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オレンジさんのレビュー一覧

投稿者:オレンジ

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紙の本海のふた

2004/08/01 21:58

その荷物、下ろしてみませんか?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「いつだって、ここではないどこかへ行こうとしていた自分をたしなめるように」、故郷西伊豆の、さびれた街はずれにかき氷屋を開いた主人公、まり。大好きだったおばあちゃんの死に深く傷つき、西伊豆を訪れた都会っ子のはじめちゃん。大きくてやさしい夏の海を背景に2人が友情をはぐくみ、ゆっくり時間をかけて自分の生きる道をまっすぐ見きわめていく過程が、みずみずしい文体で丁寧に描かれています。
 わたしはばななさんのファンなのですが、『海のふた』を開いて読み始めたとき、同じく海を舞台にしたばななさん初期の傑作『TUGUMI』を思い出して、「わぁ、またこの海に会えた!」とうれしくなりました。人の内面をじっくり掘り下げていくテーマの重みや深みを、舞台となる明るい夏の海の陽射しがしっかり受け止める。ばななさんの文体は、おそらく海と相性がいいのでしょう。『TUGUMI』で描かれた青春のきらめきやあやうさは、『海のふた』からは削ぎ落とされ、代わりに、夜の海をまっすぐ照らす燈台のような確かさと力強さが加わっています。
 ばななさん自身が「あとがき」で触れているように、物語のテーマはとてもシンプルで、古典的でさえあります。——生きるってことは、世の中で言われているほど複雑でも困難でもなくて、もっとずっと単純で易しいことなんだよ。背中に乗せてる重そうな荷物、思い切って下ろすみたら? と、ばななさんに話しかけられているみたい。気持ちが前向きに、穏やかになる物語です。 

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