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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

うつほさんのレビュー一覧

投稿者:うつほ

59 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本亡国のイージス

2001/12/16 16:06

出会えてよかった本

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 如月行(こう)は海に向かって手を振った。
 
 弾薬庫の誘爆が直径500メートルに及ぶ基地を瓦礫の山にした「辺野古ディストラクション」のために、実現の可能性の少なかった戦域ミサイル防衛構想(TMD)が再燃し、海上自衛隊は全護衛艦のイージス化を計画。その一番艦としてミニ・イージス・システムを搭載した<いそかぜ>の艦長には宮津が選ばれた。
 演習を進めながら瀬戸内海から太平洋へと進む<いそかぜ>に僚艦<うらかぜ>。<うらかぜ>との模擬戦に備えて別行動をとった<いそかぜ>だったが、飛行機墜落事故の救出に向かいだした頃から、船員の中に奇妙な行動が目に付くようになり……。
 
 泣けました! 感動した! 途中からのあの急迫。普通の本ならクライマックスに入っているであろうくらいの長さの時点で、急転、急転。そして敵と味方が不明なまま事態は進行していき、緊迫の中でギリギリの戦いを強いられる男達。奪われた<ネスト>めぐるやり取りが、いつしかアレを盾にしたにらみ合いになり、国を統制する首相や大臣達は国家の立場(自分達の立場)と国民の命と国際的均衡を秤にかけつつ翻弄される。その周りで戦士達は屍を撒き散らしているというにもかかわらず。
  とにかく仙石恒史(ひさし)先任伍長がかっこいい! そして戦う男達もかっこいい。<うらかぜ>艦長阿久津とか、宗像一等空尉とか、ダイスの隊員宮下とか真壁とか、渥美とか、そして冷や汗かきながらも頑張った内閣情報調査室長瀬戸和馬52歳とか。それから行の一途なまでの物悲しさ。
 戦争反対、とにかく武器は持たないという考えを持っているが、だからと言ってこの話に反感を持つことなどなかった。頭ごなしに反対を唱えた生ぬるい反戦論より、よほど真に迫る。
 しかしこの小説の真髄はそれではなく、極限を提示した後に見せる、人間という存在のむなしさ、清々しさなのだ。月に繭〜でもそうだったが、ラストの浄化しきった感情の凪ぎに辿り付いた時のこの胸に迫るものは。出来るものなら★6つくらい付けたい。

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紙の本ハツカネズミと人間

2001/11/22 02:11

約束のよろこび……果てぬ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 生きることの生々しい喜びと悲しみを感じた。レニーがジョージにせがみ、共に語り合うちいさくて大きい、そして暖かな夢。それを語ることが彼らの「生」の重要な部分だった。
 いろんな訳書がある中でも、私はこれをおすすめする。巻末に載っている「新潮文庫版に寄せて」という文章の中で、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズの詩「ハツカネズミに」の第七節から抜き出した、本書の原題「Of Mice and Men」が書かれている。この話を読んであれを見ると、また一層胸に押してくるものがある。
 おしまいの方のジョージの動きのひとつひとつからは、読み取れる感情がたくさんあって、本当に切ない。読後、しばらく本を手にしたままぼうっとしてしまうような余韻とともに。

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紙の本銀河英雄伝説 1 黎明篇

2002/04/09 01:56

華やかな彩りの世界

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 田中芳樹である。「何を今さら」と言ってもよいこの『銀河英雄伝説』は田中芳樹の著書の中でも比類ないスケールを持った宇宙歴史ものである。彼の小説は機智に富んだ言葉の応酬から、緻密でいて怒涛の展開、ユーモラスで表情豊かなキャラクターまで、今さら語るべくもないが、この銀英伝はそれらの中でもひときわ強い色彩イメージを持っている。
 例えば金粉の散るごとく豪奢な金髪を波打たせた美貌の将官ラインハルト。赤毛ののっぽさんことキルヒアイス。金銀妖眼(ヘテロクロミア)のロイエンタールに、蜂蜜色の髪と小柄だが躍動的な肢体を持つミッターマイヤー。それ以外の将官らも合わせ、彼らが黒と金を基調にした軍服を着て並び立つところなど、紙面から色彩が溢れ出してきそうなほどだ。もちろん帝国軍ほどの華美さはないが同盟軍にも訴えかける色彩イメージは存在する。その限りにおいて、この物語が宇宙を舞台にしていようと、歴史物語であろうと、そのドラマは無機質で味気もしゃれっ気もない灰色の文字の羅列には終らないのである。

