益本なのだという。

そんな角度からこの本を見ると、
読者の立場から、書店の立場から、出版社の立場からと
手抜きに見えてしまうほどたくさんの実践と成果の引用がある。
初心者でも行動したくなるような仕掛けが施されていることがわかる。

仕掛けは他にもある。
出版社サイトに特設されているウェブ版『読書進化論』
<http://sgkn.jp/katsuma/>、
『読書進化論』ブログ【勝間和代のBook Lovers】
<http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/book_lovers/>、
印税寄付プログラム Chabo! <http://www.jen-npo.org/chabo/>、
インターネットラジオ、動画インタビュー、コラムなどなど、
考えられるアイディアはすべて詰め込み、
どこからでもかかってこい!的なパワーに圧倒される。

また、期間限定ではあるが、ブログ等に感想をコメント・トラックバック投稿
すると、『読書進化論』の増刷版に掲載されたり、勝間さんのイベントに
ご招待、なんてこともあるようである。
ここまで周到に読者・書店・出版社を巻き込み、
互いに作用しあうような仕掛けをするなんて本当にすごい。

今まであまり意識したことはなかったが、
これからは受身の読書から行動する読書へと、
自分を進化させるような読書をしていきたい。
そして、「新しい本の形態」という実験の開発にもかかわってみたい。
素直にそう思った。

「読書進化論」とは、
「読書を通して一緒に進化していこう」ということなのかもしれない。
勝間さんが本の向こう側で、「こっちへおいでよ」と
手招きしているような気がした。

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情報教育の入門書:子どもと一緒に読んで、学んで、考えていこう

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 家庭で学校で使える情報教育の入門書です。インターネットのしくみ、利用法、マナー、ルール等、インターネット社会における基本的な知識を得ることができます。IT用語やアドバイスも参考になります。イラストをたくさん使って図解していますので、子どもやパソコン初心者の大人も理解しやすいです。また、2007年4月9日から朝日小学生新聞ではじまった「子どもと親のネット教室」という連載は、本書がもとになっています。
 「サイバーリテラシー」とは何でしょう。聞きなれないことばです。本書によれば、「現実社会とネット社会の違いを知り、ネット社会を正しく安全に生きるために不可欠な知識と能力」のことだそう。短くいうと、副題の「ネット社会で身につける正しい判断力」ということになるのでしょう。でも入門書ですから、まずは現実社会を取り巻いているインターネット社会のしくみや利用法から教えてくれます。
 子どもに「インターネットってなあに?」と聞かれて、わかりやすく説明することができますか? 私はできません。ネット歴9年。しかし私はインターネットのしくみをよく知らないまま、なんとなく使えるようになってしまった人間です。感覚的にはわかっているのですが、うまく説明することができないのです。
 我が家では、子どもがインターネットの世界と関わるときは、「親のいるときに、時間限定で、決められたサイトのみアクセスすること」という条件で許可してきました。「どうして決められたサイトへしかアクセスすることができないの?」と問われると、「危険だから」というあいまいな答えしか返せません。さらに、「どういうふうに危険なの?」と問われると、言葉をにごしたり、「とにかくいろいろ危険なのよっ!」と逆ギレしたり。子どもが成長するにつれ、理由なき制限を続けているわけにはいかなくなりました。
 そんなときに出会ったのがこの本です。読みやすい。わかりやすい。頭の中のぼんやりごちゃごちゃが、スッキリクッキリ整理されました。
 我が子たちのインターネットの使い方は、まだ「調べる」「見る・聞く」という段階です。しかしこの段階であっても、著作権の知識が必要です。学校における調べ学習等での「引用」について、どの程度教えているのだろうと気になりました。
 メールや掲示板等を利用するようになると、マナーやルールが必要です。楽しさは広がりますが、ことばのやりとりの難しさ、スパムメール、個人情報、匿名性を利用した危険などが潜んでいます。ケータイを利用するようになると、親の目も届きにくくなります。さらに、金銭が絡むようになってくると、また違ったトラブルが待ち受けています。

