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  3. RIKAさんのレビュー一覧

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    3月のライオン(1)

    3月のライオン(1)

    羽海野 チカ(著),先崎 学 (将棋監修)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

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    はらぺこあおむし 改訂

    はらぺこあおむし 改訂

    エリック=カール (さく),もり ひさし (やく)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

RIKAさんのレビュー一覧

投稿者:RIKA

38 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本「残業ゼロ」の仕事力

2008/02/11 21:39

長時間労働を見直すための本

19人中、19人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最近、ニュースで「名ばかり管理職」の問題が取り上げられています。サービス残業だけで月100時間とか、倒れるまで働かされる、ということが報道されています。

その本質は、「残業はあって当たり前」という考え。どうせ残業するんだから…と思っているから昼の仕事のスピードがダウンする、長時間労働で体力を消耗し、ますます仕事の効率が悪くなる、あげくの果てに体を壊したり、女性の場合は、子育てや家事と両立できないからと仕事を辞めざるをえなかったり。本当に、どこでも起きている問題だと思います。

「残業ゼロ」の仕事力は、外資系下着メーカー、トリンプの元社長が、トリンプで成し遂げた「NO残業」への取り組み、社員の仕事の効率を上げる方法について、書かれている本です。

著者の吉越浩一郎氏は、定時になったら会社中の電気を消して回ったり、残業をした部署には罰金を課したりして、初めは社員にさっぱり受け入れられなかった「残業ゼロ」を達成することになります。他にも「早朝会議」や「デッドラインを決める」など、さまざまな取り組みがあいまってですが、結果、人は減っても収益は上昇、個人の処理能力は何倍にも向上したことが実証されました。

著者は、仕事に自己実現とか、夢とか、余計な意味を持たせないほうがいいという考え方は、多くの日本のサラリーマンの働き方とは合致しないものかもしれません。
でも、著者のいう、「仕事は人生そのものではなく、人生の一部です」と気づいたときに、会社以外には何も残っていなかった…というのでは寂しすぎます。

私も毎日深夜まで残業していたことがありました。仕事が山積み、社員が皆残業するのが当たり前と言う雰囲気、そんな環境では、残業したくないという考えそのものが間違っているような気がしたものです。でも、環境が変わり、自分である程度帰る時間をコントロールできるようになった今、あんな毎日残業の日々には絶対戻りたくないと思いますし、早く帰ると決めることで、仕事の効率・質ともに上がったのではないかと思ったりもします。

残業がなくならないのは、仕事内容ではなく、会社の風土によるもの、と著者が言うとおり、日本では恒例化した残業。連日のニュースを見ても、そろそろ本格的に見直すべきなんじゃないかと思ってしまいます。

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マザコンに対する考え方が変わった

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この書評コーナーや雑誌やらラジオやらで絶賛されているこの本。私も絶賛します。なぜなら1冊通して全然退屈な部分がないから。
リリー・フランキーの自伝ということにも驚くけれども、それが自伝かどうかということは、この際どうでもいい。というか、作品の良し悪しや読後感を左右するものではないということ。リリー・フランキーへの興味で読む人も、普通の本好きでも、あまり本を読まない人でも絶対に読んでよかったと思うはずです。そしてそういう本は、たくさんあるものではありません。
主人公「雅也」と、息子を女手ひとつで育てた「オカン」。風来坊で破天荒な「オトン」。筑豊の風景。小説は子ども時代から始まります。ごくごく日常のエピソード散りばめられていつのまにか雅也は大人になって東京で働いている。好きな女の子ができてそれを母親に知られたくないとか、親不幸と思いながらも母親が必死に働いて貯めた金を遣ってしまう、無心をしてしまう。誰もが抱えるであろうそうした葛藤があり、それでもオカンはいつも、いつも、とにかく優しいのです。心を打たれます。
そして、東京で生きていくということについて。きらびやかでスノッブで高飛車な街。街の冷たさやいい加減さに疑問を感じながらも、東京に惹きつけられてしまうという不条理。美大→留年→イラストレーターという、いかにも東京的な大人である雅也が感じることは、東京以外の場所で生まれ育ち東京で働く人たちは誰しも共感するのではないでしょうか。
私は女なので、これまで正直言って「お母さん大好き」な男性(結構多い)の心理がいまいち、わかりませんでした。でも、この本を読んで変わりました。こんなに細やかな愛情を注いでもらっている男性を私はただ羨ましく思っていただけなのかもしれないと。恋人を愛しても、母親には勝てないという事実を、心のどこかで面白くないと思っていただけなのかもしれないと。
この本は、親が子どもを愛するという素晴らしさを教えてくれました。切ないけれども、とても希望に満ちた本だと思います。