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カムイたちのユーカラの中でも、アイヌ・ラッ・クルの話はストーリー性が高い

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 いくつかの神謡(カムイ・ユカラ、またはオイナ)と、人間に近い神さまアイヌ・ラッ・クルの活躍する英雄叙事詩がおさめられている。
 英雄叙事詩はたいてい暴れ者のイメージの強い破天荒な超人物語が多いのだが、このアイヌ・ラッ・クル伝はストーリー性の高いもの。彼が生まれる前の国造りの時から物語は始まる。
 神謡はどれも素敵だったが、私の一押しは鼻長ネズミが語った話である。
 シマフクロウの神様は、
 「どんなによいことでも、よく考えて行動しないと、思いがけないことがおきるものだよ」
 と優しく諭した。
 
 著者が今は亡き人なのがとても惜しい。失われつつあるアイヌ文学は、それが口伝文学であるが故に、掌に掬った水のように儚く文化の渦の中に落ち込んでしまうのか。

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プラチナ・ビーズ

2001/10/28 16:38

買って損なし!読んで無駄なし

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 <会社>と呼ばれる米国の組織の下で人的情報収集活動(ヒューミント)に従事する葉山。横須賀基地NISC(海軍調査軍)の坂下。ジャーナリストの肩書きを持って葉山たちとともに会社の下で動くJD。彼らの上に立つエディ。彼らの前に現れる謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは。そしてちらほらと影を伺わせる謎の男の正体とは。
 確かに大型新人の肩書きをつけられただけはあると思った。設定は難しそうなのに、専門知識も要らず文句なく面白いのでこれならわりと低年齢層にもおすすめできる。お気に入りのシーンは病室にエディと共に無言で入ってくる坂下が、葉山に「ここから出て行け!」と言われて無言で出て行くところ。なんだかんだ言って坂下は葉山が可愛いのではないかと。
 今作はスパイ要素、アクション要素満載だったが、自作のスリー・アゲーツは家族愛を昇華させていて、これとは違った面白さを増している。どちらもおすすめ。

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断鎖

2002/05/08 07:57

本当の自由はどこにあるのか

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

亮司はいつも鎖を断ち切ることを望んでいた。完璧な親の庇護を嫌い、いつでもそこから逃げ出そうとしていた。自由を求めて幾度も逃げるうち、崔という男の片棒をかついで中国人の空路密入国を手伝いながら暮らすことになる。
「人助け」その言葉を全面的に信じたわけではないが、心地よかったのも事実だ。だが簡単な日本人化教育のための「学校」が何者かに襲われ、不法入国者たちが殺される。会社のメンバーたちはちりじりになり、再びあてどもなく彷徨いはじめた亮司の前にその男は現れたのだった。

——革命を起こさないか、この国に。

男が囁く魅惑的な言葉。超越者のごとく飄々とした男の言葉は、どこか啓示めいた絶対的な響きを持っていた。

双葉社からの新シリーズのようだが、『プラチナ・ビーズ』などでなじみの<彼>も登場する。一体<彼>の正体は何者なのか? <彼>のなそうとしている革命とは。R/EVOLUTIONというシリーズタイトルも面白い。革命と発展、このふたつは果たして表裏一体のものなのだろうか。
続きをドキドキしながら読んで、最後にはほろりとさせられ、深まる謎に次回への期待も高まる。