 読み終わった後、思いました。インターネットは制約のない世界。便利と危険が混在しています。子どもが危険と出会わないようにするためには、大人が責任をもって守らなくてはならないのです。インターネットでできること、気をつけけなくてはいけないこと。その両方をふまえた上で、子どもの年齢や段階にあわせ、うまくつきあっていく方法を教えてあげなくてはならないのです。
 インターネット社会は常に進化しています。それに伴い、便利性や危険性も増しています。入門書を読んだ程度では、すべてにおいて正しい判断ができるようになるとは思えません。しかしこの本の知識が判断基準となり、小さな危険を回避することはできるでしょう。もうインターネットのない生活は考えられません。理由なき制限をするのはやめて、この本を子どもと一緒に読んで、学んで、考えていこうと思います。インターネット社会で生きる賢い利用者となるために。
■サイバーリテラシー研究所
http://www.cyber-literacy.com/

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紙の本子どものセンスは夕焼けが作る

2006/07/29 22:04

センスを磨く方法は、とってもカンタン。時間がなくてもお金がなくてもできるのです。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タイトルに吸い寄せられるようにして手にした一冊。タイトルと表紙の印象そのままに、スッと沁みこんで共感・実践したくなる、センスを磨く技がたっぷり詰っています。センスを磨きつつ、子育ても楽しむ。そんなすてきな親に私もなれるかも・・・なりたい・・・。読んでいるうちに、そんな気にさせられました。
 著者の山本美芽さんは、音楽ライターであり、子育て真っ最中のお母さん。この本の中で提案しているセンスを磨く方法は、仕事で、いろいろな方とのインタビューを通して感じたことが源になっています。発見したことをご自身の子育ての中で実践し、娘さんや生活の変化を紹介。時間がなくても、お金がなくても、日々の暮らしのなかでどれもできそうなことばかりです。簡単だけれど、なかなか気づかないこと。知らずに実践していたけれど、こういう効果があったんだと確認できたこと等、どの章も興味深く読めました。センスを磨く方法は11の章に分類され、次のようなタイトルがつけられています。
 第1章 部屋のながめを変える
 第2章 色を大切にする
 第3章 とにかく毎日たくさん歌う
 第4章 質感をとらえる
 第5章 遊びを大事にする
 第6章 お母さん自身をメンテナンスする
 第7章 感覚の引き出しをつくる
 第8章 存在感を磨く
 第9章 「お金がない」を禁句にする
 第10章 嫉妬心を飼いならす
 第11章 おだやかな気持ちを保つ
 章タイトルを読んだだけで、なんだかワクワクしませんか。私は自分の気になった章が早く読みたくて、先へ先へと読み進めました。
 たとえば、「質感をとらえる」の章には、五感を使って食べ物を味わうことを心がける、とありました。たとえば、焼きたてのパンを手渡して、「わあ、いいにおい!パリパリしてるね!」と言い、パンが冷めてしまったら「しっとりしちゃったね」と声をかける。食べる前、食べている時、食べた後、残ったもの。「おいしい」という言葉だけでなく、もうすこし具体的なことばを使って話すこと。香り、形、味、歯ざわり、噛みごたえ、舌触りなど、「素材の状態を意識させることに意味がある」のだ、この意識の積み重ねが、モノを見極める「洞察力」へとつながっていくのだ、と山本さんは書かれています。これだったら私にもできそう。是非やってみたいです。
 読み終わって感じたことは、子どものセンスを磨くのは親である「大人」なのだということ。日常の接し方ひとつで、親は子どものセンスを、楽しみながら自然に伸ばしてあげられるのです。親も子も、暮らしの中で習慣化することで身につき、感性豊かな人になれるのです。
 「ウチの子、センスないなぁ」と感じたら、まずは自分の日々の暮らしぶりを振りかえってみてください。そして、自分のセンスに疑問を感じる方は、是非この本を読んでみてください。子どものセンスだけでなく、大人のセンスを磨くヒントも、もらえるはずです。
 仕事と育児、両方をがんばってる方にもオススメです。限られた時間の中で、子どもと遊んだり接したりするエピソードがたくさん紹介されています。自分のライフスタイルの中で「これだったらできそう!」という技が見つかると思います。仕事もママもしなくっちゃならない。両立しながらでも、子育てってこんなに楽しくできるんだ、と元気と発見がもらえますよ。

