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先月(2017年6月)

j_taiyakiさんのレビュー一覧

投稿者:j_taiyaki

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本外套・鼻 改版

2004/01/15 15:45

一個の零落者の息吹き

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 『外套』の主人公のアカーキイ・アカーキエウィッチは九等官で、これはつまり取るに足りない木っ端役人に分類される役職だ。さらに彼は滑稽で愚かしく痛々しい、仕事以外になんの楽しみもない、哀愁漂う人柄である。が、同時に、つまらないその仕事に健気にひたむきに打ち込む、憎めない愛すべきキャラクターでもある。

 こういう人物設定や、その人物が生身の身体をもって生活する、一個の生ける実存として鮮やかに描かれる様に、あらゆる人間に対するゴーゴリの暖かい眼差しが感じられる。そのために、まったく滑稽な主人公でひどく哀れな物語だが冷笑的な気分になぞ全くならず、また、独特の軽妙さとユーモアがあって、暗い感傷的な気分にもならない。さらに後半の復讐劇は現実離れで奇妙奇天烈ではあるが愉快であり、なんとも不思議な読後感である。

 まあ要するに、アカーキイ・アカーキエウィッチと同じように、見事なまでに起伏なき平坦な生活を淡々と送る凡人、いや落伍者の私自身も、やっぱりこの世に位置を占めて一個の実存として私なりに生きているわけだ、それもまあ悪いことではあるまい?と感じさせてもらった次第だ。

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