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世界紛争地図

2002/04/27 00:53

終らない紛争の世紀

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アフガニスタンでの戦争は記憶に新しい。急迫するパレスチナ紛争のニュースからは目が離せない。
20世紀は戦争と革命の時代である。そして、21世紀に入っても尚、世界からは紛争がなくなるどころか、泥沼化しているものや一時膠着状態のものばかりである。
今、世界の紛争の多くは宗教や民族問題などのためだと言われている。介入する国家は正義という名目を持ち出すことを好み、いつの間にかうまくごまかされた気分になる。しかし著者は冒頭で、これら紛争の原因は経済闘争だと言い切る。
本書はこれらの紛争について表向きの対立理由を書きたてるのではなく、本当の原因、「誰が」「どのような利権のために」「何を利用し」た紛争なのかを解き明かす。
これらは多くの国際政治学者のような海外ニュースを後追いしただけの文章ではない。実際に現地へ飛び、人々の声や空気から掴んだものも本書に生かされていると思う。

本書は二部に分かれており、第一部「世界の火薬庫総点検」として各国の軍事力や各紛争についてまとめている。第二部「国際紛争を煽る要因」では8つの項目に分けて、大国の利権争いや国連の無力について言及している。

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ニュースになったネコ

2002/04/24 02:52

勇敢なネコ、かわいそうなネコ、いたずらなネコ、巨大なネコ…ネコ人生もさまざま

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マーティン・ルイスの集めた数多くのネコに関するニュースは、どれもあっと驚き呆れ返るものばかり。自由奔放で無邪気な小悪魔なネコらしく、どこネコもすごいんです。とにかく。
テレビで有名になったネコ、窮地を助かったネコ、隣近所にささいないたずらをしかけるネコ、人間並み(以上の?)の権利や名誉や金銭を得たネコ。どのネコたちにもニュースを受け取った人々はあたたかい気持ちを抱いたことでしょう。どんなことをしたって人がネコから得るものはそれ以上なんですから。
それにしてもよくもこれだけという数のニュースです。同出版社からイヌのニュースの本も出ていますが、出来れば今後もネコに関するニュースで第二弾、第三弾と本を出して欲しいものです。
著者がイギリスのキャスターなので多くはイギリスのニュースなのですが、終わりの方に一枚だけ載っている日本のネコはとびきり凄かったです。あるものに向かってジャンプしているのですが……ネコの好奇心もここまでくればいっぱしのハンターですね。

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京都猫町さがし

2002/04/24 02:50

猫がいるだけで異界

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モノクロォムの風景にぽつねんと一匹佇む猫の姿——

京都には猫が似合う、いや、猫が京都という歴史と風情と人情のある町並みに似合っているからなのか。
探し絵の感覚で、ページを繰るたびに次は何処に猫がいるのだろうかと期待してしまう。道端でごろり、塀の上にそろり、店先にだらり。のんびり、ゆったり、時の流れを忘れたような懐かしさを感じる京都に猫は住みつづけている。
佇む猫はさて、自分が風景の影の支配者だとわかっているのか、いないのか。そんなてのひらサイズの写真集である。
長年にわたり撮られているので、下町の資料としても一見の価値はあると思う。もちろん猫を探さないなんて「勿体無い」と言うしかないけれども。

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わが指揮艦スパロー号

2002/03/30 15:07

若き海尉艦長の誕生。しかし上層部には国のために戦争をするもの、私欲のためにするものとが…

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 ホワイト・ヒルズ号で死闘の末、リベンジ号を手に入れてアンティグア島に凱旋したリチャードは、とうとう海尉艦長(コマンダー)として艦を指揮することになった。艦の名はスパロー号。船齢2年のまだ新しいスループ艦である。時は1778年4月。西インド諸島とカリブ海にいる英国海軍の本拠地であり、統轄の中軸であるイングリッシュ・ハーバーから物語は始まる。
 
