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天野安治(雑誌[郵趣]より)さんのレビュー一覧

投稿者:天野安治(雑誌[郵趣]より)

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記念切手で読み解く郵政の病理

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 本書は、1946年発行の「郵便75年」から1952年発行の「U.P.U.加入75年」まで、戦後の銭単位時代に発行された記念切手について、当時発行の郵趣誌や新聞などの資料をフルに活用して、それぞれの発行の背景、経緯、収集家の受けとめかたなどを明らかにした労作であり、収集家にとって必携の基礎文献である。この種の文献の必要性はかねてから言われていたが、著者内藤氏の努力によってそれが実現したことはまことに喜ばしい。
 日本切手130年の歴史の中で、郵政当局には明確な発行政策らしきものはほとんどなかったといってよい。それでも戦前においては、国家権力の権威と統制のもと、皇室の慶事・戦勝・逓信省自身の祝典などの限られたテーマについて記念切手を発行し、その一方で、外国人を意識した「国立公園」切手を発行して、切手を観光宣伝のために利用しようと試みたこともあった。
 ところが、敗戦後の民主主義体制下、切手の発行に関する国家の統制がなくなり、自由となった反面、発行の基本政策らしきものはまったく見られなくなり、実務担当者の恣意的で場当たり的な思いつき、そして事なかれ主義に基づく発行が続けられるという、きわめて日本的状況が生まれた。その結果、目先の増収策に捉われ、なりふり構わぬ乱発と、その帰結としてのデザインの劣化という病弊から抜け出せなくなって今日に至っている。
 本書は、この日本的病弊のはじまった敗戦直後の記念切手の発行事情を、具体的に明らかにしていて興味深い。今、切手の「大洪水」(これこそ病弊の行きついた先だが)に悩まされている収集家はもちろん、「大洪水」を起こしている郵政関係者にも、ぜひ読んで欲しい1冊である。

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