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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

佐久間さんのレビュー一覧

投稿者:佐久間

27 件中 1 件~ 15 件を表示

書評が書きにくい面白さ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とにかく面白い。私は麻雀のことはほとんど何も知らないのだが、小さな雀卓の上で起こる心理ドラマをひたすら追究していくだけの、他に何の装飾もないこの漫画がただただ面白いのだ。言葉の選択に不思議な重みがあり、勝負ごとの緊張感を高めるのが上手いと思う。読者に雀牌は見えているので、先の展開を読もうと思えばできなくはないだろうが、何となくその辺は考えさせず読者を作中人物たちと同じ視点、同じ時間の流れに乗せて気分の昂騰を誘う、独特のドライブ感がある。
 この著者の漫画を絵で敬遠している方も、読めばきっともっと早く読んでいればよかったと後悔するだろう。とりあえず一度手に取って読んでみてほしい。

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4作どれもお勧め

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 十代後半から二十代前半の少年、青年達が、仲間を得、恋人を持ちながらも、たった独りで青春期を「枯渇するまで使い果た」してゆく様子が、ときに明るくときに哀しく、生き生きと描かれている。

 「(青春期に)わたしはひどい無力感を味わったが、自分が無能だとは思わなかった。自分は無能だと思うことは、楽だ。何もできない自分を自分で許してしまうと、そのあとは奴隷として楽に生きられる。」という後書きの言葉が印象的。村上作品が少し苦手という方にもぜひ一読頂きたい青春小説集である。

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紙の本生は彼方に

2001/12/19 06:09

詩人の心を解体

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 クンデラの小説の中で一番好きな作品です。
 クンデラは小説を書き始めるまでは詩を書いていたようですが、本当に真剣に詩作に打ち込んだ経験があるからこそ、詩人の心が書けたのだろうと思いました。私は詩を書かないので詩を書きたいという欲求はどんなものか分かりません。それゆえに、この作品を読むまで詩人に対して少し古臭い感じの純粋で気高いイメージを勝手に持っていました。ですが、クンデラの描く詩人は、憐れなほど卑小で不純で人間臭く身近な存在でした。自分が一度本気で取り組んでいた詩作をこんなに滑稽に書けるなんて、私はこの作品で、クンデラの凄みを最も強く感じました。
 誰がどう読んでも楽しめる小説だと思います。ぜひご一読ください。

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会計士または日商簿記一級を目指している方に

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簿記1をマスターした方はステップアップに2も解いてみた方がいいと思います。1より論点が大幅に増えて会計処理がかなり難しくなっています。1時間問題が全部で14問入っているのですが、ひっかりやすい論点が各問にちりばめられていて、丁寧に処理したつもりでもどこかしら間違うので、自分の苦手分野を知るのにとても役に立ちました。
また、日商簿記2級程度の能力がある方なら、1巻目はとばして2から入っても一級対策などに有効だと思います。1巻以上にお勧めです。

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強くお勧め

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基本的な文法事項はもれなくカバーされている。4択問題が主なのだが、なぜ他の選択肢では駄目なんだろうという疑問が残らないように詳細な解答解説がついていて、理解が確実なものにできた。
それほど文法が得意でない方は本書できっと大幅なスコアアップが狙えると思うが、文法に自信のある方でも、この問題集に収録された780問すべてに正答するのはまず不可能だと思うので、自分の知識の穴を見つけるのに役立つだろう。強力にお勧めの1冊である。

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強力にお勧め

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制限時間が1時間の問題を一度も解いたことのない会計士試験初学者の方は、ぜひこの問題集の問題を解いてみるべきです。私は制限時間30分程度の問題しか解いたことがなかったので、この問題集を買って初めて1時間問題で要求される仕訳やその後の処理の多さを知り、驚きました。早い時期にいろいろなパターンの1時間問題に慣れ、解説ページにあるような時間短縮のためのテクニックを身に付けることは重要だと思います。 
また、日商簿記2級受験生も、商業簿記の範囲の対策としてこの問題集に載っているような難しめの問題に慣れておけば、実際の検定試験でかなり楽に第2問、第3問が解けるようになると思います。
とにかく簿記学習者にお勧めの一冊です。

