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ヤスさんのレビュー一覧

投稿者:ヤス

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本屈辱ポンチ

2001/08/25 23:54

映画を観たときから、面白いという予感がした。

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 映画版「けものがれ、俺らの猿と」を観て、読んでみようと思い立つ。この映画自体はあまり面白くなかったのだが、原作への興味を高める効果はあったようだ 。
 この本は「けものがれ、俺らの猿と」と「屈辱ポンチ」の2作品を収録していて、どちらの作品も作者を連想させる主人公が登場するし、現実離れした世界も似通っている。そして映画よりもずっと面白かった。
 主人公の主観で進む世界はカフカのようだし、不条理で不確かな世界は純文学とも言える。下手をするとつまらなくなる可能性もあるのだが、そこのところは話芸の面白さでぐいぐいと読ませる。思いついたことをただ書いているようでありながら、絶妙の言葉遣いや間が笑える。ぐちぐちいろいろ考えたりする様子も面白い。
 一番印象に残ってるのは「落ち穂らー麺」の使い方で、端折って書くとこんな感じである。
 金がない主人公は、店頭で投げ売りされている「落ち穂らー麺」とかいう聞いたこともないラーメンを夜に食べようと考えていた。その後、しばらくして知り合った間抜け野郎がローストビーフサンドウィッチを「こんなうまいもん食ったことないっす」と感動して泣いているのを見て、普通のサンドウィッチに大の大人が泣くかと思い訊く。「おまえ普段なに食ってんだ。」「いえ、別に普通の」「普通のなんだ」「落ち穂らー麺とか」
 こう書いてはみたものの、実際の面白さは伝わりそうにない。手にとって確かめてもらえればと思う。

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天才楳図。

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テレビドラマ化されたので、オークションで高く売れるかなと思い、その前に再読することにした。
周りに何もない砂漠に小学校が移動するという大胆な始まりから、それを最後まで説得力を持たせて描いたこの作品、見所満載である。
子供同士による食料や水をめぐっての争いは『蝿の王』『ドラゴン・ヘッド』が連想させられる。また、薄気味悪い外敵が来襲するというところは、以後の多くのホラー作品に影響を与えているのではと思われるが、その絵の持つオリジナリティは今でも圧倒的な力が感じられた。砂漠に巨大生物が現れる様子は、映画の『砂の惑星』のようでもある。
殺人のシーンをはじめ、普通の世界では起こり得ない場面が全編を通して描かれており、楳図かずおの絵とあわせて受け入れない人が多いかもしれない。個人的には全然残酷であるとかは思わなかったし、すんなりと物語に入っていけた。主人公の母が他者に対してかなり失礼な行動を取るところなどに特に感じられるのだが、登場人物の行動や状況に夢と似た感触が感じられるからであろう。
ハッピーエンドでないにもかかわらず、希望を感じさせるラストに至るまで、全体の完成度はかなり高い。今なお色褪せない名作であるし、なぜ楳図が天才といわれるかがわかる作品でもある。

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紙の本神の子どもたちはみな踊る

2002/06/20 15:48

さすが村上春樹。

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阪神大震災が大なり小なり影を落としている6つの短編を収録。
正直なところ、「スプートニクの恋人」があまり面白くなかったので、あまり期待していなかったのだが、読みやすかったし、どれもが完成度が高く、また単純に面白かった。
妻に、空気のかたまりと暮らしているようだと言われ、離婚される男の話には身につまされるものがあった。人間の中身とは何なのであろうか。
次の短編では、生と死の考察、そして自分がからっぽであるという自覚から生じるもどかしさにある程度の共感を覚えた。
標題作は、個人と神の関係に多くの示唆を与えるだろう。神の子どもたちはみな踊るの踊るとは何を象徴するのか。
寓話性が高く、ユーモラスな面が色濃い「かえるくん、東京を救う」。かえるくんは善なるものの象徴なんだろうか。「ぼくの敵はぼく自身の中のぼくでもあります。」
3人の男女の関係を描いた「蜂蜜パイ」は面白いとは思うが、その世界にはすんなり馴染めない。「ノルウェイの森」が好きな人にとっては収録作の中で一番好きな作品かもしれないが。
阪神大震災は「何光年も遠く離れたところにあるように」感じていたし、その後旅行しても、その傷跡は目に入らなかった。モチーフとしてそれが関係しているのは明らかだが、内容としては個人の精神世界が中心であり、阪神大震災について気にしすぎる必要はないと思う。今という時代が感じられる作品でもある。

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すごい世界観です。

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呉智英によれば、この作品は現代日本マンガが到達した頂点の一つともいえる驚異的な傑作だそうだ。彼がどれほど信頼できるかわからないし、この作品を完全に理解できるわけではないが、この言葉については僕もそう思う。80年代前半でコンピュータの持つ世界をこれだけ具現化しているものすごいことだし、それは現在でこそ通用する世界観であるかもしれない。もちろん、物語はそれを超えた広がりがあるのであるが。
小学生の子どもが結婚し、子どもを産みたいと願う。それが機械に生命を与え、それは神としか呼べないものになる。これは楳図がイメージする神なのだろう。
子どもと大人との非連続性、そして、子どもだからこそ生み出し得た生命が「真悟」である。楳図かずおは子どもに対して彼なりのイメージがあると思われ、大人とは全く違う生き物としてとらえているところも興味深い。
後半、真悟は、離れ離れになった2人の想いを伝えようとする。それはお互いに伝えられたのであろうか。真悟の純粋さはこの物語の主題となるものであろうし、それは十分に描き切れていたと思う。
この物語は真悟によって語られている部分が多い。時系列で考えれば、真悟がその後どこかで存在することになる。それとも、別次元で存在するのか。そんなことも思ったりした。あと、特筆すべきところとして、トビラ絵が素晴らしい。

