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先月(2017年8月)

長瀬大さんのレビュー一覧

投稿者:長瀬大

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歩いて行くために響かせる歌

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 枡野浩一さんの短歌を読んだ時に感じる心の震えを僕は未だに上手く説明できないでいる。シンプルな言葉で、わかりやすい表現で、誰もが感じていることを言っているだけの三十一文字。聞き飽きた警句や、見慣れた日常の風景は、もはや僕らをどこにも連れて行くはずがないのに、何故か、枡野さんの短歌は激しく感情を揺さぶる。それがあまりにも純粋で、強い言葉だからかもしれない。

 伝えるべき本質と伝えるべき他者を、ここまで明確にして表現する人を僕は知らない。短歌があんなにも純粋で力強いのは、目的が明確なので、回り道をする必要がないからだろう。だからその言葉は僕の胸に一直線に届き、共鳴する。伝えたいことがあまりにもクリアだから、無視することもできない。優れた作品が全てそうであるように、枡野さんの短歌も作者の心情というよりは、僕たち自身の感情と向き合わせるように作用する。そして、それがあまりにも純粋で見間違えようのないために、正面から深く見つめさせられることになるのだ。恐らくは、それがあの独特の感動を生み出しているのだろう。

 「ハッピーロンリーウォーリーソング」は、そんな短歌に、池田信吾さんの優しい輪郭を持った写真が合わさって、もっと淡くて広い感情の広がりまで手に入れてしまった。これは何度でも読み返すべき傑作だと思う。そして短歌を読んだことのない人達にこそ強く奨めたい。

 聞き飽きた警句や、見慣れた日常の風景は、もはや僕らをどこにも連れて行かない。枡野さんが歌う、ハッピーやロンリーやウォーリーな歌を聞いて引き起こされるのも、他ならない僕ら自身の、かつての、今の、感情であって、それが新しいどこかへ連れて行ってくれるわけではない。

 でも、新しいどこかへ向かうための「力」なら、確かに与えてくれる。

 「ハッピーロンリーウォーリーソング」は、自分の力で歩もうとする僕らが口ずさむための歌だ。だからこそ、僕はいつも、この歌を口ずさんでいる。

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