サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. ワクロー3さんのレビュー一覧

ワクロー3さんのレビュー一覧

投稿者:ワクロー3

3 件中 1 件~ 3 件を表示

ついに出た!飛行第244戦隊写真史

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ついに出た。菊池俊吉氏の写真と、その写真に解説を付した244戦隊史が!
 長い間の謎だったのは、戦時中にマスコミにもてはやされていた、陸軍の飛行244戦隊に関する著作が、どうしてかくも少ないのか。そういう疑問だった。
 米軍の無差別爆撃から帝都を守る、彼等の戦いは、我が国一丸となって戦う、大東亜戦争終末の白眉のひとつだった。彼等の体当たり攻撃や、必死の防空戦を、当時の国民とともに戦争を戦った報道各社の前線も、筆を極めて賞賛し、ともに、無慈悲なB29の撃墜場面に喝采を送っていたではないか。
 それなのに、戦後、彼等の戦いは不当に塗りつぶされていた。「帝都防空の華」とまで賞賛した新聞各社は、どうしてどこも彼等のその後を描こうとしなかったのか。まったく報道各社とも沈黙を守ったまま、彼等の活躍を戦後の闇に葬り去ろうとしていたかのようだ。それとも彼等の戦いを検証することが、恥だとでもいうのか。必勝の信念を国民に説き、その証として最大限に利用した大新聞各社は、今こそ彼等の戦いを、検証してもいいではないか。長い間の気が晴れない疑問でもあった。

 私は平成13年の夏に、東京都調布市の多摩霊園に、244戦隊長だった小林照彦少佐が眠る墓地にでかけて墓参りをしてきた。雑草が茂り、忘れ去られたような小林隊長の墓前に立ちながら、俺は忘れないぞ。死力を尽くして戦い、死んでいった諸君のことを、同じ国民を継承するものとして。
 力んでそうおもったのだが、同じように力み、それを形にした男が、解説を務めている櫻井さんだ。墓前に立った私は、今の所、力んだだけで終わったが、彼は、それを形に残した。そこが違うところだ。

 櫻井さんは、自分のホームページで、検証作業を進める一方、生存者から聞き取りして本にまとめ、すでに1995年「陸軍飛行第244戦隊史〜調布の空の勇姿だち」として出版している。それが引き金となって、この写真集の解説に結実させた。櫻井さんの文章は、けっしてうまくはない。前回出版の戦隊史の構成力が今一つなのは否めない。

 しかし、彼の著作を最大に評価する点は、244戦隊を記録し、形に残したことだ。元隊員たちが、なぜだか、隊の歴史についてまともな文集の形で書き残す人がいなかった点は、過去においては不幸といえた。だが、遅れに遅れただけに、現在になって、櫻井さんの調査と解説を得て、他を圧する写真集に実ったことを考えれば、過去の不幸は、幸運の先駆けだったのかと安堵する。
 菊池さんの写真は、撮影当時に一部作意や陸軍側の制約があったとしても、そんなことを割り引いてもなお、雄弁な記録である。

 もっと取り上げられてもよかった。国民が注視するなかで、敢然と米軍の無差別爆撃に立ち向かい、当時の国民の溜飲をさげた、飛行244戦隊の記録が、長い年月を経て、ようやく出現した。そういう希少本なのである。

●参考ページ
【陸軍飛行244戦隊】
http://www5b.biglobe.ne.jp/~s244f/

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

もっか最強の評伝

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 肩入れしすぎる評伝が多い中で、インタビューで彼に迫り、迫っているのに、おもねることはせず、しっかりと評論している点で、この本は、彼を描いたもっとも優れた評伝といえるだろう。

 チェリビダッケ!! この指揮者が生み出す音楽! これに心酔する人は多い。僕もそのひとりだ。彼の演奏を聴くと、ほかの指揮者による音楽だって? そんなのが音楽と言えるのか! 断言したくなるほどに、酔ってしまうのだ。

 だから、彼の評伝となると、音楽に心酔した状態をひきずったままで、崇拝モードのままで、お言葉をそのまま拝聴する、彼を批判するやつを罵倒して反撃する! というタイプの評伝が目立つ。

 この作者のすごいところは、音楽に心酔いつつも、彼に向ける文章と視点が醒めている点だ。読んでいて、もっとも面白いのは、指揮者の毒舌と確信に満ちた同業者への容赦ない真実の批判の部分をまとめた部分だろうか。

 トスカニーニ『とにかく速すぎる』にはじまり、ベーム『一度だって音楽をかなでたことがない』、カラヤン『みんなが好き、コカ・コーラもね』、なだたる指揮者をかたっぱしから、無能よばわりする痛快さ。彼が認めていた数少ない当時の現役指揮者は、ラファエルクーベリックだけだったなんて!