 毎回成長が楽しみなリチャード・ボライソー。もちろん今回も一皮剥けてくれる。士官として、どんな時にも冷静に余裕を持っていることを水兵たちに見せること。指揮官として、名誉よりも多くの男たちの命を預かっているという責任の重さ。それらをこれまでの航海で自覚し、身に付けたボライソー。今度はさらに、スパロー号にての艦長生活において広い視野に立ってものごとを見ることを学び取っている。部下の水兵に責任を持つ海尉ではなく、命を預かる一艦の艦長でもなく、上の人間達のこと、政治的なやり取り、戦争の大局、これらを自分を基準に見るのではなく、一歩引いて自分もひとつの部分として見る広い視野で。
 また、スパロー号の部下たちとの間に育まれる信頼関係も忘れてはいけない。ボライソー艦長の言動に感嘆し、尊敬し、にやりとする彼らは生き生きとしている。前任の艦長が酷かったぶんその思いもひとしおではなかろうか。
 物語の方も、ティロル副長とグレーブズとの過去や、士官候補生たちの力関係、美しい娘との出会いに、上層部の不穏な動き。やっぱり目が離せない。しかし中でも個人的に印象深かったのが、奇抜な格好で笑わせてくれたダルキース軍医の大活躍の1シーン。外見はかなりかっこよくないが、思わず「かっこいい!」と呟いてしまうことだろう。
 
<登場人物>
リチャード・ボライソー 前回のリベンジ号の拿捕の功績が認められて海尉艦長(コマンダー)に昇進。カフーンの戦隊にて十八門搭載スループ艦スパロー号をあずかる。
 
ジェスロー・ティロル 副長。長身で肩幅が広く、芯まで潮焼けしている。ひどく多い赤茶色の髪。アメリカ植民地で生まれ育った“現地入植者”。操船技術はかなりある。アメリカ沿岸の土地鑑もあるので頼りになる。
 
ヘクター・グレーブズ 二等海尉。ティロルとわけあって反目している。
 
マサイアス・バックル 航海長。背が低く、肩が張っていかつい体つき。しっかりした目つきで、髪はディックのと同じく黒い。艦内で一番年嵩。
 
ロバート・ダルキース 軍医。若いのにぜい肉たっぷりで、つるつるに禿げた頭に真っ赤なかつらをかぶっている。腕はよく、教養もユーモアもある。ピストルの名手。
 
ロック 主計長。威勢がよくて愛嬌のあるやせっぽち。
 
ヘイワード 士官候補生。ほっそりして、感じのいい顔立ち。スパロー号には就役以来乗っている。素晴らしい剣の使い手。
 
ビートン 士官候補生。丸顔のたくましい若者。その顔は色濃いそばかすの塊。
 
ティルビー 掌帆長。しまりのない巨体の持主。気象知識は正確無比。図体がでかく、不格好で、ぼってりした顔が飲み過ぎのために皺だらけ。
 
ユール 同掌砲長。ティルビーの友。イタチのように肌がなめらかで黒く、鋭くて残忍な目が絶えず動いている。
 
ジョン・モールビー フォーン号の海尉艦長。非常に細い男。ひどい猫背でなかったら上背は優に6フィートを越えていた。
 
サー・イーブリン・クリスティ 赤色艦隊海軍少将。バス勲爵士。リチャードに一段上の勉強をさせてみたり、と視野の広い上官。
 
ヘクター・フォーリー 陸軍大佐。寸分隙のない伊達男。

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革命の海

2002/02/06 16:42

アメリカ独立のうねり

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 故郷で受けた乗艦命令を手にトロイヤン号に乗り込み、リチャードはアメリカ沿岸を警備する任についていた。トロイヤン号はこれまで乗り込んでいた艦とは違い士官・乗組員・海兵隊員合わせて650名あまりという、大型で足の遅い戦列艦である。母も妹も居なくなった、父だけの寂しい故郷に帰ったあの時から2年。変わりばえのしない日々を送っている間に、世の中ではアメリカ独立戦争が起こっていた。
 
 ディックと先任(上官)たちの関係が、今までの大人と子供の精神的距離感から、よき先輩後輩となっている。デステアーやケアンズはディックのことをよき仲間、可愛い後輩としながらも、どこか一目置いている。ディックの内面の成長がうかがわれる巻である。また年少の士官や士官候補生たちに対しても、一段と頼れる先任振りを見せている。上の人たちの振る舞いを見て考え、それらを少しずつ自分ものにしていくたくましさ。ストックデールも彼の成長ぶりを見守るのが楽しみなのではなかろうか。そしてクイン。彼の失敗、決意、挫折、成長と目が離せない。この巻の陰の主役だろう。
 
 シリーズでたくさん出版されている本書。邦訳シリーズでは2番目となっているが、もちろんこの本から読んでもかまわない。むしろ、のめりこみたいならここから読むのをおすすめする。一応時間的には『スペインの財宝船』の2年後である。
 