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バガボンド 13

2002/03/29 06:56

鬼気迫る、圧巻の出来

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 この作品を通じて初の番外編が収録されており、そこでは黄平の過去が語られている。
 幼いうちからすっかり悪行に慣らされてしまった彼が闇の底で見る夢。自然の中に放り出された自分の肉体が獣に食い荒らされながら静かに朽ちてゆき、やがてその身体を糧に一本の樹が伸び、枝いっぱいに柔らかな陽を浴びる、そんな安らかな夢を見るために彼は日々を生き抜くのだ。命に価値などないと暗い目で世界を見つめる彼が身内に秘めた穏やかさになんとも胸が切なくなる。
 その黄平(宍戸梅軒)と武蔵の闘いに決着がつくのが今巻。なんだかどんどん作品に凄みが増してきた気がする。しかし、胤舜と「今度は命を奪い合うことなく」などと笑顔で別れたころの武蔵はどこへ行ってしまったのだろう? 今後の精神の成長を期待する。

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紙の本ぼっけえ、きょうてえ

2002/03/25 07:59

情念の作家

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 ネイティブ岡山弁スピーカーの私には、「ぼっけえ、きょうてえ」が「ものすごく、こわい」の意味で、すっと頭に入ってくるのだが、他の地方出身者の方はこのタイトルを見た瞬間どんな印象を持たれるのだろうか。
 さて、内容についてだが、個人的にはこの表題作より他の収録作の方が怖かった。読み進むにつれ、湿った重い空気が肺を満たしていくような独特の息苦しさを持つ、佳作ぞろいである。「夫も子どもも捨ててきました、だから私には書くことしかないんです。」この作品の受賞式でそんな主旨のことを語ったと確かどこかで読んだのだが、まさにそんな情念が彼女の文章から立ち上ってくるのを感じる。
 未読の方には、ぜひ手に取ってほしい作家である。

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海がくる

2002/03/25 07:57

手元に置いておきたい本

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 先日、本好きの友達が家に泊まりに来たとき、3年くらい本棚に入りっぱなしで放置していたこの本を発掘してくれた。一読して気に入った彼女はそれを持って帰ってしまったが、私もその日久しぶりに読み返して、やっぱりいいものはいい、としみじみ感じた。
 たぶん原稿用紙10枚にも満たない、どこか詩的なショートショート、それに杉田さんのイラストがついて、絵本のような形式になっている。穏やかで優しいが少し怖い、広く深い海そのもののような作品。杉田さんの甘くない青を基調とした空気感のあるイラストもぴったりとあっている。
 一読と言わず、手元に置いて何度も読み返してほしいお勧めの一冊である。

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本当に結構わかる

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 ふとした思い付きから経済学の勉強が必要になった全くの初学者の私に、経済学部出身の弟が、まず読めと勧めてくれた一冊。
 半分くらいまでは確かにさらっといける。が、後半のIS−LMモデルの説明あたりから本質的に理論を掴めているという自信がなくなり、何度か後戻りしながらようよう読み終えた。もしかしてこの分野に適性がないのかもしれない。
 それでも、半端な理解ながらひととおり読んでみてよかったと思う。テレビのニュース番組で経済の話題を目にしたとき、今までよりもう少しその意味を感じ取れるようになったから。入門編としてはそれで十分な価値があるのではないだろうか。
 昔『痛快!経済学』を読んだことのある方、その次のステップとしてこれを読んでみませんか?