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紙の本イモムシかいぎ

2009/05/12 18:21

イモムシたちはイモムシとして、精一杯、正々堂々、仲良く楽しく生きているのです。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アオムシは、エリック・カール氏の絵本『はらぺこあおむし』で
世界的に愛されるキャラクターに。
ケムシは、赤塚不二夫氏の漫画『もーれつア太郎』で
嫌われ者のイメージを一新でやんす。
で、イモムシは・・・なんだかパッとしませんねぇ。

議題1.「どうしたら有名人の仲間入りができるのか?」
議題2.「頭のよくなる葉っぱとは?」

そーか、そーか、それで『イモムシかいぎ』なのかぁ。
勝手な妄想を抱きつつ表紙を開くと、当たり前ですが
そこにはまったく異なったお話の世界がひろがっておりました。

「カンカラカーン」と鐘がなると、
イモムシたちは、丘の上の会議場へ移動します。
「チリリンリン」と花のチャイムがなったら、会議の始まりです。

平和な話し合いの空気が、ある発言をきっかけに一転、
テンヤワンヤの大乱闘に。
時を同じくして、もうひとつの事件も起こります。
さてさて、ドウナルノ? ドウナルノ?

最初は、ちょっとうるさく感じた線とにぎやかな色合いは、
会議がはじまる場面あたりから、気にならなくなってきました。
なぜって、虫の視線でみたら世界が複雑なのは当たり前ですものね。

物語の終わり方が、なんともハッピーでステキです。
有名になりたいとか、頭がよくなりたいとか
そんな下世話なことなど考えていませんでした。
イモムシたちはイモムシとして、
精一杯、正々堂々、仲良く楽しく生きているのです。

巻末には、著者の市居みかさん作詞、中川ひろたかさん作曲の
イメージソング「イモムシかいぎ」の楽譜が掲載されています。
のほほんとした詞とメロディがいい感じです。
「ソウデスナ ソウデスナ」
イモムシたちの賛成の声がきこえてきました。

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紙の本雨ふる本屋

2009/03/22 15:36

「雨ふる本屋」は、「物語の種」を雨で育てて本にするというふしぎな本屋です。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

謎めいた本の題名と、表紙の絵に惹かれて手に取りました。
描かれている少女の表情の暗さが妙に気になり、読みたくなったのです。
読んでみると、静かな雰囲気をもったすてきなファンタジー作品でした。

おつかいの帰り道、雨やどりにかけこんだ図書館内で、
ポケットに忍ばせていたカタツムリを落としてしまったルウ子。
信じられないスピードで逃げ出しはじめたカタツムリを追いかけているうちに、
図書館のひみつの通路へと迷い込んでしまいます。
たどりついたのは、「雨ふる本屋」でした。

『不思議の国のアリス』を思わせるはじまり方にワクワクしました。
不思議の国への案内役が、高速で走るカタツムリとは(笑)。
ユニークで気に入りました。

「雨ふる本屋」は、森から流れ集まってくる「物語の種」を
雨で育てて本にするというふしぎな本屋です。
床は草におおわれ、天井からは雨がしとしとと降っています。
テーブルやイスは、必要な時ににょきにょきとはえてきます。
おもしろ~い!
本は水に弱いというツマラナイ概念がガラガラと崩れて
イッキにファンタジーの世界へと連れて行かれちゃいました。

で、お話に戻ると、「雨ふる本屋」では、困った問題を抱えていました。
最近、流れつく「物語の種」の様子がおかしいというのです。
森で何かが起こっているに違いない。
でも誰が?何のために?
その調査をまかされたのが、ルウ子です。

ルウ子は、心に闇を抱えています。
お母さんを独占する妹への不満と嫉妬です。
迷い込んでしまった不思議な世界から
早く帰らなくちゃと思う一方で、帰らないで困らせてやろうとも思っています。
そんな気持ちから、調査を引き受けるのです。