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ノンフィクションが語る真実とは

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

事故や天災などの惨劇の中では、人間の真実があらわになる、ということをこの本で著者は、書いている。この言葉は、普段私が目にしているテレビ、新聞といったメディアがもう、真実を伝える媒体ではないということも物語っていると思う。
週刊誌で、アイドルのグラビアをめくったら、次のページに地震報道が載っていることも普通。テレビでも雑誌でも、JR西日本がボーリング大会に行けばひたすらその事実だけを叩き、震災が起きれば被害者家族の心境とやらにずけずけと踏み込む。
すべてがそうではないけれども、私たちが普段接するメディアはそうした種類のものだ。それを見ながら、果たしてどれだけの人が、人間の真実に触れることができるだろうか。
だから人はニュースを見て悲惨な事故を知らされても、それが自分の身とは遠いところにあるものとしか受け止めることができず、何に対しても危機感を持てなくなってしまうのだろう。
それを特に強く感じたのは、本書の阪神淡路大震災のルポタージュを読んだ時だった。
まるでホラー小説かハードボイルド小説かと思うほどの被災現場の描写。残酷で悲惨で、目の前で見たら目をそむけてしまうかもしれない。けれどもそれが現実の出来事。
「炎につつまれる家々をテレビで見ながら、その瓦屋根の下に、まだ生存中の人びとが多数いたことに思いをはせることができなかった自分自身に対しても、私は強く愧じた。〜(中略)〜神戸の町が焼き尽くされるままにまかせていたとき、それを見ることができたのは私を含めた神戸以外の人びとだけだったという点である」
という部分が忘れられなかった。
ノンフィクションには作者の視点が反映される。でも、真摯に真実に迫り、それを伝えようとする視点であれば、真実のかけらがこぼれ落ちてくる。そういうものだと思う。
不祥事にまみれた会社にも、立派な創業者はいた。でもその精神はいつしか歪んでしまった。それも現実。過去の失敗から学ぶのか?自分はこうならないと決意するのか?どういう真実をつかむのかは、読む人次第である。

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紙の本サプリ 3

2006/06/08 09:55

キレも憂いもあるお仕事マンガ

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 主人公は広告代理店の制作ディレクター、28歳、藤井ミナミ。
 個性派じゃなくて優等生。仕事はがんばるけど恋には不器用。恋が不器用だから、働く中で婚期が遠のいていくのを感じつつ、部屋を掃除できなくて彼氏を部屋に招けないと嘆きつつ、それでも大変な仕事の方にのめりこんでいく…。仕事の量や責任や面白さが増えてくる20代後半の女子の一部は、得てしてこんなお仕事街道スパイラルにはまったりするんじゃないでしょうか。
 舞台はおもに会社や、CM制作などの現場なのですが、博報堂に勤めていた作者自身の経験が元になっているらしく、セクハラな男上司、歯に衣着せぬクリエイター、独身の中年キャリア女性といった登場人物や、クライアントの理不尽な注文、夜も朝もない働きっぷりも、非常にリアルだと感じます。私自身も似たような職場にいるため、なおさらわかる〜と共感。
 また男性誌でも描いていた作者だからなのでしょう。展開が「女の子のマンガ」っぽくないというか、スピーディー。パワフルかつキレのよいテンポによって、どんどんストーリーへと引き込んでいきます。フィールヤング連載当初からずっと目が離せない作品でした。
 マンガの中では色んなことが展開していきます。仕事中で起こるさまざまなトラブル。達成感と自己嫌悪の繰り返し。それから、いくら仕事にやりがいがあっても、好きな人の言葉やリアクションに一喜一憂させられるのが女というもの。ライバルと自分を比べ、恋の行方について悩み、浮かれたり沈んだり…。
 主人公、ミナミは一本気というか、不器用なんだけど、恋や仕事を通してちょっとずつ自分を成長させていきます。歯がゆいなあと思うこともあり、自分を見ているような気になったり、つまりミナミにいちばん共感したのかもしれません。
 今度ドラマ化されるようで、マンガが今より有名になるのが楽しみです。でも、やはりコミックならではのスピード感も捨て難いと思うので、ぜひ原作もどうぞ!