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ヒカルの碁 16

2002/03/05 13:31

一冊丸ごと伊角の巻

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 九星会の親善試合で中国へ渡った伊角。短期滞在の予定だったが、初戦で小さな子供相手に不本意な負け方をしたことをきっかけに、ひとり中国で修行することを決意する。そして気鋭の若手プロたちの中に混じり、苦手としている精神面のコントロールを鍛え上げてゆく。その後プロ試験のため帰国、前巻で佐為を失って以来碁から遠ざかっていたヒカルとの再会を果たすのだが……。
 中国で自信をつけ貪欲に前進しようとする伊角を失意の底で停滞中のヒカルに引き合わせるという展開の巧みさに感嘆した。続きが気になって仕方がない。

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奇跡の大型新人

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 日々の倦怠に浸かりきり惰性で生きていたシロウは、突如空から降ってきた謎の少女ルーシーに世界の素晴らしさを教わる。だが、彼女と出会って二日後、何者かに同じアパートの友人たちが惨殺されルーシーは姿を消す。さらに、実体の分からぬ敵に襲われたシロウは見知らぬ男に、「お前は今記憶をなくしているが、自分たちは追われる身で、立ち向かうためにはかつての仲間を集めなければ」と告げられ……。
 以上が物語冒頭のあらすじだが、正直これでこの漫画の魅力を一部なりとも伝えられたとは思えない。文章で伝わるものなら漫画という表現手段を選ぶ必要はないわけで、これはもう直接作品を読んでいただくしかないのだ。セリフセンス、画面構成、スピード感、読者への配慮、何を取っても一級の実力者で、10年後には漫画好きなら知らぬ者はいないという作家になっているだろうが、それまで待たず今すぐにこの作品の面白さを知ってほしい。ぜひご一読を。

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紙の本白蛇島

2002/02/26 06:09

76年生まれの作者、3作目の長編小説

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 主人公前田悟史は生まれ育った拝島を離れ、本土の港湾都市、高垣の高校に通っている。盆の帰省で久しぶりに幼なじみの中川光市と再会し、彼らは13年ぶりに執り行われる大祭で、全く予期していなかった大役を担うことになる。
 文章の上手い作家で、比喩はユニークだが明確で分かりやすく、舟や祭事などの専門用語にも詳しい。
 地理、風俗、人間関係などの集落の特徴が細部まで作り込まれ丁寧に描かれているので、読み進むにつれまるで自分も島の住人で、この土地に対する愛着や倦怠を主人公たちと共有しているかのように感じられてきた。特にこの島独特の“持念兄弟”と呼ばれる風習は、不思議な色気があって面白い。
 ぜひご一読を。

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全校生徒6人の小中学校に転校生が

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 東京から転校してきたかなりルックスのいい大沢君は遠慮ない物言いで主人公そよちゃんの誇りにしている村を馬鹿にする。というようにそよちゃんには感じられるのだが、周りの仲間たちは貴重な新入りを諸手を上げて大歓迎。ひとり内心で反発心をつのらせるそよちゃんだが……。

 アノラックひとつ手に入れるのにショップを探し回るような日々を東京で送っていたわりには、田舎に移ってもあっという間にそこで自分の生活スタイルを確立し特に不満も感じていなさそうな大沢君はすごい適応力の持ち主だと思う。他のキャラも極端さはないのにひとりひとりがとても個性的。ぜひご一読を。

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舞台は田舎だが洗練されていてお洒落

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 こういう作品は他で見たことがない。
 くらもちさんは東京生まれの東京育ちらしいがそれでどうしてこんな年寄りのあふれた田舎の村の生活がリアルに描写できるのか不思議でしょうがない。小学校は分校に通っていた経験もある超田舎育ちの私だが、くらもちさんの描く村のあり方に全く違和感を感じないどころか、そうそうそうなんだよと共感するところばかりである。そこで育った人間しか知り得ないような、年寄りの扱い方とか少数の子ども同士の密な関係とか、どこでこれだけの情報を得たのだろう。そしてそれ以上に、どこまでの想像力、描写力の持ち主なのだろう。
 まったく、恐るべき作家である。

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