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先月(2017年2月)

渡辺さんのレビュー一覧

投稿者:渡辺

3 件中 1 件~ 3 件を表示

幸福な無名時代

2001/10/12 08:29

足腰の強さがここに。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 マルケスにハマっている私が最初に読んだ彼の作品。冒頭の「民衆が通りを埋めた日」では、自分も革命を歓喜とともに向かえる民衆と行進しているような錯覚に陥った。後書きによればなんと、これは予測記事(事件が起こる前に記事を書いておくもの)であったという!
 マルケスが小説作品の中で描く奇妙で幻想的なエピソードが、何故か自然に頭の中に描かれていくのは、新聞記者として現実の世界を読者の脳裏に描かせる基本を身に付けていたからではないだろうか。ここに彼の足腰の鍛練があるのだ。

この本で彼の語り口に親しんだ後に、難解とも言われる彼の幻想的な作品に踏み込んでいけば、あなたも、自然にその世界を体験することが出来るでしょう。

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紙の本族長の秋

2001/10/12 08:36

現実として描き切られた虚構

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 作家が虚構を描くとき、しばしば、それを目的とした文体が用いられる。読む方はその文体のエネルギーによって熱せられ、あるいは冷まされてしまう。マルケスの文体の驚くべきことは、それが見てきたかのような、現実であるかのようなリズムと勢いだ。大統領府に牛が歩き、花壇の中でレプラ患者がうなだれている。読めば虚構に違いない場面が、彼の筆によってあたかも現実のように詳細まで描き切られている。独裁者になったことがある人間はこの世で何人もいない。しかし、この本を読むとそのシーンをつぶさに見ることは出来るのだ。

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紙の本百年の孤独

2001/10/12 08:33

これが根源的な苦しみか

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 柳田邦夫の「犠牲−サクリファイス」を読み、自死を遂げた作家の息子の愛読書としてあげられていた。100年間、一つの町に壮大な、あるいは取るに足らない出来事が繰広げられる。一つ一つのエピソードは、古い寓話のようであり、その積み重ねが歴史であるようだ。そのエピソードには単純な幸せも不幸もなく、事実の裏の感情はいつもよどんでいる。冒頭の作家の息子が語ったこと、「忘却されることが一番恐ろしいことだ。」100年の歴史が語り切られたときに、そこには深遠な忘却が描かれている。文学のうえでもっとも深遠な「忘却−孤独」だと感じた。

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