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先月(2017年4月)

澤 貴美さんのレビュー一覧

投稿者:澤 貴美

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五七五七七の推進力

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「短歌なんて作ったことない」と言う人でも、気が付くと日記を五七五七七形式で書いていること、あるのではないかと思う。五七五七七。偶数を安定、奇数を不安定とするのならば、全部奇数のグループ五つ(これも奇数。しかも足しても三十一とやっぱり奇数)で構成される、一見不安定なのに、心地よいリズム。日本人はこの形式を、知らず知らずのうちに求めてしまうものらしい。

 『ハッピーロンリーウォーリーソング』は、そんな心地よい五七五七七のリズムを持つ、普段当たり前に聞いている「ような」言葉でつづられた、日常の一部を切り取った「ような」歌がたくさん詰まった短歌集だ。
 枡野浩一氏の歌は、「短歌」という言葉が持つ堅苦しさとは一切無縁の存在として、しかしそのリズムの威力はそのままに、私達に直接届く歌ばかりだ。時には軽快な、時にはシニカルな、時には情熱的な表情で。

 でも本当は気をつけた方がいい。枡野氏の歌は決して甘くない。当たり前と思った言葉は、実は絶対に当たり前のものではない。これらの歌は、心の奥の奥の世界から搾り出された、とてもとても特別な言葉でつづられた歌たちだ。五七五七七のリズムを推進力に、私達の心の奥の奥に直接響いてくる歌。その響き方は受け手の心の形次第で、まっすぐな人にはまっすぐに、複雑な人には複雑に、同じ人でもその日のコンディションによって、きっと違う広がり方をする。

 そういうのはきっと、頭で考えてもだめなこと。「この歌の意図はどこに…」なんて難しいことを考えてもきっとだめなので、心で直接、受け取ってください。

 最後に私が好きな歌を、一首は選べなかったから、二首。
・もう愛や夢を茶化して笑うほど弱くはないし子供でもない
・無駄だろう?意味ないだろう?馬鹿だろう?今さらだろう?でもやるんだよ!
 この歌を今日の私の応援歌にする。明日は明日の応援歌がある。−この本の中に、きっと。

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