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紙の本愛する言葉

2006/07/30 08:33

傍において、いつも読み返したい一冊

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「恋なんて、
人生の中では一番無目的で、危なくて、
自分を投げ出さなければできないことなんですもの。」
岡本太郎と敏子さんの「語録」。
愛し合うことに、真摯に向き合った人たちだからこそ発することができる、
嘘のない言葉たち。
格言みたいにずしんと来るの名言もあるし、詩みたいにキラキラしている台詞もある。
岡本敏子さんは、
「恋愛について、話しました。」でも言っていたとおり、冒頭の言葉にもあるように、
自分をつくらずにさらせ、とメッセージングしている。
こうも言っている。私はこの言葉が好き。
「弱くたっていい。
そういう自分のまま、貫きとおすんだ、
と覚悟を決めるのよ。」
恋愛をすると、熱心にメイクをするみたいに、内面のこともよく見せよう、見せなきゃとがんばってしまう。(私だけ?)
でも強がったり見栄を張ったりいい子ぶったりする必要なんてないんだよ、と諭されているみたい。
自分をつくってしまうのは、きれいな恋愛をしようとか、もっと愛されたいとか、そういう見返りを求める気持が働いているんだなあと、思い当たってしまう。そんなことをわからせてくれる、貴重な一言。
また、敏子さんのありのままを愛した太郎さんの言葉も、すごくまっすぐで、愛し合うというのはこんなに人を素敵にするんだなと思いました。

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日本人は欲ボケしている

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

IT社長の書いた金儲けの本はベストセラーになるのに、こういう本が多くの人に読まれることがない。それが非常に残念だと感じたので、せめてここで宣伝させてください。
かくいう私も人から勧められなかったら読まなかった。恥ずかしながら著者の名前すら知らなかった。でも、勧めてくれた人にものすごく感謝した。だからぜひたくさんの人に読んでほしいと思う。
自分の欲を満たすことばかり考えて、他人を思いやることができなくなった日本人。
サラリーマン化して小ざかしくなった新聞記者。
言葉の間違いに気づかないアナウンサー。
本当に、このままでいいの?
ノンフィクションに興味がなくても、政治に疎くても、ジャーナリズムには無縁と感じていても、この現実を見れば、日本の行方を楽観できないと思うはず。この本に触れれば、もやもやした日本の危機感をもっとはっきりイメージできる。
著者は読売新聞の記者を勤めたのち、ノンフィクション作家になる。報道の第一線に立ち続け、社会の矛盾、不正を世に問うてきた人だ。記者時代の仕事に対する姿勢が鮮やかで感動する。
そして、どの言葉にも著者の魂がこもっている。言葉で何かを世の中に訴える人はこうじゃなきゃいけないと思わせる本物の筆力に圧巻される。貴重な一冊を遺してくれた著者に感謝しつつ、今さらながら冥福をお祈りしたい。

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人生にお手本はない。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

