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ちみさんのレビュー一覧

投稿者:ちみ

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静かに始まる第一章、怒涛を迎える第二章以降の展開

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 この本のよさは 第二章を読み終わるまでわからない。一見青春小説風に始まる作品だが、第二章に入ったところから事態は暗転してくる。
 主人公の富岳と雄の儚い恋物語はその純粋さゆえに周囲を巻き込み、本人たちを翻弄させ、ついには悲劇的な最後が待ち受ける。それは第三章第四章への重要なプロットでもある。筆者はこの作品を十代の頃から書き始めたそうだが、その頃の甘い感情と成熟していくにしたがって膨らんでくる欲情的な面、周囲との危うい接点、その上に立った主人公たちのガラスの上を歩くような生活が描かれていく。
 プロットの積み重ねで終わった第二章は、一転する第三章への重要な布石でもある。ここで筆者は「同性愛」というアウトロー的なスタンスをとる。それがどうして必要なのか、最初はわかりかねる部分もあるが、富岳と篠のこれまたある意味で純粋な愛は次第に読者の心を捉える。第四章の見せ場になって、ようやく単純なプロットの積み重ねでしかなかった第一章が「生きて」くる。生きることとはめぐりめぐっていくことなのか、と思わせる。
 富岳の大学時代の親友として登場する「篠」のもたらすこの作品への役割は大きい。複雑な生活環境を潜り抜けてきた富岳と雄に対して、自由奔放に生きてきた篠、その対比の中で数々のプロットが積み重ねられていく。第二章最後で雄が死を選ぶ場面は恐ろしいほどに静かであり、逆に第三章第四章で富岳と篠が入水自殺しようとする一連の場面は怒涛のようで圧巻である。
 重ねて言うが、この本は決して第一章だけで読みおわらないで欲しい。この本の価値は最後まで読み通すことにある。

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