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銀でぶさんのレビュー一覧

投稿者:銀でぶ

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本アントニオ猪木の謎

2003/11/21 14:13

カネまみれのカリスマ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

凄い本だ!
何が凄いって、そんな裏社会や裏事情をガンガン書いていいのだろうかと、読んでる方がびびってしまうのだ。
山口組系列の宅見組長も、稲川会の石井会長も、佐川の渡辺も、小沢一郎も、金丸信も、森喜郎も出てくる出てくる。怖い人たちが総出演だ。オールスターキャストだ。ついでに、キューバのカストロまで出てくる。

加治将一といえば、『借りたカネは返すな』とか『借りたカネは忘れろ』で、“借金踏み倒しの教祖”として近年、大ブレークした人だが、やはり、怖い人だった。

アントニオ猪木といえば、戦後の打ちひしがれた日本人に、「米国人にも勝てるんだ!」と、夢と希望を与えた力道山の、ジャイアント馬場と並ぶ一番弟子。やはり、昭和50年代は、この人の派手なパフォーマンスに、熱くなった日本人は多かっただろう。タイガー・ジェット・シンとかアンドレ・ザ・ジャイアントとか、異種格闘技戦も、猪木が嚆矢で、柔道のウィリアム・ルスカや、ボクシングのモハメッド・アリや、空手のウィリー・ウィリアムスらと闘い、全国の格闘技好きをプロレス最強伝説信奉派とプロレス見せ物派に二分したものだ。
その猪木が参院戦に出馬して、当選したのは記憶に新しいところ。多くの票を集めるだけのカリスマ性が彼にあったわけだ。
しかし、裏では、きな臭い噂も絶えない人だった。巨額の借金、新日本プロレスとの確執、梶原一騎に監禁された事件、拳銃密輸事件への関与、鈴木都知事退陣後の都知事選出馬取りやめ騒動……。

本書は、この猪木の裏の部分に光を当てている。猪木の裏の顔は二つあるのだ。
加治将一は20年来の猪木の友人である。猪木の穏やかな素顔や子供のように純真なやさしさも、マットの上で見せる表の姿とは違う、裏の顔である。そうした猪木の穏やかな素顔(加治は「内なる猪木」と呼ぶ)が、裏の顔のすべてではない。もうひとつの裏の顔(加治は「外なる猪木」と呼ぶ)が凄いのだ。
本書で描かれる「外なる猪木」を動かす根本原理は、「カネ」だ。
女と付き合うのも、都政出馬取り消しも、新日本プロレス株式上場も、「内なる猪木」は、それに奔走した加治ら友人に感謝し、そのアドバイス通りの結論を出す。しかし、その後で、やおら動き出すのが、「外なる猪木」だ。すべての段取りをひっくり返し、友人達の必死の献身を水泡に帰さしめ、自らの懐に、巨額のカネが流れ込むべく仕組む。
圧巻は、都知事選立候補出馬取り消し騒動である。
「立候補を取りやめさえすれば、巨額の現金が猪木の懐に入る」
という状況から、金額を巧妙に釣り上げていくのである。
闇社会の顔役である、高岡(恐らく仮名であろう)という男と加治自身が、猪木の戦略にまんまとはまり、辛酸をなめることになる。

面白いのが、これだけコケにされても加治が、まだ、猪木のことを心のどこかで、愛している節があるところだ。それが、「内なる猪木」の魅力なのだろうか。
やはり、アントニオ猪木は不世出のカリスマであることには違いないのだろう。
いやはや。

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伝説がここに生まれた

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ヨネクラジムといえば、柴田国明・ガッツ石松・中島成雄・大橋秀行・川島郭志の5人もの世界チャンピオンを輩出した名門ジムである。日本チャンピオンでいえば、40人を超す。
通常、ボクシングジムの門を叩こうかというような輩は、ストリートファイトなら敵なし、誰にも負けなかった、というような腕に覚えのある者が一般的である。その腕自慢達が、血反吐を吐くようなトレーニングを積んで、ようやく、プロテスト受験にこぎつける。しかし、ここであっさり、ライセンスを得る者は一握りである。多くの者は、何度も受験し、結局、去っていくことになる。
そのプロテストをパスした者もいわゆる4回戦ボーイとして、前座試合から始まり、連戦連勝して、6回戦、10回戦と地道に登って、ようやくランキングボクサーとなる。4回戦止まりの者、6回戦からは1勝もできない者、そうしたボクサーたちは、人知れずその世界から去っていく。
こうして、生き残ったわずかな者のみが、タイトルマッチへの出場が許される。日本チャンピオンといえど、それは遙かなる頂なのだ。
ヨネクラジムをトレーナーとして支えた松本清司は未曾有の数の若者を、その奇跡の階段の頂上へと誘い続けた。
トレーナーといえば、エディ・タウンゼントが有名だが、エディは世界タイトルマッチ直前に臨時契約し、試合のセコンドを努め、多くの実績を上げた。
松本清司は、ジャブの打ち方すら知らぬ、やんちゃなだけの若者や、目的を見失った自暴自棄の少年を、イチから教え、チャンピオンにまで育てた。
本書には、その松本と若者達の熱いドラマが、これでもかと詰め込まれている。

