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先月(2017年8月)

110の王さんのレビュー一覧

投稿者:110の王

4 件中 1 件~ 4 件を表示

驚くべき奇跡

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書が凄いのは、精神疾患の患者を治せる(本書では「病気を消す」といっているが)と、堂々と宣言しているところである。
確かに、「うつ病」は治るというようなことは、精神科の医師の書いた書物にもあるようだが、押川氏は、「うつ病」に限らず、「統合失調症(精神分裂病)」も、治ると言い切っている。
押川氏の仕事は、著者紹介でもあるように、精神病患者(病識がない場合が圧倒的に多い)を説得して、病院に移送することだ。それを成功させるためには、患者のこれまでの趣味・嗜好・性格・生育歴等はおろか、その両親や兄弟の性癖や生活スタイルまでもつぶさに調査して、「どこにボタンの掛け違いがあるか」を押さえて、説得に臨むという。そうした過程を700例以上の患者たちに対して誠実にこなしてきた。
精神科医が患者の病を診るとき、そのほとんどは、患者そのものを診る。患者そのものしか診ない。押川氏にいわせれば、患者の状態は結果でしかない、原因と過程は、その患者の育った家庭内にあるという。どんな問題を解決するにせよ、原因と過程を知らなければ本質的な解決にはならない。
窓ガラスが割れている。新しいガラスをはめる。確かに結果はとりつくることができる。しかし、原因と過程に目を向けなければ、そのガラスは再び割れるであろう。前の公園で、子供達が野球をしていて、そのボールがガラスを割ったことを考えれば、塀を建てるとか、市役所にクレームをつけて、球技禁止を遵守させるよう指導を要請するなどしなければ、同様の事故はおこり続ける。
精神科医が、単に「落ち着く薬」を処方したり、「元気が出る薬」を飲むよう指示したりするのは、ガラスを貼り替えたに過ぎない。しかも、それらの「向精神薬」は、いずれも恐ろしいほどの依存性がある。しかし、精神科医に同情の余地もある。現行の医師法では、薬を出さないと点数にならない、つまり儲けにならないという縛りがある。カウンセリングしたり、患者の育った家庭に赴いて、両親や兄弟の状況を詳しく調査したり、といった行為には、点数はつかないのだ。精神科医が精神病を治そうとすれば、破産するのだ。
押川氏は、その原因と過程を知り、どこにその患者の病の核があるかを的確に認識する。その一点を押さえて、患者の説得を成し遂げる。
押川氏が精神科医のもとへ患者を送り届けても、結局、薬を処方されるだけで、数ヶ月後には、患者は退院となる。しかし、家庭自体は、何も変化していない、つまり、患者を患者たらしめた空間のままであるわけだから、当然、もとの黙阿弥となる。その繰り返しの中で、押川氏は根治法を発見したという。非行少年の更生プログラムにヒントを得て、オリジナルの更生プログラムを考え出したのだ。
親が変わらなければならない。欠如していた家族愛から再生させなければならない。次ぎに、友人を作らねばならない。社会愛で育まねばならない。そして、異性愛を獲得させねばならない。抑圧された性欲を、健全化させなければならない。
やがて、患者は、患者でなくなるのだという。押川氏は、それを実践の中から発見した。
本書は、希有の書である。そうした患者を家庭に抱え、途方に暮れている、何十万の親たちは、一度、襟を正して、読むべきである。

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引きこもりを社会復帰させられるのか?

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ひきこもりを引っぱり出せるか?
こう突きつけられて、何らかの処方がすぐに浮かぶ者などそうはいまい。

学校の教師は「いじめはなかったのですから、僕らの分からないところで、悩んでいるのでしょうね。自力で脱出するのを待つしかないでしょうね」と。
自治体の教育カウンセラーは「今、刺激すると逆効果です」と。
精神科の医師は「暴れるようなら薬を出しましょう」と。

不登校・ひきこもり——それは心が元気を失った状態。
その原因を考えなければ、何も解決しない。原因をつきとめ、その歪みを是正する。そこにしか処方はない。
教師やカウンセラーや心理学者は「放置せよ」という。医師は「薬を上げよう」という。
どちらも何の処方にもなっていない。

ひきこもり100万人の原因とは何なのか?
長田百合子はそれを知っている。
彼女はそれを「家庭」だという。家の空気が子を歪めるという。
いや、こんなきれい事ではない。彼女はもっと限定している。そう、
——母親が原因
なのだ。過保護であったり、自分の分身のように子どもを抱き囲ったり、母親自らの社会性を消滅させて我が子のみに全神経を降り注いだり……。

では、どうすればよいのか。そんな母親に歪められた子どもは、どうすれば、しゃんと一本背中に筋が通るのか。長田百合子はそれもちゃんと分かっている。
——父親を頂点とする家庭内ヒエラルキーの再構築
で全ては解決するという。

