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先月(2017年2月)

KAJKENさんのレビュー一覧

投稿者:KAJKEN

2 件中 1 件~ 2 件を表示

天国が降ってくる

2001/11/05 22:29

言葉の一点突破、あるいは真理を知るための唯一の方法

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 ビートルズの中期作品で『I am the walrus』という曲がある。その曲の出だしはこんな感じだ。

——僕は彼で、君は彼で、君は僕で、僕らはみんな一緒なんだ——

 『天国が降ってくる』執筆にあたって島田雅彦がモチーフにしたのは、自意識の壁を取っ払ってしまうこと。つまりかぎりなく他者との敷居を低くしていくことで同化を試みる魂の、その痕跡を標すことだったと言えよう。例えば僕たちが他者との同化を求める瞬間、恋愛の最中であったり、親から注がれる愛を受けようと身構えるような時、自ずとその対象に心を開こうとするはずだ。自分を受けいれてもらうことで、他人を受け入れようとする、というのが、この行為の基本的手段であるからだ。
 しかしこの小説の主人公葦原真理男は違う。他者に心を開く、という感覚がそもそも欠落してしまっているのだ。その教育課程において親から見放された真理男には、義理の叔母妙子や、妹りりかとの擬似恋愛の中にしかその魂の拠りどころを見出せない。さらにその体験すら、一度言葉に「変換」することでようやく体験として消化できるのだ。

 この物語は、悲しい「一人あがき」のお話である。冒頭のビートルズの詩ような「他者との一体感のある世界」、ユートピアをめぐって、主人公が果てしなく苦悩し、もがきぬく、救いがたい小説なのである。
 しかしその救いがたさゆえに、この物語は圧倒的スピード感をもって読者の胸に突き刺さる。ここで島田雅彦が成し遂げたのは、終末のカタルシスへの予感だけで読ませるという、現代小説におけるストーリーテリングのもっとも先鋭的な離れ技であると言えるだろう。

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彼岸先生

2001/07/28 23:49

「受け入れ難さ」のために

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 現代版「こころ」。泉鏡花賞受賞。抱かれたい作家ナンバーワン(マジ美男)。そういった枕詞以前に、こんな純文学性をもった現代小説、そうはお目にかかれないと思う。

 ストーリーは19歳のロシア文学青年「菊人」が、その街の対岸にすむ小説家の先生(=彼岸先生)に人生の弟子入りをし、先生の振る舞いや生き方の中から人間同士の関係性についてを師事するというもの。物語の後半は先生から菊人にあてられた書簡の体裁で、先生の過去や嘘についての独白が種明かしのような感じで挿入される。

 本作でのメインテーマはもちろんその「関係性」であって、「魂がふれあう」ようなコミュニケーションがどのようにして得られるものか、あるいは得られないものか、ということについて多少まわり道をしながら描かれている。

 それを菊人が先生の人間関係学の中から見つけていく。というその過程のお話だと思う。

 しかし僕はこの小説をオンリーワンたらしめているのは、特に後半部分にあると思う。それは先生の女性関係、女性遍歴、あるいは口説き方、付き合い方に対するスタンス、いってしまえば女性観、そういったもののもつ説得力である。実際その描写はかなり過激だ。ときに冗長に思えるほど、孤独な男の苦悩もある。 むせっかえるような性描写の部分もある。きっとこの部分が好きか嫌いかという点で、この小説の評価が分かれるのだろう。

 僕はむしろ女の子が読むといいと思った。その「受け入れ難さ」はそのまま男性に対する境界となる。そして男は誰しも救いがたくそういった面をもっていることも同時に認知してほしい。身勝手でごめん、て感じで。

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