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EIJIさんのレビュー一覧

投稿者:EIJI

39 件中 1 件~ 15 件を表示

最良のマレーシア読本

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 マレーシアに2年間滞在した著者による、優れたマレーシア生活記である。この本を読むと、かの国の事情に精通した気になれる。マレー系・中国系・インド系を網羅した魅力的な人間ウォッチング。すごい本だ。2年という限られた期間で、かつ研究目的で生活したわけでもないのに、これほどの情報量を著せる作者の行動力に驚嘆である。マレーシアを知るための一冊として、文句なしに現存する最高の良書だと思う。でも、この表紙は何とかならないのかなあ…? 絶対のお薦め。

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オールドBASICのプログラムが書ける人に

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 この手の入門書は大体が冗長に書かれていて、体系的にまとめようとするがゆえにプログラマが本当に知りたい部分は全体の一部だけしかない、そんなふうになりがちである。しかしこの本のアプローチは、具体的な結果からそのコーディング例を読者に提供するという形であり、実にすっきりしている。逆にプログラム経験のない人が頭から読むのは辛いだろうが、ある程度の経験者、特に昔のマイクロソフト系BASICを通過したような人であれば、この本だけでHSPがかなり自在に使えるようになるだろう。巻末にはリファレンスもあるので、HSPはこれで十分である。

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紙の本遠くにありて

2002/02/20 12:51

解体して、そして新たに生まれる家族

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 大学入学で上京し、地元の学校の教師として帰郷することになったひとりの女性を通して、ライフスタイルのあり方を問う物語である。主人公は新任の先生という社会的な立場で様々な事柄に接しつつ、巡る思いは絶えず揺れ続ける。読者は彼女の心の揺れを、ゆっくりと噛みしめるように辿っていくのだ。やがて彼女は東京で生活する夢を静かに置いて、結婚を決心して家族が解体することを体感する。そして新しく家族が誕生することを知る。主人公の揺れを辿ってきた読者は、ここで大いに安堵する。それはこの作品の持つ説得力である。シンプルな絵とコマで、近藤ようこはここでも他では得難い力強い物語を残した。個人的には一番好きな作品である。

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家族のあり方とは何か

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 ポスト戦後の時代に、急速に音を立てて形を変えていった家族のあり方を、この作品はいろいろな形態の家族とそのエピソードを登場させて読者に問う。キャラクターそれぞれに際立った人生観を多面的に浮き彫りにする手腕は、見事というほかない。近藤ようこの描くストーリーは強靭である。この作品に限ったことではないが、キャラクターに存在感があるからこそ、彼女らのモノローグが読者に対して、深くそして静かにうったえるのだ。マンガを頭から低俗な消費文化としか見ないような向きには、残念ながらこのような力強い作品を味わう機会はない。しかしながら戦後を代表する文化的な表現の一角に、マンガは確実に存在する。そして今後もそうであろう。

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伝説的な韓国本の大傑作

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 軽妙なタッチで韓国を描いた作品の走りとして、誰もが認める名著。辞典という体裁を取り、単語を挙げてそれにまつわるエピソードを束ねたユニークな構成で、筆者が遊学中に感じたソウルを活写した軽やかなエッセイである。
 ここに描かれる韓国は60年代末のソウルであり、今の姿とは大きな隔たりがあることは想像に難くないが、当時このような姿勢で隣国に対峙した日本人がいたという貴重な記録でもある。長氏の影にも多くの人がそうした体験をしていたのだろうか。
 軽快な筆致でソウルの景色を鮮やかに写した長璋吉はすでに夭折した。『私の朝鮮語小辞典』もここ数年絶版状態で入手が困難だったが、一生手元に持っていたいと思える数少ない本がここに再版されたことを非常に嬉しく思う。そして、そう感じているのは僕だけではないだろうとも思う。

