サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 三月うさぎ(兄)さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年8月)

三月うさぎ(兄)さんのレビュー一覧

投稿者:三月うさぎ(兄)

8 件中 1 件~ 8 件を表示

百年の誤読

2004/12/25 07:27

100年間のベストセラー本を現代文学として再評価

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 そもそもが最近のベストセラー本のあまりのあんまりさに、昔からベストセラーってこんなものなのか、ってことを20世紀の最初から検証してみようと始められたのがこの対談書評。

 漫談風の対談に騙されてはいけません。その論旨は明快かつ深い。全てのベストセラー本を現代文学として再評価しようとしてます。
 例えば永井荷風の「墨東綺譚」をジイドの「贋金つかい」と併置して、近代的自我の合わせ鏡のような構造を表現している作品として評価しています。怠惰なぼくに荷風を読ませるだけの説得力があります。
 現代の目から見てダメなものはダメとしていますが、文学が時代によって洗い替えられるのは当たり前なことで、その徹底ぶりはすがすがしいくらい。

 ところで、ひとつだけ納得できないことがあって、それは、『何々について書いていないことが欠点だ』という形式の評価がときどき見られること。
この方法は、『この八百屋には牛肉がないのが欠点だ』と言っているようにも聞こえる。
 一番ひっかかったのは乙武洋匡「五体不満足」の評価に『乙武くんだって自分の障害に苦しみながら、周囲の無理解や差別と戦っている人たちと身近に接しなかったはずはないと思うのに、その葛藤がまったく抜け落ちている、それがこの本の欠点』としていること。「五体不満足」の画期的だったところは、そういう葛藤を一切書かないことで、障害者としての乙武が次第に人間としての乙武に変貌してくるように読ませ得たことだと思うのです。確かに全ての障害者が乙武のように思われてしまう、という危険性はあるけれど、それよりも心のバリアフリーを訴える効果の方を乙武は選んだ、とぼくだったら評したいところ。

といった感じで、いろいろ考えさせてくれながら、もちろんブックガイドとしてもお役立ちの対談形式書評集と思し召せ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本文体練習

2004/05/23 23:12

言語実験にはユーモアが必須条件である、というかこれをふざけていると怒ったひとは読むべからず

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あなた、痛い上顎でえづくぐらいおかしいです。
かっこいいギャグを口ずさみ、決して小難しくない。
最高にシンプルなストーリーと精密な素描。
楽しい! チョベリグ! 筒井康隆って言うかぁ、ドナルド・バーセルミみたいなぁ。
何というか、偽のヌーボーロマン? ねつ造のノベル?
発見と必見のフーガがへこたれぬ翻訳で。
間違いなく皆さんがむしゃぶりつく名作ですよ、もう。
夜勤明けにゆっくりと読みましょう。
楽観派も、理数系も、ルネサンス主義者も、レトロ好きも、ろくでなしも、
笑い転げましょう!!
をわりです。
ん?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本ウェイクフィールド

2004/12/22 01:01

解決されない謎の心地よさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ホーソーンの短編「ウェイクフィールド」(自宅の隣の通りに家出してニ十年後に妻の元に帰ってくる男の話)と、ベルティがウェイクフィールドの妻の視点で書き直した短めの長編のセット本。

この小説の魅力は解決されない謎の心地よさにあります。

「緋文字」しか知らないので、ホーソーンの短編の現代性は驚き。『ある病的な虚栄心』で家出するんですが、つまり自分がいなくなった後の自分の周り(この作品では妻)を知りたいという結構一般的な妄想から出発してほとんどカフカの先達(@ボルヘス)のごとき不条理に踏み込んでます。しかし結末。なぜ二十年もたってから帰るんだ>ウェイクフィールド

 という疑問や謎に敢然と挑んでさらに謎を増やしてくれるのが、ベルティの「ウェイクフィールドの妻」。ホーソーンの短編の裏で確かに生きていたはずの人々に名前が与えられ(夫がチャールズで妻はエリザベス、小間使いのアメリア、使い走りのフランクリン、フランクリンの母ドロシー、エリザベスの姉ジョージアナ、チャールズの家出先の女主人コーンゴルド夫人、「機械打ち壊し運動家」スマイト、エリザベスに接近するウェブスター牧師、…)が、「短編」に残された無数の謎、「肩までぶつかる至近距離での再会でも妻は気付かなかったのか?」「二十年の後の帰宅で妻は本当に受け入れたのか?」「夫は働いてたのか?」「そもそも隣の通りで二十年も隠れられるものなのか?」…などなどにリアルに応えてはいるのだが、しかしその中心に「なぜ、家出先を知っていながら連れ帰らない?」というさらに大きな謎を投げかける作品なのでした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本陋巷に在り 1 儒の巻

2004/04/04 11:36

オリエンタル・サイキック・アクション

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

古代中国の錯綜した歴史、儒教を軸にした晦渋な思想、論語の説教臭い解釈......。
そう思い込んでいたぼくが、相方の嫁入り道具で全13巻揃っているのを見て、ふらふらと読み出してみたら、くりびつてんぎょう。
手に汗握る「オリエンタル・サイキック・アクション」ではないですか。

