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後藤さんのレビュー一覧

投稿者:後藤

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紙の本真夜中に海がやってきた

2001/07/29 22:27

この混乱の時代の、原点はどこ?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 世紀末を越えた今、理解しがたい悲惨な事件、理不尽なできごとが世界規模でますます増えている。チェルノブイリ原発事故、神戸の小学生殺人、地下鉄サリン、韓国の四千人の集団結婚、ダイアナ妃の事故死…これら「意味の欠如した時間の爆発」としか言いようのない、カオス(混乱)的、アポカリプス(黙示)的な事象を、物語の枠組みで把えたいというモチベーションがあったのだろうか、エリクソンは、17歳の少女をアポカリプスの原点に置いて、物語を爆発させる。それが面白くないはずがない。

 少女は時と場所を変えて何人か登場する。歌舞伎町の風俗嬢、殺人ポルノの犠牲者、核科学者の娘、そして千年前に塔から身を投げた17歳の少女。一方、男たちは、彼女たちにカオスを吹き込んだのか吹き込まれたのか、アポカリプスに取り憑かれ、その年表や地図を作りつづける。

 物語の最後では、点在していた登場人物がすべてつながり、とっても腑に落ちる。と同時に、アポカリプスに意味付け抗い得る唯一のものが、父性であり母性であることが、確信をもって示される。一見あたり前に思えるこの結論は、登場人物たちとともに大きく時間と空間を経巡って来た読者に、大きな感動を与える。

 「Xのアーチ」(柴田元幸訳 集英社)と比べて、作者の狙う射程が近いせいか、分かりやすくて読みやすい。作者の魅力の一つである幻視的な混乱感に乏しい感もあるが、初めてエリクソンを読む人にはお勧めかもしれません。

後藤

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