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KOMSAさんのレビュー一覧

投稿者:KOMSA

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本亡国のイージス 上

2004/11/30 21:20

惰眠を糾弾する諦念

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

“日本のトム・クランシー”福井晴俊の渾身作である。

この小説は男性向けだと思う。
夥しい兵器の描写や戦闘シーンなど、
それだけでひいてしまう読者もいるだろう。

しかし、この小説に横たわるのは、
人間として生きていく為には何が大切な事なのか
という作者の諦念なのだ。

防衛やテロに対して国民や政治家や官僚は惰眠を貪っていると、
福井晴俊はエンターテインメントの側面で糾弾する。

第一章を読んで涙が溢れた。
何故かはここで語らずにおくが、
作者はこのエピソードを記したくて、
この小説を執筆したのではないかと思われるほどだ。

阪本順治監督により防衛庁全面協力で映画も撮影中と聞く。
ある時期、ゴジラ映画は自衛隊のプロパガンダに堕してしまった。
イラク派兵の期限も決まらない中で、
この作品がただ格好よく自衛隊を描くだけでない事を祈りたい。

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紙の本6ステイン

2005/01/05 17:13

「染み」を踏み台にした日常とは?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者初の短編集であるが、
内容は長編に負けじとハードだ。

全てのシュチュエーションに防衛庁情報局(通称・ダイス)が絡まる。
しかし主人公たちが何の為に戦うかは様々だ。

福井作品の主人公は無辜なる者への眼差しが優しい。
それは守るに値する市井の人々をおのれの任務に巻き込んだ時に発揮される。

果たして日本は守るに値する国家なのかを糾弾した
壮大な舞台を用意した「亡国のイージス」とは違い、
特殊な任務を一般人の仮面を被り日常を生きる情報局員を描く事で、
福井は名もなき人々の暗闘を読者の眼前に突きつける。

表題になっている「6ステイン」の“ステイン”とは【染み】である。
それも痕跡さえ残す事が許されない悲しく儚い染みの数々なのだ。

その染みを踏み台として国家として成り立っている我々の世界が、
どんなに虚弱で脆い物なのかを福井はこの短編集で語りたかったに違いない。

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「闇」に挑む「病み」

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

町山は常に不機嫌である。それが何に向けられるか? 愛してやまない映画か、それとも理不尽なアメリカ? そうではなく、アメリカを好きにならずにはいられない自分自身に対してだろうか。この本には町山の答えがある。アメリカは9.11以降「闇」の時代をむかえている。しかしその闇を愛さずにはいられない町山の苦悩がある。「闇」に贖えるのは「病み」だけなのだ。猟奇的な犯罪、トホホな人々、しかしそれが抱えている「病み」はアメリカの「闇」を仄かに照らしている。それを共有して、それでもそんなアメリカを愛している自分を判って欲しい。茶化しと罵倒の中に町山のそんな叫びが聞こえてくるようだ。この本を読んで、ちょっとだけアメリカを愛せるような気がした。

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紙の本川の深さは

2005/01/25 16:31

川の深さを抱いて眠れ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

地味な装丁と題名に惑わされてはいけない。

この小説は福井晴敏のテーマが凝縮された、
血沸き肉踊るエンターティンメントなのだ。

主人公・桃山は刑事を退官して、
今は手を抜いたルーチンの警備業務をこなすだけの日々を送っている。
題名の「川の深さは」は桃山の棲むアパート裏に流れる荒川に呼応する。

台風で川幅が増しごうごうと流れる暗い水。
それが桃山の心象風景であることに疑いはない。
穏やかな川の流れに身を置くより、
桃山は“生きている実感”を欲しくて
濁流に再び自分を没入させることになる。

在日CIA、北朝鮮、ヤクザ、防衛庁の秘密機関。
止む事のないバトルロワイヤルは、
東京を市街戦に巻き込みながら主人公の居場所を探し続ける。

なんだ、いつもの福井テイストじゃないか。
まったくその通りなのだ。だがそうでなくてはいけない。
読者を裏切らない展開が福井晴敏の持ち味なのだから。

ここで描かれた東京の市街戦は、本年度刊行予定の
「Op.ローズダスト」で更なる進化を遂げるだろう。

日常の中で描かれる殲滅戦は、
登場人物のアイデンティティであり、
危機管理から疎外された国家の行く末でもあるのだ。

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