<登場人物>
リチャード・ボライソー 20才  トロイヤン号四等海尉。トロイヤン号に乗り組んで2年(この間に独立戦争)。前作から2年も経っているからか、海尉の落ち着きを身につけている。カードに強いらしい。

ギルバート・ブライス・ピアズ 42才  トロイヤン号艦長。歳より老けて見える。ずんぐり、いや、がっしりした体つきでトロイヤン号のように力強く、堂々とした風格がある。

ニール・ケアンズ 28才  副長。背が高く、やせぎすで非常に自律的な男。まずめったに笑顔を見せないが、それでいて実に魅力のある男。

スパーク  二等海尉。片頬に硬貨形の傷跡のある厳しい顔つきの男。

ジョージ・プロービン  三等海尉。気難しく理屈っぽく情味の無い男。

サイモン・ダリエル  五等海尉。

ジェームズ・クイン 18才  六等海尉。物語の始まるつい5か月前まで士官候補生だった。実家はロンドンで革の貿易をしている。

デステアー  海兵隊隊長。陸軍大尉。何かというと気安くディックに絡んでくる剛毅な年長の友人。

レイ  中尉。

イラズマス・バンス  航海長。デボン州出身。信心家。陰で「賢人」と呼ばれている。背丈は優に6フィートを超え、胸が厚く、長い灰色の蓬髪。目は深くくぼんで澄み、その上の濃い眉毛と同じくらいに黒い。

モールズワース  主計長。顔が青白く、神経質に目をぱちぱちさせる癖がある。

ロバート・ソーンダイク  軍医。年中にこにこしている。血や骨を扱う商売より役者のほうが似つかわしいとはピアズの評。

士官候補生たち  カズンズ/フォーブズ/リビー/ウェストン/ハイギュー/ハス/ラン/バーズラム/プリン

<トロイヤン号>
9年前に造られた八十門戦列艦。二層甲板。全長215フィートの大型艦。士官・乗組員・海兵隊員合わせて650名、うち海尉6名、海兵隊将校2名、航海長、主計長、軍医、士官候補生9名。艦首像は赤い前立のある兜をかぶり、かっと行く手を睨む猛々しいトロイの戦士。

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スペインの財宝船

2002/01/10 23:12

リチャード・ボライソー17才

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 親友マーチン・ダンサーを失ったボライソーは、デスティニー号への乗艦を命じられる。士官候補生から士官への昇格に気を張るリチャードだったが、デスティニー号はその任務を明らかにしないままプリマスを出港し、大西洋へと乗り出した。
  
 原書タイトルは「Stand into Danger」。邦訳シリーズ順では12番目ですが、時間的にはこれが「コーンウォールの獅子」に続いて3番目の話になります。ボライソーの海尉時代の話ですが、今回も謎あり、冒険あり、そして彼のはじめてのロマンスもあります。また、彼のトレードマークともなる特徴的な額の傷を負う場面や、彼の頼れる部下となるストックデールとの出会いもあり、ボライソーの若い頃の話の中では重要なエピソード目白押しです。
  
 本巻ではボライソーは三等海尉としてデスティニー号に乗り込みます。18才の誕生日はまだ迎えていないボライソーは、ひげを剃るのも1週間に1度で十分といった初々しさ。財宝を狙う海賊たち相手に死地を乗りこえますが、なんと彼は人妻と恋に落ちます。彼らのロマンスのゆくえは、そして、海賊たち相手にたった一隻で立ち向かうフリゲート艦デスティニー号は……。
 危険に満ちた航海の中でも、着実に艦長や先任の士官たちからいろんなものを学び取っていくボライソーの、今後が楽しみな一冊です。

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紙の本鋼鉄都市

2001/12/03 02:39

ヨシャパテ!

