サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. かずんさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年1月)

かずんさんのレビュー一覧

投稿者:かずん

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本東京タワー

2002/03/31 01:32

男と女のかたち

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 どうしてだろう。
 江國さんの書いた小説と読むと、いつももどかしい切なさを感じる。そしてそれはしばしばやるせない哀しさをも連れてくる。
 この話を読んだ後、最初に心の中に生まれた感情は「哀しさ」だった。誰に共感してしまったのか自分でも分からないままに、哀しみの沼にどっぷり落ちてしまっていた。

 主人公の2人は共に年上の女性と付き合っている。
 片方は真剣にその存在を愛し、片方は身体に惹かれ(と本人は思って)いる。前者は透という青年で、詩史さんという母親の知り合いを愛している。とても一途に。彼女には夫がいて、傍目にはとても幸福な家庭を築いているように見える。詩史さんは透に「愛している。滅茶苦茶に愛している」と言うが、夫との生活は完全に出来上がっていて、それを手放して透と生活する気はないと言う。どうしても一緒に暮らしたいなら、自分のうちに越してくれば、と言う。それでいて彼女は透との未来を予想して幸福な気持ちになるのだ。
 後者は耕二という。彼は由利という恋人がいるにも関わらず、喜美子という主婦とセックスをする。そしてその獣のようなセックスを通して彼女を好きだと言う。耕二はいつも行動的で、自由に恋愛を楽しんでいるかのように見える。全てが上手くいく、と思っている。そして後半現れる吉田という女性。過去と現在の彼の行動が、彼を翻弄する。

 心を奪われる恋や愛には、必ず痛みも同居する。痛みは徐々に広がり、収拾がつかないほどに己を蝕んでしまう。透は詩史さんとの関係に自分なりの未来を見つけるが、読んでいるこちらとしては、どうしても幸福な未来には見えない。耕二は自分の未来が見えているようで見えていない。
 私は2人をとりまく女性達を想い、哀しい気持ちになる。
 捨てる女性、捨てられる女性。選ぶ女性、選ばれる女性。そして最初から相手にされなかった女性。自分が女だからこそ生まれる感情なのだろうか。
 恋や愛に完全な形はないと知っている年齢になっても、どうしても拭い去れない感情もあるのだ、としみじみ思った小説でした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示