私は長女なので、ルウ子の気持ちが痛いほどよくわかります。
妹は自分より小さくて弱い存在だと頭ではわかってるのだけれど、
お母さんを横取りされた感は消えない。
このくやしさや切なさは、自分ではどうにも処理できないんですよね。
私がルウ子だとしても、やっぱり調査を引き受けたことでしょう。
本屋の問題とルウ子の心の闇をうまく解決していくのが
この物語の見所です。
でも、この先の展開はナイショ。お話を読んでくださいね。

登場人物の設定や描写も、なかなか凝ってます。
たとえば、製本室は明るく広々とした円形の部屋で、
ガラスの床には湖が広がり、
湖にはオーロラ色のスイレンのような花が浮かんでいます。
花の中心にあるゼリーのような「物語の種」は、
サファイア色の天井から降る雨や光で成長し「本」となるのですって。
あぁ~~、本がつくられるところがみたいっっ!

ティータイムで飲んだお茶も気になります。
月の光をにじませた夜の海のような色に、
はちみつ色のすじが渦巻いていて、
立ちのぼる湯気は銀粉のようにきらめいているのですって。
あぁ~~、飲んでみたいっっ!

物語の終盤に、雨ふる本屋の店主フルホン氏は、
こんなことを言っています。

「本というのは、たましいをこめて書かれるかぎり、
 すべてが『すごい本』なのだ。
 それを感じとることができるかどうかは、
 読み手の質にかかっているがね」

スピード感やスリリングな展開は少ないけれど、
心にスッと入り込んできて、小さなさざなみを立てるファンタジー。
私は、この物語の世界が好きです。

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紙の本ペレのあたらしいふく

2001/11/03 06:01

失いたくないもの

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1910年代(!)につくられたおはなし。昔は 当たり前だったことが、どんどん当たり前じゃなくなる時代。だからこそ 読んでほしい絵本です。

 ペレは 金髪のおとこのこ。羊を1ぴき 自分で世話をして 飼っています(この年で すでに自立しています。スゴイ)。上着が小さくなってきたので、羊毛をかりとって 洋服を作ってもらおう……。そうなのです。その昔、洋服は 気軽に買うものでも 買えるものでもなかったのです(ペレが今の時代にやってきたら、おどろくでしょうね)。

 ひつじの毛をすき、つむいで糸にして、糸を染め、糸で布を織って やっと生地が できあがる。それから仕立てやさんで縫ってもらい、ようやく完成します。こんなに手間暇をかけるのですから、当然大切にする気持ちが わいてきますよね。ペレの場合は、自分が育てた羊の毛から できあがった服ですもの。なおさらのことでしょう。

 この本にでてくるおとなたちは みんなペレを一人前として扱います。聞く耳をもち、約束をまもります。そしてペレも しっかり約束をまもり、次の段階へとすすんでいきます。お互いに 手をさしのべあって、お互いに できることをすれば、うまくいかないことなんて そんなにないんじゃないかと思えてきます。

 最後の場面、あたらしいふくをきて ちょっと照れくさそうに 立っているペレ。すこし離れたところから見まもる おとなたちの視線が とてもあたたかでうれしくなってしまいます。

 「ものをたいせつにするこころ」「聞く耳をもち 約束をまもる おとなたち」「持ちつ持たれつ」この絵本には 失いたくないものが、たくさんつまっています。

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心にも恵みの雨をふらそう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ジメジメとした梅雨ではなく、ザーーーッと豪快に降ってカラリと晴れる。そんなさわやかな雨が描かれた『かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり』は、夏にオススメしたい1冊です。

 お話は、カラカラに乾いた大地からはじまります。日照り続きの影響で作物は枯れ、水源も残りわずか。殺伐とした風景の中、かっぱのかっぺいは「きゅうりがたべたい」と思います。すると、おじいさんが大きなきゅうりを荷車にのせて運んでいるではありませんか。かっぺいは、おじいさんの後を追いかけることにします。

 チラリと見える「きゅうりらしきもの」をめがけて走っていくかっぺい。ページをめくると・・・あれれ、きゅうりじゃない。残念。お話を続けていくと、「きゅうりらしきもの」がまたチラリ。ページをめくると・・・きゅうり、じゃない。ああ!予想を裏切られる楽しさは、子どもたちは大好き。こんな楽しい裏切りを経て、かっぺいは大好物のきゅうりとようやく出会えます。