学校を卒業して就職して結婚して一人目の子を産んで・・・というのが「女の普通の20代」という見方もあるけど、東京で働いていると、全くリアリティーのない話である。世間的にも、もう説得力を失っているのじゃないかな?と思う今日この頃。
人は誰でもオリジナルな生き方ができる。人に合わせたり、真似したり、比べたりするのは本当に意味のないことではないだろうか。
ここに出てくるのは、安藤優子、有森裕子、海原純子、山本文緒、RUMIKO、小池真理子・・・と名前を聞けば誰もが「ああ」と頷くような、第一線で活躍中の方々。おもに20代の頃、若い頃のことを妹世代へと語る記事が集められている。読んでいくと、一人ひとりが全く独自の人生を歩んでいて面白い。
多くの人に影響を与えるような、大きな仕事を成し遂げるパワー。でも、その裏には、たくさんの積み重ねがある。運や素質もあるけどそれを引き寄せるものも心を前向きに保たなきゃいけない。人の意見を取り入れる素直さも必要だと思う。若い時期に迷ったり悩んだり、うまく行かなかったり、そんな逆境から抜け出すのも努力だろう。そうした積み重ねこそ道を開くきっかけになる。
ここに出てくる人たちは皆、「一生懸命走ったら、ある日、トップランナーになっていた」という感じで若い頃を振り返っている。それは謙遜ではなく、夢が叶ったり何かを成し遂げるっていうのは本当にそんな感じなのだろうな、と思った。
人生にお手本はない。誰かをお手本にして参考にして生きられるほどカンタンじゃない。でもオリジナルな生き方ができたら、面白い人生が待っている・・・。お姉さまたちの言葉は、私にはそんな風に響いた。

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紙の本女の子ものがたり

2005/04/27 22:47

救いなんてない、そのリアルさが好き

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

子どもの頃に友達だった女の子、大人になって出会ったら友達になるだろうか?と考えることがよくある。趣味も仕事も関係なく、「価値観」なんていう難しい言葉も「相性」という言葉も知らなかった時代に私たちはなぜ仲良くなったのだろうと。
答えはない。学校の帰りに毎日のようにいっしょにいた友達は、もうひとつの家族みたいなもの。いっしょにいることが、当たり前。色々あるのも当たり前。たとえば家庭環境のように、理不尽な事情をそれぞれ受け止めながら、違うスピードで大人になっていく。
前作「上京ものがたり」は18歳になって高知から東京に出てくるときの話。
この「女の子ものがたり」はそれ以前のことが書かれている。
高知ののどかな自然につつまれて、なんだか壮絶な人生を歩んでいる女の子。歩むことになってしまった女の子。そんな友達。器用ではないと思う。要領もよくないと思う。そして救いもない。どどーんと広がる野原のように、風に吹かれて歩くだけ。
でも、この漫画を読めることは幸せだと思う。
「ぼくんち」が描かれた理由がちょっと分かったような、なんていうのは余計な感想かもしれませんが。前からファンの人はもちろん、初めて読む人も心を打たれてください!

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世の中の常識を読み直す

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「エビデンス」とは、根拠という意味らしいが、医療の世界では「それってエビデンスあるの?」というような感じで使われているのを耳にする。「○○は○△によい(悪い)」と言うときに、裏付けとなるデータがあるかということだ。

世にいわれている、「コレステロール値が高いのは健康上よくない」という説も、コレステロール値が高いほど心筋梗塞や狭心症にかかりやすいというエビデンスに基づいている。だからコレステロール値が高いと問題視され、下げる方向で薬を使ったり、食事療法を行うというのが一般的な態度なわけだけれど、一方で、コレステロールは低すぎるとがんやうつ病になりやすい、というエビデンスもあるそうだ。つまり低ければよいというものでもない。でもそのことはあまり知られていない。

このように、巷の「常識」を、エビデンスに基づき検証しなおそう、というのがこの本の趣旨。「世の中には健康常識以上に危険なウソ常識や怪しい常識のようなものがあふれている。これは判断ミスを招く危険な要因になるものだが、このようなものの影響を受けなくするには、やはりウソや不確かなものをしっかりと見極めることが大事である」と語られている。その不確かは医療から、政治までに渡り、また日本の政治こそ、「エビデンス・ベースド・シンキング」が必要と説く。

日本では「意外な事実」よりも「もっともらしい理屈」が好まれる傾向があると著者はいう。本の中では、なぜこうした傾向、情報の偏りや歪みが起こるのかということが書かれていて、その部分がいちばんおもしろかった。原因には、メディア特有の偏りや、それを疑わず「もっともらしい理屈」を信じてしまう(傾向にある)文系思考もあると考察しているが、それは非常にうなずける。というのも私自身、数字を読むより、文章を読むほうがよく、絶対的な事実よりも理屈に引っ張られているな、と思うからだ(それも理屈だけれど)。