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紙の本日本のみなさんさようなら

2001/09/13 15:47

最近何がおもしろいの聞かれれば、リリーと答える。

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 日本映画を観てリリーが何を考えたかが分かる本。リリーの言っていることは大抵正しい。
 気温が低ければ低いほど味が出るという高倉健、ヌードの概念、いつのまにか渋くなった鶴見辰吾、仰向けにされると立つ事すら出来ずにくやし涙を流すガメラの哀愁、ゴジラの性別問題、『どろろ』がテレビで放送されない理由(体のほとんど欠損している百鬼丸は、妖怪を百匹倒すと体を手に入れることができるという設定のため)など正しい映画の見方を教えてくれる。
 この本を読めば間違いなく映画が観たくなるという点で、素晴らしい映画評である。
 ちなみに、最近では、TV番組「ココリコミラクルタイプ」に出演していて、イラストから連想するより本人はずっとかっこいい。

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斜め読みでもいいです。巷で話題の香料についての話もあります。

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さまざまな現場を取材し、ファストフードが世界に及ぼしてきた影響を明らかにする。

この本に書かれていることすべてをそのまま受け止めることは危険だと思うが、多くの点で非常に示唆に富んでいる。アメリカの象徴ともいえるファストフードが題材だけに、登場する企業名や地名に馴染みがなく、読みにくいところも多かったが、読む価値はあるであろう。

マーケティング戦略としては非常に有効なのだろうが、2歳から培われるという「ブランド忠誠心」を利用し、ファストフード業界は子どもに多くの影響を及ぼしている。このあたりを読んでいると、ハンバーガーを日本の国民食にしようとする藤田田などは悪魔の手先に思えてくる。

香料によってもたらされる作られた風味(焼きたてのハンバーガーの匂いが試験管で作られる)、増粘剤、安定剤によってもたらされる食感というのは異様であるが、これは我々の身の回りで氾濫していることでもある。ファストフード業界が搾取する低賃金労働者、食肉業界の寡占化、効率が追求された食肉処理場でのおぞましい光景などにも多くのページが割かれている。

マクドナルドのようなチェーン店は、ある国が市場を開放したときに真っ先に乗り込む多国籍企業であり、アメリカの象徴ともなっている。グローバリゼーション、アメリカ帝国主義への反発を最も受けやすいのも無理からぬことである。ピザハットが中国で襲撃を受けなかった理由が、イタリアの企業だと思ったからというのは笑える話ではあるが。

我々が口にする食料はもちろん、我々の生活に関係するものに関心を持つことは非常に重要なことだと思った。無自覚に消費することは罪悪なのかもしれない。企業が恐れるのは消費者なのであり、その消費者が望めば、企業がそれを提供してくれるだろうという主張にもっと耳を傾ける必要があろう。ファストフードを買うという行為が何を引き起こすのかを知り、そしてそれを買うのをやめるという行為は思った以上の努力を要するだろうが、何か行動を起こすべきだ。そしてこの状況が資本主義の必然かどうかも考える必要があるだろう。

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紙の本ムーン・パレス

2002/02/02 01:52

面白いと言えば面白いのだが。

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 この作品は、『最後の物たちの国で』と『偶然の音楽』の間に発表されている。今まで読みそびれていたのだが、ポール・オースターなのでとりあえずということで。
 主人公はコロンビア大学の学生。叔父が亡くなり、貯金と本だけで卒業までをいかに過ごすかというところから始まる。卵を床に落とした時の悲嘆にくれる様子や何もしない言い訳など、貧乏話として面白く読める。部屋を追い出された後、セントラルパークでのホームレス生活となり、公園のゴミを漁ったり、危ない目にあったりと状況は悪化するのだが、ここまでは主人公を中心とした物語である。
 ホームレス生活から救出された後、奇妙な老人の家で住込みで働くようになり、彼の一生を自伝として書き取ったり、街頭で50ドルを配るという奇行を手伝う。彼の死後、その息子と知り合い、その過去について知らされることになる。
 途中、いささか退屈を覚えることもあったが、老人の息子に出会ってからラストに至るまでは一気に読ませる。老人の息子の過去、そしてラストにむかってさまざまなことが収斂していく様子は非常にドラマチックであった。多少退屈を感じた部分もあったが、孤独、偶然、家族、父親というポール・オースター馴染みの素材が緻密に構成されていて、概ね面白く読めたし、最後のシーンでの主人公の感慨もなるほどという感じで受け入れることができた。

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紙の本オイスター・ボーイの憂鬱な死

2001/09/13 15:55

もらってうれしい本。

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 『シザーハンズ』『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』などちょっとカルトな映画を撮っていた頃のティム・バートンが作者。
 ロボット・ボーイ(電気ミキサーと人間の女性の子供)、両眼に釘がささった男の子、ミイラ少年など両手がハサミのエドワード以上の異形が登場する。昔、ディズニーでアニメーターをしてただけあって、イラストもかわいいし、病んだようなストーリーも寓話的でよかった。
 2,855円とちょっと高いが、装丁含めて本自体がいい感じなので、それだけの価値はあると思う。プレゼントに最適ではないだろうか。

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