 1場面だけ描かれた雨は、私の一番お気に入りの場面。天から大地に降りそそぐように描かれた雨は、日照り続きのあとの雨。作物に生気をもたらす恵みの雨。その雨は、私の心のモヤモヤやイライラを洗い流し、ニッコリとシアワセで満たしてくれました。

 子どもにとって絵本は、「恵みの雨」なのかもしれません。絵本を通して心の大地はうるおい、心の芽が育っていくのでしょう。もちろん、心が乾いてしまった大人にも有効です。絵本を読んで潤ってください。

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紙の本ザスーラ

2003/11/09 05:39

災難つづきの宇宙ゲーム。まずはゆっくり絵本でどうぞ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

20年を経て発表された『ジュマンジ』の続編、といえば、
オールスバーグファンにはたまりませんね。
ロビン・ウィリアムズ主演の映画『ジュマンジ』の原作が「絵本」だと、
ご存知の方は どのくらいいらっしゃるでしょうか?
映画から絵本の存在を知った方、
村上春樹訳でオールスバーグと出会った方、
とにかくオールスバーグがお好きな方……。どのファンも裏切らず、
前作にまけないスケールの大きさで楽しませてくれます。

『ザスーラ』というのは、ゲームにでてくる惑星の名前。
今回は、宇宙ゲームが繰り広げられるお話です。
こどもたちがゲームを始めると、現実にゲームの世界が入りこんでくる
パターンは同じ。『ジュマンジ』を読んでいなくても、充分にたのしめます。
くわしい内容は、読んでもらいたいので紹介しません。(ゴメンナサイ)

ふたつの作品を比べて、私が強く感じたのは、「絵の空気がちがう」こと!
年月を経て、画風が微妙に違ってくる場合もありますが
これは、意図的に変えて描いたような気がします。

繊細で自然な濃淡だった前作との決定的な違いは、
「輪郭の強調」と「描かれた紙」。
くっきりとした輪郭は、不気味な存在感と立体感があります。
また、原画に使用された紙が地紋のあるものだったらしく
迷路のような細かい模様が そのまま浮き出ています。
その効果か、最初のページから不穏な空気が流れています。
ザラザラとした現実空間とは対照的に、宇宙空間はベターッとした漆黒。
吸いこまれそうな恐ろしい色。ちりばめられている星も、美しいというより
不吉な感じ。また違った空気が表現されています。
モノクロの絵なんて物足りない、とは絶対に言わせない絵です。

お話は、一応ハッピーエンドで終わっています。
でもそれは、「つかのま」なのかもしれません。
裏表紙に描かれている、宇宙空間に浮かぶサイコロは
「ゲームはまだ終わってないよ」という意味ではないでしょうか?
不安がつのる読後感。思わず、もう一度読み直してしまいました…。

こちらも映画化されるようですが、まずは自分のペースでゆっくりと、
絵本の世界でお楽しみください。

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紙の本よるのねこ

2002/10/09 06:05

ねこの目で世界をみる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

三日月の瞳が 満月の瞳に変わるとき、
こんなにも いろいろなものが見えているのですね。
ああ、「ねこの目」があれば 世界が2倍たのしめるのに!
思わず ねこがうらやましくなってしまう絵本です。

おひゃくしょうのリーさんは、夜になるとねこを 外にだしてやります。
そとは まっくら。月と 星と 窓越しのあかりだけ。
影絵のようなシルエットが 描かれています。
次のページをめくると、
色とりどりの花や 家や 寝ている鳥の姿までもが くっきり!