あふれる情報や、メディアから特定の方向で流される情報から真実を見極めるには、やはり客観データを自分で読むことだ。数字は苦手・・・と思わずに、検証してみることが大切と思わされた。
また、統計情報はインターネットなどで簡単に手に入れることができる。ネットは使い方を誤ると不確かな情報に振り回されるけれど、官庁の出す統計も見られる便利な情報ツールなのだから、賢く使わない手はない。

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紙の本幸福日和

2008/03/05 19:56

何が幸福なのかを考えた

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者の本は「夜の果てまで」からはまって読んでいます。前作の「ありふれた魔法」は、いい小説なんですけど、(私は女なので)主人公の中年男性に感情移入し切れなかったんです。今作は女性が主人公ということで、期待してページをめくり、先が気になるけど終わるのも残念・・・と葛藤しながら、期待を上回る読後感をもって読了しました。

主人公の花織は編集社で編集総務として勤める、真面目な、しっかりした女性。イケメンエリート会社員に見初められスピード婚約したものの、相手の女性問題が発覚。相手との結婚を受け入れられなくなって・・・というところから物語が展開します。

傷つきながらも仕事をがんばる花織。女性誌の新創刊を控えて忙しい編集部。我の強い女性編集者たちとの葛藤もあり、同期入社の男性との友情もあり。そんな花織をそばで見守ってくれる穏やかな上司を、花織は慕うようになるのですが彼には妻子がいる。上司はひたむきな花織に安らぎを覚え、心を預けていく…。

既婚の上司と恋に落ちる話、なんて書いてしまうと陳腐ですよね。女性が主人公の不倫小説なんて、それこそ山ほどありますしね。自慢できる結婚=勝ち、みたいな考え方が優勢な今(昔も?)、不倫する女性は「幸うすそう」で、あんまり共感できる存在じゃないですよね。私もそうでした。でも、この小説を好きになりました。主人公の花織の体験した世界にどっぷり浸かり、ラストまで読んだあとは、花織に、がんばって!と言いたくなり、同時に勇気をもらったような。

「女の幸せ」も、「恋愛のゴール」も本当は幻。目指しても、追いかけてもつかめないのかもしれません。そんなことを考えさせられる一冊です。
ぜひ女性の方に読んでもらいたいです。

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紙の本風味絶佳

2005/10/07 00:19

おいしい日本酒みたいな読後感

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

水のようにするすると飲めて、いつの間にか酔っ払っている上質な日本酒。山田詠美センセイの最新作の感想はまさにそんな感じ。
特に「海の庭」がいい。
離婚したばかりの母親と、その初恋の相手を、高校生の女の子が見るという小説。高校生の主人公が現実的で、夢見がちだったりはしない。ボーイフレンドもいるし、大人のことを冷静に見ている。母親のほうがむしろ少女のように振舞う。両親が離婚したり、母親が子どもっぽかったりすると、娘はすばやく大人になってしまう(と、文中にもある)。
母と娘のコントラストが、母の初恋の相手によってよく見え、
母の気持ちも、娘の気持ちも、その男性がいることでふわふわと表面に浮かんでくる。
やはり男というものは、女を映し出すものなのかな。
と思ってしまうように、他の作品にも人間と人間の、男と女がお互いを照らし合ったり、輝かせたりする素敵な瞬間が散りばめられている。
昔の、濃厚なラム酒みたいな小説も好きだったし面白かったけど、
こういう、さらりとしているのに味が深い作品を書けるのはさすがだなーと関心してしまった。

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紙の本一瞬の光

2010/04/12 23:25

名デビュー作

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

東大卒、大企業のエリートコースを歩む主人公・橋田浩介。38歳で独身、同僚からは「雲上人」と揶揄されながらも、どこかに違和感を感じながら日々を過ごしています。

「仕事という要素だけが高濃度の栄養補給を受け、一種いびつな瘤のように肥大している気がして仕方がないのだった。それは、その分、ほかの機能がやせ衰えていく恐ろしさを伴っていた」

そんな浩介が、なぜか興味を抱いたのが、自社の面接に訪れた短大生の香折です。別の場所で偶然再会し、壮絶な家庭環境、トラウマといった香折の闇に引き込まれるように、香折との距離を縮める浩介。社長の親戚の娘を紹介され、非の打ちどころのない恋人と付き合いながらも、浩介の中では、恋人ではない、むろん体の関係もない兄妹のような間柄の香折が絶対的に存在するようになっていきます。

