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ルイさんのレビュー一覧

投稿者:ルイ

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紙の本二人で紡いだ物語

2001/08/28 12:51

愛とパワーの物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 自伝を読むのが大好きだ。とくに大人になってからのその人の人生が描かれている作品。見知らぬ人の人生の物語を読みながら、その人の過去だけではなくて、過去をふりかえって書いている「現在のその人」をも感じることができる。「二人で紡いだ物語」はまさに、自伝好きな私に、自伝の魅力をあますところなく、味わわせてくれた作品である。

 「二人で紡いだ物語」は、読んだ人が、それぞれの人生に重ね合わせて、いろいろな読み方のできる本だ。世界的に有名な女性物理学者が切り開いていったキャリア開拓物語でもあるし、タイトルが示すように、夫婦愛、そして家族愛の物語でもある。著者がかずかずの病気を克服していったことに目を向けて読めば、勇敢でつねに前向きな闘病記でもある。

 私はこの本を「愛のパワーの物語」として読んだ。ここでいう「愛」とはけっして、恋愛の愛や異性愛の愛ではない。友情、家族愛、仕事への愛。という風に限定もできないし、定義もできない。強いてあてはめるとするなら「自己愛」という言葉が近いかもしれない。
 自分を愛する。自分の人生を愛する。自分の生命を愛する。そういう、あまりにも広く、深い意味での自己愛である。自己尊敬と言いかえてもいいかもしれない。

 自分を尊敬することは、簡単そうに見えて、じつはかなりむずかしい。人は簡単に傷ついたり、自分を否定したり、卑下したりできる。でも、自分自身を全面的に肯定することの、なんとむずかしいことか。なぜならそのためには、なみなみならぬ強さ、自分を見つめ、自分を知りぬく、きびしい目が必要だからだ。そして自分を真に愛することのできる人こそ、他人を愛することができる。

 愛のパワーは、本人だけではなく、他人やまわりにも影響を及ぼしていく。愛の増幅作用だと思う。私もこの作品のもつ愛の力に心を打たれ、洗われたひとりである。読み終えたあと、アメリカ在住の日本人女性で、癌をかかえて生きている友人に、この本をゆずった。彼女にも「愛のパワー」が波及することを信じて。

NY在住・著述業 小手鞠るい

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