   『わたしたちには よく みえないのに、
   ねこには なんでも はっきり みえます。』

人間の目で見える ほとんど闇の風景と、
ねこの目で見える 色鮮やかな風景とが 交互にあらわれます。
その対比は、まるで 手品のたねあかしをするかのよう。
ページを前後させて なんどもなんども 確かめたくなります。

“ねこの目を通して世界をみる”
30年以上前の発想ですが とても斬新です。
絵もデザイン性が高く 色合いも洗練されています。
文章はお話というより ナレーションのよう。
まず ねこが勝手にあるいていき
それを追いかけるように 淡々としたことばがあります。
そんなことばなど まったく無視して 
ねこは こちらを見ようともしない。
じぶんの気のむくまま ひたすら進んでいく…
このあたりも ねこの習性がうまくでていて
うまいなぁと思います。

何度みても センスの良さに感心。
くりかえし みたくなってしまう 1冊です。

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紙の本たんじょうび

2002/03/30 06:44

本当の贈り物。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 お誕生日に贈るプレゼント。その「プレゼント」は 形式的なモノになっていませんか? 当たり前のことかもしれませんが、気持ちがあってモノがある。気持ちを形にしたものがプレゼントであって、プレゼントはメインではないはずです。この絵本は、本当の贈り物についてあらためて考えるきっかけとなりました。 

 のはらの一軒家に、たくさんの動物たちと一緒に暮らすリゼッテおばあちゃん。おばあちゃんがかわいがってくれるので、動物たちはのびのびと元気いっぱい。しあわせに暮らしています。

 76歳のたんじょうびに、おばあちゃんはむらへかいものにでかけます。夕方までのおるすばんの間、ねこのマウリとルリ、犬のベロが中心となってお誕生パーティーの準備をはじめます。おどろかされるのは、おばあちゃんだけではありません(笑)。読み手は準備から最後まで、ワクワクさせられます。

 動物たちの行為は感謝のしるし。おばあちゃんが普段どのくらい動物たちに愛情をそそいでいるかがよくわかります。ほんとうにすばらしいパーティーです。やさしい気持ちに満ちた空間に並べられた手作りのケーキ。こころまであたたかく、明るく照らす闇夜のろうそく。からだでよろこびや笑いを表現するおしばい。最後はとっておきの新しいちいさな命。どんなにかうれしかったことでしょう!

 その人が、この世に生まれてきてくれたことを感謝してとびきりの方法で贈る「まごころ」。これ以上のプレゼントはないような気がします。そんなプレゼントを贈ることのできるひとでありたい。もしも贈られたら、うれしいと感じられるひとでありたい、と思いました……。

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紙の本いいこってどんなこ?

2001/06/21 06:39

理想の母親像かもしれない。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表紙には うさぎの親子がみつめあう姿。
こどもが話しているようにもみえるし、おかあさんが話しているようにも見えます。
温かく深く こころに響く色合いの ステキな絵です。
おはなしは、うさぎのバニーぼうやがおかあさんに
いいこってどんなこか たずねるところからはじまります。

「ぜったい なかないのが いいこなの?
ぼく、なかないように したほうが いい?」

おかあさんは こたえました。
「ないたっていいのよ。でもね、バニーがないていると、
なんだか おかあさんまで かなしくなるわ」 

バニーのおかあさんは、とても聞き上手です。
じぶんから こんなこがいいこだとは ひとこともいいません。
バニーが どんなことをかんがえているのか
幼いことばのすべてを まず全身で受けとめ
それから やさしくわかりやすく こたえてあげています。
どのページでも、必ず バニーの瞳をみつめながら話す
おかあさんの姿が印象的です。

こんなおかあさんが 欲しかった
こんなおかあさんで ありたい
と、誰もがきっと 思うことでしょう。
いくつになっても いつもいつでも
世界中にひとりくらいは
じぶんを まるごと受けとめてくれる味方が
絶対に必要だと思うのです。

バーニーのおかあさんは 理想の母親像かもしれません。
程遠い存在のわたしは
せめてもと思い 絵本を読んであげています。

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紙の本どろにんげん 特製版

2006/08/14 19:12

豪快満腹。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

月刊誌「こどものとも」50周年を記念して刊行された、
「こどものともセレクション」(全15冊)の内の1冊。
ものすごい題名。
コレハ、イッタイ・・・?
「どろにんげん」というのは、おばけらしい。
地上を歩くタコが、出てくるらしい。
ひたすら空は、ピンク色。
でっかいおイモも、出てくるらしい。
なんて平和で愉快な世界なのでしょう。
長新太さんの描く、広々とした水平線や地平線や
鮮やかな色合いをボンヤリながめていると、
心が解放されていく。
独特のナンセンスな展開は、
ちっぽけな自分の悩みを、笑いとばしてくれる。
豪快満腹。
秋に読みたい1冊です。