松本は寡黙な指導者だった。ボクサーの、練習生の自主性を重要視した。ボクサー達は、強制されるのではなく、松本のもの言わぬ鋭い眼光に晒されて、その眼光に許しを請うべく、あるいはその眼光を跳ね返すべく、自らを極限までいじめ抜いた。
松本は徹底的に足を使ったアウトボクシングにこだわった。イチかバチか、カウンター戦法、インファイトを嫌った。それはKOで勝てるかもしれないが、同じようにKOで負けるかもしれない。そうした戦法のボクサーは、積み重なるダメージによって、後に何らかの傷害を負ってしまう可能性が高いからだ。ボクサーには、その輝かしいボクサーとしての時間よりも、遙かに長い引退後の、人間としての人生があると知っていたからだ。

やんちゃな天才児、辻本章次(日本ウェルター級王者)、忠実な学徒、岩本弘行(日本Jフェザー級王者)、すぐに引退しては復活した、古城賢一郎(日本Jライト級王者)、エリート街道から奈落の底に落ち、再びそこから這い上がった川島郭志(WBC世界Jバンタム級王者)……。こうした頂を極めた男たちと松本の交流は、激しく、そして限りなく優しく、読む者の胸を焦がすぬくもりがある。一方、そうした王者たちの影で、新人王戦で散っていった、あるいは新人王止まりだった、名もなきボクサーたちと松本との交流も、本書は丹念に掬い取っている。いや、むしろ、読む者が涙するのは、この名もなきボクサーたちとの交流の方かもしれない。

テンカウントといえば、ダウンしたボクサーに与えられる10秒の猶予のことだが、日本王者クラス以上のボクサーが引退する時に、リングの中央で浴びる10回のゴングの音、という意味もある。
平成6年11月12日、偉大なるトレーナー松本清司は、58歳の若さで逝った。胃ガンであった。
彼は人生のテンカウントを経て、ここにこうして伝説となった。

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関関同立学

2002/12/13 18:57

問題は「そこそこの進学校」なのだ

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 そこそこの進学校に合格すると、
 ──オレにはあらゆる可能性の扉が開いている。
 などと甘酸っぱい空気を肺に充満させて意気揚々とその高校の正門をくぐることになるわけである。しかし、注意が必要なのは、そこが「そこそこの進学校」である、という点である。
 日本有数の進学校なら、話は簡単で、東大・京大・阪大などや、国立大医学部だとかを目指すのがあたりまえの中で、それなりの青春もあるだろう。
 大変なのが「そこそこの進学校」である。クラス行事や学校行事に一切参加せず、東大を目指すヤツもいれば、バンドを組んで青春を謳歌するヤツもいる。映画を年間200本観るヤツや、サルトル全集を読破しようとしているヤツもいる。3回戦が関の山なのに、部活に血道を上げるヤツもいれば、恋愛にとりつかれているヤツもいる。
 高校3年間をどうすごして、大学にいくか。
 受験勉強をたっぷりがんばって、試験科目の多い国立大に進学する青春もあれば、映画を観るのか、音楽にはまるのか、受験勉強は片手間に、私立大学に入学する青春もある。
 で、私がお薦めしたいのが、「関関同立」である。
 文科系ならば、数学も物理も化学もいらないのである。英語と国語と社会科一科目やればいいのである。くさっても「そこそこの進学校」の生徒なんだから、国語と英語はまあ、できるはずである。日本史一科目だけなら入試直前の二カ月間だけ、耳から煙がでるほど用語集と史料集を暗記すればOKなのである。つまり、高校三年間弱、青春を謳歌できるのである。
 会社に入れば、東大もいれば京大もいれば同志社もいれば関大もいるのだ。仕事のできるできないは大学名じゃない。その人の能力だ。では能力とは何か?
 それはその人間の厚みであり、柔軟性である。
 さて、それはどこで身につければいいのか。
 簡単である。高校・大学の7年間である。京大や阪大に入学した者の高校3年間は似たり寄ったりである。はじめて大学で人間の厚みと柔軟性を育て始めるのだろうが、たった4年間しか時間がない。それでも勘のいい者は4年でひとかどの人材になるだろう。
 それにひきかえ「関関同立」はすでに3年修行したつわものたちが入学している大学だ。その中で、修行の第二段階として4年間を過ごすのである。勿論、TVゲームばかりしていては何にもならないだろうが、本を読み、旅をし、仲間と何かに挑戦し、恋愛し、学問して、人間の鍛錬の4年間を過ごした者は、必ず、際だった人間に育っているだろう。そういう者こそ、社会では有用なのだ。
 本書はそんな鍛錬の場としての関関同立を、学食、サークル、100年を超す歴史、歴戦のOBOGたち、名物教授、企業人の声などなど考えられ得る限りの多角的な方向からスポットを当てている。そこに序列はない。
「関関同立」を卒業したした者なら、その伝統に胸を張り、在学中の者なら、その業績に矜持を保ち、受験生なら、その名門に胸焦がす……。そういう本なのである。