剣を振り回すマスゲームのような死霊の軍団との戦い、
手練れの儒者の臓腑を次々に抉り出す虎のような女、
死後の世界で展開する神々との壮絶な駆け引き、
などなどなど、全ての章に渡って本を閉じさせない面白さ。
途中何度も、後の展開をバラすという手法を使っているにもかかわらず、驚きの連続なのです。

ただひとつ不満なのは、続編が(まだ)無いこと。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

閉じた本

2004/04/04 11:34

小説というミステリ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「閉じた本」は、遅読のぼくでも半日で一気読み。

全編99%が会話。失明した作家と、彼の目として雇われた
青年のやりとりが続き、作家が青年の言葉の誠実さに疑いを
抱くところから一気に緊迫していきます。

ところがこの作品、実はミステリの皮をかぶった小説論なのかも。

タイトルの「閉じた本」が暗示するように、自己言及小説の
究極であって、しかも/しかし、ものの見事にエンターテインメント。

帯の宣伝文句『結末にやってくる驚き』は、ミステリの結末としても、
「現代文学」の結末としても一級品と思います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本甘美なる来世へ

2004/04/04 11:30

無駄の存在しない世界

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「それは私たちが禿のジーターを失くした夏だったが禿のジーターはジーターといってももはや大半ジーターではなく大半スロックモートンにたぶんなっているというか……」、邦訳冒頭29行に及ぶ改行句点読点なしの1センテンスをとにもかくにも乗り切ってしまえば、あとは甘美なる世界。難解な部分はまったくなし。どうでもよいこと無駄なことを徹底して省略しないという、文章の見た目とは正反対の厳格な拘束に自らを縛りつけた律儀な文章で、ニーリーという架空の田舎町のどこか間が抜けた人たちのどうでもよい日常が脱線に次ぐ脱線で描かれ、最後までクスクス下腹を痙攣させながら読みきってしまうこと間違いなしの奇作。

この無駄話でいっぱいの文章は、例えばハムレットの端役に焦点をあてた「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」のように無駄な人間などいないという意図のもとに書かれた作品を連想させたりもするし、饒舌と寡黙は同じコインの裏表と自ら証明したベケットの無表情な喜劇的小説を思わせたりもする。
だからと言って、ストーリーがまるでないわけではなく、まるで結末から逃げ出そうとするかのように脱線していく物語のその裏で、ボニー&クライドばりの悲喜劇が静かには進行していくのでした。

柴田元幸氏の名訳で、是非「上等な憂鬱」を味わって下さい。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

熱帯

2005/01/05 15:40

「逆プロジェクトX」+「怒涛のスパイ・アクション」+「星のカービー」

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

水棲人がえらく可愛いと評判なので読んでみたわけですが、ぼくの頭の中では「星のカービー」が三匹並んで「新天地です、新天地です」とゆいながらゴロゴロ転がってるのでした。…か、かわいい(笑)

以下、何を言っているのか分からないと思われるところもあるでしょう。ぼくも分かりません(汗) 真面目にレビューするとこうなっちゃうのです。

この小説、実は前半がビジネス小説、というか「逆プロジェクトX」。広義に不明なもの一般を取り扱う「不明省」の事務仕事をコンピュータシステム化するプロジェクトが、実に10年間に渡り、仕様変更に次ぐ仕様変更で延々と基本計画だけを繰り返す様を、ホメロス風に描写しているのです。システム屋でプロジェクトマネージャー志向な人は楽しめる(というか失敗プロジェクトを想い涙する)ことでしょう。門外漢にはこの部分、退屈かもしれませんが、どうか?
後半は怒涛のスパイ・アクション小説。エアコン室外機爆破テロリストの親玉が「チビめ! 寸足らずめ!」と唸りながら虚空から二十貫目の氷を出現させては誰彼かまわずにぶちまけるわ、同僚の自殺現場を何度もフラッシュバックさせながら西側スパイが一人頑張るわ、元東側のスパイは年金のためにだけに頑張るわ、そんな彼らの足元で可愛い水棲人トリオがゴロゴロ転がりながら「邪魔ですね? 邪魔ですね?」と尋ねるわ。そんなキャラたちが、不明省で管理されているという「事象の地平」をめぐって壮絶にバトルするのです。

どうです。そんな小説なのです。…すいません。ぼくにはこれが限界です(汗) とにかく笑えることは請け合いますので、是非。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本朗読者

2004/04/04 11:39

最高によく出来た中年男の初体験自慢

5人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ぼくは、これ、年上の女性と何がしかの経験のある、現在ある一定以上の年齢の男性だけが楽しめる小説だと思うのです。

後半のナチ裁判も歴史の再審も本筋とはまったく関係がなく、中年男が昔の女性の記憶を甘く苦くネチネチネチネチ舌の上に転がして何度も何度も反芻する楽しさを非常にうまく再現した作品、
だと思うのですが、いかがですか?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

8 件中 1 件~ 8 件を表示