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いっしょに歌って、地球をパレードしよう

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『世界中のこどもたちが』という歌を知っていますか?
シンガーソングライターで、絵本もてがける新沢としひこさんが作詞、
絵本作家中川ひろたかさんが作曲された歌。

  ♪せかいじゅうのこどもたちが いちどにわらったら
   そらもわらうだろう ラララうみもわらうだろう♪

音楽の教科書にも採用されていたり、テレビ番組の中で歌われることもあるので、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
この絵本は、『世界中のこどもたちが』の歌をモチーフに、世界中が平和になるようにと願いを込め、103人の絵本作家たちが参加してうまれた作品です。

それにしても、総勢103人の絵がどうやって一冊に??

実際に見るまでは画集のようなイメージを持っていたのですが、手にした絵本は、予想外のと〜ってもすばらしい構成でした。ひとつひとつの絵が手をつなぎあい、曲にあわせて歌ったり踊ったりしているのです!

この103の個性的な絵のように、さまざまな人種がいて、生活スタイルも考え方も少しずつ異なっています。でも、みんな同じ星に住んでいるのです。「平和」という同じ価値観をもって、こんなふうに地球をパレードできたらステキだなぁと思います。

たっぷりの愛情と魂が込められた絵は、ドーン、チョコン、2ページに渡りつながって、とサイズも配置も工夫されています。お気に入りの絵本作家がいつもとはちょっと違う画風だったり、今まで知らなかったけれど、この人の絵いいなぁ、
なんて発見がありました。「これは誰の絵?」と当てっこするのも楽しいですよ。
(103人全員正解できたら、あなたはかなりの絵本通です)

参加した絵本作家たちは、現役&第一線で活躍中の方々ばかり! ものすごく豪華な顔ぶれです。裏を返せば、それだけ多くの方々が本気で平和を願っているということ。そして、ただ願っているだけでなく、自分たちのできることで行動をおこし発信した、というところがスゴイと思います。

付録には、2004年3月19日・20日に、この絵本の原画制作を公開したイベントの記録や絵本が誕生するまでの経緯、参加した絵本作家たちが紹介されています。真剣で熱気にあふれた時間がギューっと詰まった内容に胸が熱くなります。

一般人の私たちは、そんな行動なんておこせない?

いえいえ、私たちにもできることはあります。この絵本の印税は、全額ユニセフに寄付されるのだそう。ささやかですが、そんなところから絵本作家たちといっしょに、平和を願ってみてはいかがでしょう? そしてそして、いっしょに歌いましょう。 ♪せかいじゅうのこどもたちがぁ〜

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紙の本はくちょう

2003/09/21 07:21

愛するひとへ贈りたい

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『はくちょう』という題名は、ちょっとズルイ。
それだけでもう、なんだか切ない気分にさせられてしまうではないか。
ナンセンスの代表作家、内田麟太郎さんと
叙情的な画家、伊勢英子さんという異色のコンビ作品。
題名と表紙を見ただけで、期待が高まる。

見開きは真っ白だった。
白鳥の「白」? 何も予感させないようにしているの?
そーっと、ページをめくってみる。
ものがたりは、何の前触れもなく、いきなりはじまっていた。
不意打ち。これはかなりズルイ。
1ページ目から術中にハマッテしまったのを感じながら 
ゆっくりとページをめくっていった。

情緒たっぷりのうつくしい絵が、胸をしめつける。
少ないことばが、切なさを倍増させる。
恋愛経験のないこどもは また違った受けとめ方をするのだろうが、
私は、閉じていた気持ちのフタをあけられてしまったような気持ちがした。
一途に相手を思いやる気持ち。
恋愛中の引き寄せられるような想いや切なさ…。
結婚してこどもを産んだりすると、相手への愛は変わらなくとも、
あの「切なさ」は、ほぼ消滅する。いったいどこへいくのだろう?