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石原慎太郎は危険な政治家であるのだが……

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 宮島理氏が本書の内容を的確に評されているので、ここでは搦手から攻めることにしよう。
 本書はいまや、ノンフィクション界の4番バッターといっても過言ではない、佐野眞一氏の労作である。ぐいぐい読ませる筆力はさすがである。
 石原家の原点を石原慎太郎・裕次郎兄弟の父親である、石原潔に据え、この男の行状を丹念に調べ上げることに前半の大部分が費やされる。彼の山下汽船時代の仕事ぶりを探るために、樺太にまで取材の足を運んでいる。その労に賞賛は惜しまないが、その取材紀行まで書く必然性があったのかどうか。潔は、旧制中学中退で、山下汽船においてノンキャリアにあたる店童からの叩き上げであったこと、剛胆な男であったこと、死ぬまでは、女房・子に贅沢をさせたということ、慎太郎19歳、裕次郎17歳の時に、亡くなったということ、慎太郎・裕次郎は、神戸、小樽、逗子といった港町で育ったということ、これくらいを押さえておけば、本書の前半3分の1は斜め読みでよいのではないだろうか。
 というわけで慎太郎だ。
 早い時期からの江藤淳との交流や賛否が二分した「太陽の季節」、現在に至るまで慎太郎に原稿を依頼していない講談社の文芸雑誌「群像」、在籍・卒業した一橋大学に関する慎太郎の劣等感にも似たアンバランスな思いなどなど、本書のもっとも読み応えある部分が、湘南高校・一橋大学の学生時代の事績と作家デビュー以降の文壇の評価に関する部分である。勿論、政治家になってからのエピソードも政治家としての慎太郎の内部の意外な脆弱さが浮き彫りにされていて、読む者を引きつけるのだが。
 慎太郎は作家としては、本格筋の編集者や大御所作家や評論家からは、一等低い流行作家として見られていた。しかし、大衆レベルでは、目もくらむような、輝かしい超有名作家だ。この部分は、弟すらも世に出し、日本映画史上燦然と輝くスターにさせた。
「東大で仏文をやりたかったのに、一橋に行かざるを得なかった」と後年、自ら語ってしまう屈折。作家として一流の線に、結局たどり着けなかったその文学性の脆弱さ。その作品評価とはアンバランスに名前が屹立してしまった危うい不均衡。宗教団体の組織票を母体とした参院選での圧勝という希薄な驕り。知事選での敗北と後年の圧勝。そして圧倒的な大衆性を獲得し得た弟への誇りと嫉妬。
 文壇村という閉塞した空間での嫉妬や怨嗟の視線を独りで浴び続けた部分もあっただろう。政治家としても永田町というこれまた閉じた系での、「流行作家上がり」への蔑視という、よるべなさはつきまとう。
 本書を読み終えて、考えた。
 驕りと失意、この極端から極端に揺らぎ続ける振り子を内部に有した慎太郎が、自己存在の支持基盤に据えたのが、ポピュリズム(人民主義・大衆迎合主義)だったのではないか。
 慎太郎が圧倒的なカリスマ性を発揮して大衆に迎え入れられ、首相待望の声まで挙っているというわけではないのではないだろうか。政治家は所詮、大衆に選ばれるもの、つまり、大衆を写す鏡なのだ。
 慎太郎人気を支えるものは、慎太郎自身の内部にあるのではなく、大衆の内部が慎太郎とシンクロし、共鳴し、大きなうねりとなっているのではないだろうか。
 ──驕りと失意にゆらぐ振り子。
 我々の内部そのものではないか。少なくとも、私の内部はそうだ。

 慎太郎という政治家は危険な政治家である。
 危険な政治家が浮上する時代を我々が作り上げたのだ。
 慎太郎が危険なのか。我々が危険なのか。
 そして、いつも「危険」には甘美な匂いがつきまという。

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