小さいころから成績がよく、女性に不自由せず、東大を卒業して就職し、将来を嘱望されるポストにつくという浩介のような主人公の心理の描写が面白いです。社内政治という背景があって、恋愛をテーマにした小説だけれどふわふわしていない、ある種のリアリティも感じられます。派閥争いや、それに巻き込まれる社員たちも、「ありそう」な感じ。

私は直木賞を受賞した「ほかならぬ人へ」を読み、次にデビュー作のこの作品を読みました。受賞作もよいものでしたが、こちらの方が好きですね。デビュー作ならではの勢いも感じます。

「ほかならぬ人へ」と同じく、何不自由のない人生、他人からうらやましがられるような外的な条件と、自分自身とのズレをつきつめたところにあるものがこの小説のテーマ。それが「真の幸福」なのか「本当の人生」なのかは読む人の考えによるだろうけれど、この小説では、「一瞬の光」として表現されています。

体に例えると、サプリメントや加工食品ばかりに頼っていると本来の免疫力が落ちるという説があるように、「外的条件」「他人の価値観」を装備すればするほど、自分自身の人生からは遠ざかり、深い孤独感からますます逃れられなくなる、ということがあると思います。
そういう人生にはうすぼんやりとした明るさはあっても、きらめくような鮮烈な光はない。ということを考えさせられました。

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紙の本恋愛について、話しました。

2006/05/13 21:06

「役立つ」ということではなく

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

恋愛について、感じるもののある本。男を愛することについて、愛し合うことについて岡本敏子とよしもとばななの二人が対談するのだけど、他人の恋愛観なんて読んでも仕方ない。この本は、そんな野暮な本ではありません。
あの岡本太郎のことを語る岡本敏子の天使のようなあたたかさといったら。敏子さんはやわらかくて、やさしい女性なのだなあと、ちょっと他では見られない心のきれいさに、打たれます。
けれどもいちばん面白かったのは、二人が現代の恋愛について、とりわけ女について語るところだ。
巷にあふれる雑誌や本には、モテるためのテクニック(会話術、メールの返し方、メイク、洋服などなど)を身につける情報が溢れている。だけど、これだけ「モテる方法」があふれているのは、つまりモテることができてないってことですよね。という言葉には目からウロコが落ちた。
結果、女の子たちは似たような格好をして、男に媚びるようになっている。
二人は、そんな「恋愛信者」な日本の女性について、暇だから爪やら髪やらを手入れできる、という。本気で恋愛なんかしたらそんな暇はないのだと。確かに、何のための「自分磨き」なのかよくわからなくて、周りに「イタイ」印象を与えている女性は多いように思う。本人が心から楽しんでいればそれはそれでいいけど、そうでもない人が多いからなあ。
不特定多数の他者に向けて自分の時間を使って自分を磨く女たちに「その時間を自分らしくなるために使ったほうがいい」とよしもとばななは言う。
このメッセージは非常に重要だと思う。けれども、恋愛マニュアルをたくさん読む人たちが、この本を手に取るような気はしなくて、残念でならない。
生身で抱き合うめんどくささを避けるのは、「自分を大事にし過ぎている。自分がかわいい。自分をかわいがっているだけじゃしょうがないの」と岡本敏子は言う。
自分の全部をさらして、相手に賭けないと何も始まらない。携帯メールでコミュニケーションした気になっても、架空恋愛だと言う。自分の全部をさらすことが怖いと思う男や女が増えているというご意見。
テレビや多くの雑誌で取り上げられる画一的な情報。でも、本質はそこにはない。よしもとばななの小説は決して説教くさいものではないけれども、真実が貫かれているから気持ちいいんだな、と彼女の作品を再読したい気になった。

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紙の本すべて真夜中の恋人たち

2012/02/06 22:45

恋心はそれだけで光

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

仕事をして、美しい女として扱われ、ブランドの洋服や高級レストランを消費する・・・。
主人公である冬子の友人、聖は情報の洪水にまみれ、誰かが作り上げた「いい女」であることにどっぷりはまっている女だ。