背表紙から表紙へとつながる文字。 「CYGNE CHANTEUR」
フランス語で「歌う白鳥」と書かれている。
この作品では、最後のひと声ではなく、愛のうたの意味だろう。
人間はことばを持って、気持ちがわかりあえるようになったというが、
ほんとうだろうか?
ことばで傷つけあうことのほうが、多くなってきているのではないだろうか?
白く 細く 長い首から 絞りだすような声。
「くうー」 「くうー」
このひと声でわかりあえる白鳥のほうが、ずっとずっとスゴイ気がする。

飛べるもの と 飛べないもの。 動 と 静。
性格も、育った環境も、まったく違うふたりには 
大きな壁があるように思えた。でも、奇跡はおこる。

ことばが少ない分、感じ方はひとそれぞれだと思う。
私は、こころの深いところが揺さぶられた。
と同時に、まったく別の想いがあたまを駆け巡った。
「私の愛って、こんなにちっぽけなものだったんだ…」
主張ばかりして、相手の気持ちで考えることが少なくなっていた自分に
気づいてしまったのだった。なんだか情けなくて、涙がでた。
作品の余韻とともに、触発された想いを抱え、
私は、しばらくぼんやりと 愛について考えていた。

内田麟太郎さんのことばは、マジメモード。
でも文章だけに注目すると、いつもの独特のナンセンスも交じっている。
伊勢英子さんの魂を込めた絵と組み合わせることによって、
純粋さが強調され、ドラマティックな作品になっていると思う。
これが別の画家だったら きっとこの世界は生まれなかっただろう。
1枚1枚キャンバスに描かれた絵は貴重だ。
どの場面を額縁に入れて飾ってもいいようなすばらしい絵だ。
価値ある1冊。
愛するひとへ贈りたい。

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こころに響く絵本。贈りたい1冊。

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すてきな題名です。
ちょっと大きめのサイズに、絵も文も ゆったりと配置されています。
おとなもこどもも楽しめて こころに響く絵本です。

おはなしのはじまりは 電話のベルが鳴りだすところから。
電話をとったのは 少年。かけてきた相手は おばあちゃん。
ひとりでおいでといわれ、どうやっていけばいいの?とたずねる少年に
おばあちゃんは こう答えます。

   おうちの まえの みちを まっすぐ いって
   いなかみちを まっすぐ まっすぐ

なかなか意味深なセリフです。
『まっすぐ』ということばがくりかえし使われ 強調されています。
気になって辞書をひくと、3つの意味がありました。

 まっすぐ(真っ直ぐ)
 1.少しもまがっていないこと
 2.途中でそれたり寄り道したりせずに行くこと
 3.正直で偽ったりごまかしたりしないこと

どの意味も当てはまるような気がします。
おばあちゃんのよびかけは、前に進むためのきっかけで
意味は自分で考えなさい、ということではないでしょうか。

少年のとった行動は3。いちばんむずかしい『まっすぐ』です。
絵をみる限りでは道をそれ、一瞬まちがったかのように見えてしまう選択。
それまで静かにきいていたこどもたちも、道からそれる場面だけ
「そっちはちがうよ〜」という声がでました。
でも、ページをすすめていくと、試行錯誤しながらもすすんでいく
少年といっしょになって 冒険をたのしんでいました。

無事に到着。おばあちゃんの家でのくつろぎのひととき。
少年の顔に注目してみてください。
自信に満ちあふれ、前よりもずっとおとなっぽくみえます。
テーブルの上にも注目!
ケーキの大きさも飲み物のコップも、おばあちゃん(大人)と同じです。
いちにんまえとして 認められた証拠でしょう。
少年は、たどりつくまでのできごとには触れませんが
人生の大先輩は、すべてお見通し。
愛情あふれる笑顔が そう語っています。

不安がふくらみ、前にすすむのがちょっとこわくなったとき 
私はこの絵本をひらきます。 少年の冒険は、
ちぢこまったこころをふんわりとやわらげ、前向きにしてくれます。
おとなにも こどもにも じんわり効きますよ。

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