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 「ヨシャパテ!(なんてこった!)」を口癖にする刑事イライジャ・ベイリとロボットのR・ダニール・オリヴォーのコンビが解決する推理もの。
 だけではなく、舞台はドーム状の都市の中で生活するいつかの地球上。地球を出て宇宙に国家を建設した人々が地球のものよりはるかに高度な技術を持っているのに対し、エネルギー不足に終始悩まされギリギリの状態で生活している地球人たち…というSF的設定の話でもある。
 しかしここで「すわSFか!」と身構えていただくのはお待ちいただきたい。この世界のロボットは実に明瞭な原則で動いているのだ。それがアシモフの有名な三原則なのである。この三原則がロボットに対する理解を(技術的な云々を別にして)容易にし、この話のミステリ部分の構成をひっかきまわして面白いものにしている。
 それにしてももう20年以上も昔に初版が発行された話なのに、色褪せない未来世界の想像力が凄い。
 ヨシャパテ!

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紙の本ブルー・ブラッド 虚無編下

2001/11/08 11:12

待ち受けるものは…虚無?

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 ユージィンへの風当たりは日々に強くなってゆく。そんな中、やっと出来たユーベルメンシュの息子は、研究所の突然の事故によって失われる。何が起こったのか、どうして起こったのか、そして息子の生死を知ったのはユージィンのみ。だが彼は、誰にも真実を告げようとしなかった。その後彼らの間には《普通の》子供さえ産まれる兆候はない。直系の男子しか総帥位を継げないことから、種馬の役目さえ果たせないユージィンへの露骨な皮肉が目立つようになる。
 ユージィンが召集した軍務省の会議では、皆わざとらしい仮病を仕立てて、欠席を決め込んでいた。これもえり抜きのブルーブラッドの家系にあるビュールマンやヘトリングのいやみである。その日の午後、ヴィクトールがテロに襲われたのを国家保安部の情報からいち早く聞きつけたユージィンは、すぐさま行動を開始した。前の会議から二日後、二度目の召集。総司令官ヘトリングは出席、参謀本部のビュールマンもいちおう代理をたててきた。そして、ユージィンのたくらみは既に始まっていた。
 『ブルー・ブラッド 復讐編』の内容を、ユージィン側からの真実からも語りながら、きっちり取りこぼし無く進めている。陰謀、策謀、欺瞞、瞞し合い、嘲笑、皮肉、嫉妬、嘘、なんでもござれ。ユージィンはどこまで突き進むのか。この虚無編以降の彼の話は、ぜひ『キル・ゾーン』シリーズにて。

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紙の本ブルー・ブラッド 虚無編上

2001/11/08 11:03

23世紀の火星で、ユージィンの孤独な頭脳戦が始まる

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 絶対的な権力を手に入れるため、アフォルター家の婿としてアンゲリカとの婚約を発表したユージィンだったが、後ろ盾も、家柄も何もない彼への反発は少なくはなかった。見えないところでの嫌がらせは後を絶たない。だが、ブルー・ブラッドの総帥ハインツは、彼の庇護を一切行おうとはしない。ユージィンは表向きはアンゲリカの婚約者だが、まだ真に認められているわけではなかった。これくらいのことで潰れてしまうのならそれまでの男だということ。彼は何でもない風を装い、それらを無視し続ける。
 ルナ・マーセナリーズ。美しさと、洗練された物腰、喋り、社交術を駆使してブルー・ブラッドの後見を得て、上流社会で力をふるう女たち。彼女らと、ビュールマン家の綻びと、そしてヴィクトールとをそれぞれ絡めての巧妙な仕掛け。23世紀の火星で、ユージィンの孤独な頭脳戦が始まる。
 キル・ゾーンよりも、ブルー・ブラッドのシリーズの方が個人的には面白いと思ってる。この世界観の話の中で一番の嫌われ者らしいユージィン。でも、私はユージィンが大好きだったりする。目的を遂げるためなら、笑って人を瞞すことも厭わない。表面的には嫌な人間だと思われやすいんだろうが、順風満帆に生きてきたわけじゃない。いや、苦境の中をはい上がってきた人間だ。その苦境を回りにそれと覚らせないまま、いつのまにか高い地位にのし上がっているんだからそれもアリかな、と。
 目に見えた綺麗さなんていらない。汚くても何かを全てなげうっても自分のやりたいことをやり遂げればいい。そう言う生き方の方が好き。なんだか。

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