本書では3件の実例を詳細に挙げて、如何に父性の欠如が家庭を不幸に導くかがわかりやすく書かれている。子ども自体に歪みなど存在しないのだ。バカげた「お母さんの親ごころ」によって、歪んでいない子どもの心が歪むのだ。そして、そうなってしまったら、「お父さんの底ぢから」に期待するしかないわけだ。

はっきり言おう。この本に書かれていることはめちゃくちゃ大切なことである。にもかかわらず、長田百合子を批判する有識者が多いのも確かである。しかし、それはほとんどが精神科医である。精神科医がなぜ、長田百合子を批判するのか。それは、実は簡単なことである。

現行の医療制度が続く限り、ほとんどの精神科医は、こころの病を治さないであろう。治せば患者が減るからだ。彼らは薬を処方することによってのみ、点数を稼ぐことができ、収入につながる。彼らが処方する向精神薬は、覚醒剤と同じく、強い依存性がある薬だ。薬を処方し続ければ、患者はどんどんその量の増加を要求するであろう。それは医者のもっとも望むところでもある。
金にならないカウンセリングなどを誠実にこなし、薬をなるべく処方しないようにすれば、多くの精神科医は倒産するだろう。しかし、それでも、患者の数は劇的には減るようには思えない。なぜなら、原因を治そうとしていないからだ。医者はその患者を診るよりももっと真剣にその家庭と家族を診ないといけないのだ。医院の椅子に座っていては、家族の歪みを正すことはできないであろう。いわんや、カウンセラー・心理学者をや、である。

長田百合子がそうそう何人もいるわけではない。となると、この本を読んで、我々、ひとりひとりが、長田百合子になるしかない。

ひきこもりを100万人も飼っている国——クズのような国である。

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紙の本全身落語家読本

2003/01/08 14:40

炎の落語家ですな

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「落語」といえば常に、前世代のおやじたちへ甘美な嫉妬を覚える技芸の代表的な世界の一つではないだろうか。歌舞伎もそうかもしれない。
「そんなごたくならべても、おめえら、志ん生の芸を生で聞いちゃいねええんだろ!」
とか、
「ほほっほ。若いの、正蔵を馬鹿になさるか。正蔵の生の芸を知らずにのう、ほほっほ」
とか、
「文楽文楽、いっときゃ、通ぶれると思ってるんじゃねえぞ。CDの文楽なんざ……」
とか。
 でもその時代に生まれてなかったんだからしょうがないのです。今、昭和の達人たちを味わうとすれば、CDなどの音源と数少ないビデオしかないのです。
 そうした、不可逆的な悲しみを前提に、落語ワールドを案内してくれるのが、本書です。
 金馬なら現在手に入る音源で、何が一番いいか。馬生なら何、円生なら何……。寄席や独演会に行けば会える現役の噺家では、誰の何というネタを逃しちゃいけないのか。そもそも落語の何をどのように味わうとよりおもしろいのか? 演じるときの注意点は? 談志はどうして評価されているのか? 志ん朝がカリスマ的な人気を誇ったのはなぜか? 「青菜」なら、誰の青菜を聴けばよいのか? 「らくだ」は? 「冨久」は? どうしておもしろくない落語とおもしろい落語があるのか? 誰が落語をおもしろくない文化財に変質させてしまっているのか?
 いろんな「なぜ」を、この俊英は一刀両断に斬り返します。その切れ味はそのまま、落語家としての自分自身に降りかかってくることは勿論、承知の上。その肝の座り方が、あっぱれ。
 昔話を特権的に語るのでなく、若い読者と同じ地平で、自分自身の立場の危険も省みずに、痛快痛烈に、明晰に、落語を、落語家を、落語界を語った書は、古今に類例はない。あるとすれば、志らくの師匠の談志の名著「現代落語論」くらいか……。いや、本書はそれをも超えていると思う。是非是非ご一読を。

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早い話が

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著者のこれまでの日本経済への見通しが次々と的中し、彼の予想通りにこの国の金融が崩壊へ疾駆しているということが、これでもかと語られている。
しかし、本書を読んで決定的な何かを得た実感はなかった。日本経済の現状を10年前に予想することは、実はそれほど難しいことではないように思えるのだ。
自慢だけでなく、再編へのパースペクティブをアメリカの事例などを駆使して紹介してくれてはいるが、結局のところ、乱暴を承知で本書を要約させてもらうとすれば
「日本の銀行員の給料は高い」
ということに尽きるのではないか。私の脳裏にはこの一点しか残らなかった。しかも、その事実は、日本人の成人なら、ほぼ100パーセントが知っている常識にすぎない。
私は私自身、大した読者だとは思わないが、どんな読者であろうと、そのような要約を許してしまう本書は、本質的な何かが欠落していると思えてならない。
この欠落感は、現状の日本経済や金融を語るすべての本に言えることかも知れない。

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