 客演したときは、オケの未熟さに、演奏終了後『いやーさすがでしたな』ともみ手でやってきた主席指揮者を、『おまえ、何をやってきたんだ!バカもの!』と罵倒する。同業者に厳しい人だったんですね。ますます好きになりました。ば倒する意味が分かるから!

 そして無条件で彼が信じていたのは、ベルリンフィルの後継指揮者にヘルベルトフォンカラヤンを指名して彼を捨て去ったフルトヴェングラーただ一人!

 読んでいてどきどきした。彼の音楽は、CDでは聴ける。でも彼が望んでいた。生成して消えてゆく音楽そのものを再現することはできない。

 これまでのコンサートで、CDや、放送ではそこそこにいいのに、生演奏で失望した演奏だけはたくさん聴いた。チェリビダッケがいうように、録音媒体に騙されてはいけない。あれは作りものなんだから! 音楽は演奏している瞬間に存在し、消えてゆく、それを記録することはできない。現実の人生みたいに。

 この評伝は、自ら核心の部分を語ることを拒絶し、生前のレコード出版を拒絶して、インタビューもお断り、フルトベングラーとの往復書簡公開もお断り、だった経緯の中で、現在もっとも彼に迫ることができている評伝だとおもう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

本土防空戦の集大成

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 子供のころに、自分で選んだプラモデルは、『飛燕』と『屠龍』だった。これっ
てまったく偶然にもどっちも陸軍機だ。箱絵には、本土を焦土にした憎きB29爆撃機
に敢然と立ち向かう勇ましい姿が描いてあったので、大人になったら『俺もどっち
かの飛行機でB29撃墜してやるぞ』って、思ってました。もちろん大東亜戦争はずう
ううっと前に終わっているので、そんな夢は実現しないのですが。
 日本の本土防空戦を主力として戦った陸軍航空の中盤から末路迄を描いたノンフ
ィクションのライターとして、彼の作品を読み続けています。陸軍機に関する著作
は多いので、ひょっとして彼も、ほんとは陸軍機好きなのかな、と思うのです。

 この本は、圧倒的な戦力差の中で、本土を守るために、国民注視の戦場=日本上
空で戦った勇士たち。貧弱な機材と武装と工業生産力の限界の中で生産された国産
機を駆って、毎日のように迎撃する兵士たちの戦いを記録した貴重な本です。

 上昇力に劣る乗機の武装をはずして、高度1万メートルに向かい、B29に体当たり
攻撃して死んでいった兵士。米軍に占領されたサイパンや沖縄の飛行場に片道爆撃
をかけた兵士たち。微弱ながらレーダーシステムを構築して米軍を迎撃しようと頑
張った人々。その話が淡々と書いてあるのです。

 彼等の話は戦争中の新聞をめくると、連日のように大々的に報道されている。空
の勇士は、醜敵B29撃墜のために空対空体当たり攻撃で立ち向かっていった英雄だっ
たのだ。
 しかし、戦後になって過剰なまでに反省した報道は、彼等勇士の姿を再び描こう
ともしなかった。あのとき、撃墜のたびに喝采を送った国民も、いつしか彼等の存
在を忘れようとしている。

 結果として彼等は、B29爆撃機の無差別爆撃を阻止することはできなかった。国土
が米軍の無差別爆撃で焦土と化す中で、与えられた戦力と、限られた選択肢の中
で、からだがよれよれになるまで、醜敵アメリカに立ち向う姿を記録したのが、本
作である。

 『本土防空戦』など、過去にあらわした著作の不備を補い、その後の取材で得た
新事実などを加筆してあるので、前作を読んだ人にとっても、より充実した本書は
読むに値する著作だと思います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

3 件中 1 件~ 3 件を表示