冬子の元同僚は、そんな聖を批評的に見ながらも、また女の人生に対する幻想から逃れられない。
元クラスメイトは、 夫とは完全に家族になり、この先もう恋愛はできないと嘆く主婦である。

「満たされた女」というイメージへの強烈な飢え。
冬子はその飢えを持たないからこそ、女たちの話し相手として重宝される。

冬子は、都会で仕事をしていて、30代で独身で、洋服にも化粧にも頓着せず、恋愛もせず、趣味にお金を費やすわけではなく、人付き合いも積極的ではない。
しかしその生き方を否定するのも、イメージと自分とのギャップに苦しむ人たちだ。
「いらいらする」と言われる理由もわかる。

冬子が内に内にこもった生活をしているのは、心の傷がひとつの原因ではあるのだが・・・。癒やすことも、乗り越えることもなく、淡々と日々を過ごしてきた。

しかしそんな冬子が、年上の男性に徐々に心を傾けていく。

誰かを好きになることは、新しい世界への扉を開くことと同じだ。
殻をやぶって、違う自分になりたくなる・・・冬子もまた、不器用ながら自分で何かを選ぼうとしたり、何も選ばずに流されるように生きてきた自分を責めて、それまでの自分を捨てようとしたりする。
本当に変われるかどうかは、物語を読んでもわからない。

ところで、普段恋愛と呼ばれているものは、いったい何だろう。
ある人にとっては、都会生活のサバイバルツール。
ある人にとっては、結婚へのステップ。
ある人にとっては、性欲や自己顕示欲を満たすもの。
寂しさを紛らわすもの、話し相手を確保するもの。
自分を肯定するもの。否定するもの。
不完全な自分と向き合うきっかけ。

どれがよくて、どれがよくないということなんて、誰にもいえない。
人間関係はそれぞれが違う形なので、恋人とか恋人未満とかセフレとかいちいち名付ける必要もないだろう。

しかしそんな風に、つい恋愛に意味を求めてしまうからこそ、
「ただ好きなだけ」という冬子の言葉が美しい。
まるで真夜中の光のように。

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紙の本望みは何と訊かれたら

2011/08/30 13:41

二人だけの世界

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久しぶりに文庫本を手に取り、再び小池真理子の小説にはまった。

代表作なら昔も読んだことがある。「恋」「無伴奏」「欲望」。全共闘時代を背景に、男と女を描いた作品たち。「恋愛」といえばそうなのだが、男と女のかかわりは、これほど独特で、襞があるのだと、とぎすまされた文章で見せてくれる、小説を読む醍醐味に浸らせてくれるようなストーリーだった。

世代がまったく違う私は、等身大の世界としてではなく、自分よりもずっと大人の別世界を覗き見るようにこれらの作品群を読んだ。本作も、主人公は全共闘の時代を生きた世代である。

夫がいて、娘も大きくなり、特に不自由のない生活を送る沙織。ふと、人生に必要なものは何なのかと考える。そんなある日、一人の男に偶然再会し、若い日を回想することになる。それは、学生運動のさなか、過激派グループの活動に巻き込まれていく激流の中で出会った一人の男、吾郎だった。

ストーリーは40年前の「あの時代」へ。「あの時代」を生きた人間なら、と語られるその時代を私は知らない。
しかし何か異様な熱気にたくさんの若者が揺さぶられた時代だということはわかる。沙織もまた、その熱気に翻弄された一人であり、ごく平凡な女子学生にすぎなかった、と、物語の中で描写されている。

恋愛に溺れるアパートの女子学生、思想をふりかざす男たち。家庭を夢見る恋人、過激派グループのリーダー、取り巻き達。
そして吾郎だ。
吾郎と過ごした日々がストーリーの中心である。
幻のような、時間を止めたような、甘美で説明のつかない関係が、狭いアパートの中でただ続いていく。

その生活に憧れたり自分を重ね合わせたりはできない。
やっぱり男と女の間は、人と人との関係は独特で、”これが恋愛”という定型があるわけもない。

ただ思うのは、周りをシャットアウトするような1対1の濃厚な関係は人生に足跡どころか大きな裂け目のように刻まれていく、ということ。精一杯生きた若い時代を振り返る、主人公のような年齢になったら私もその境地に立つのだろうか。

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