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巨匠が最後に残した迫力の一作

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 戦後の日本は何だったのか、日本人とは何者か——多くの論客が安易に取り組めそうな題材も、手塚治虫の強靭なストーリーテリングにかかると、かくのごとき魅力的な物語になる。この作品の説得力は我々が日本人であるがゆえのものだが、この作品の吸引力は巨匠の筆力ゆえのものだ。作品の面白さにこれ以上陳腐な説明はもはや要るまい。未完に終わったのが非常に惜しまれる、手塚治虫の遺作である。ポスト戦後が久しく続く現在の日本も、こうしてひとつずつ財産を残してゆく。今、手塚治虫をいつでも読める我々は幸福である。

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ノンフィクション大家の執念を感じる力作

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 『東京からきたナグネ』から5年、満を持して発表された朝鮮半島モノは、北朝鮮に関する作品だった。その『東京から〜』と比べると雑誌寄稿の寄せ集めの感は拭えない。しかしこれは、関川夏央の半島観の集大成という意味で興味深い。日本人作家による北朝鮮旅行の誠実なレポートであり、北朝鮮という特異な国家の考察である。
 特に第2章の「一九八九年の朝鮮半島」は、10年以上同じ命題と格闘してきた著者の鼻息の荒さを感じさせて面白く読める。様々な書籍を引用し、注釈にぎっしりと解説を備えた文章は、圧倒的な情報量を読み手に与える反面、読みづらさは否定できない。にもかかわらずこの章が魅力的なのは、探求心に裏打ちされた研究成果をたたえているからである。そして、朝鮮半島関連書籍の中ではとりわけ重要なことだが、それがちっとも学術論文然としていない。だからこそ関川作品は誰にでも読めるのだ。

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紙の本海峡を越えたホームラン

2002/01/08 12:32

その後、ホームランボールはどこにあるだろうか

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 関川夏央韓国三部作の2作目。日本から韓国プロ野球界に身を投じた在日韓国人選手、とりわけ張明夫(福士明夫)を83〜84年にかけて追い続けた、関川ノンフィクションの金字塔。接触して異文化を知り、その反応から自文化を知るという著者が持つテーマを、「無意識のうちに、あるいは宿命的に」余儀なくされた在日コリアン二世の誠実な観察記である。
 著者の在日コリアン観は小説『水の中の八月』に現れ、その文庫版のあとがきが示唆に富んでいる。これがさらに双葉文庫版『海峡を越えたホームラン』のあとがきで確認されている。朝日文庫版の鋭利な解説は田中明が書いており、これに興味をおぼえた人には彼の『韓国の「民族」と「反日」』を強くおすすめしたい。

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紙の本JSA 共同警備区域

2001/12/28 16:23

ストーリーテリングの妙味

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 韓国では映画化されて空前の大ヒットとなったが、原作小説『DMZ』のプロットのほうが遥かに重く、また深い。文春文庫に収まったのはその邦訳であり、映画のノベライゼーションとは違う。
 朝鮮半島の非武装地帯を舞台にしたポリティカル・サスペンス。事件の事実が次第に明らかにされていくとともに、調査を担当する主人公のトラウマと彼の父親の過去、事件を起こした当事者の心理状況、軍事訓練犬の行動様式など、物語に散りばめられた様々な要素が最後の最後に劇的に焦点を結ぶ展開は圧巻である。固定観念の長年の堆積が、かくのごとき悲劇を生む人間の業に思い至るだろう。
 この話はフィクションだが、隣国に興味を持つという意味でも、広く日本人に読まれることを期待したい。もっとも、それ以上にこの物語は魅力的であるが。

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紙の本「ただの人」の人生

2001/12/28 13:28

巧みな日本語と鋭い観察眼

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 巧みな関川節が味わえる珠玉のエッセイ。著者の数ある作品の中でも、誰にでも楽しめる点では最もオススメである。何気ない生活の一コマから、明治時代の文筆家やルポルタージュばりのノンフィクションまで、絶妙のバランスでちりばめられている。この本が文庫版で生き長らえたことを非常に嬉しく思う。休日に日向ぼっこしながら読みたい。

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紙の本ハングルへの旅

2002/01/16 12:00

他とは一線を画した、詩人による韓国本

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 奥床しい本である。この本を紹介するのにこれ以上の言葉を知らない。著者の隣国への興味を、言語・旅・人物など様々な角度から詩人の視線で結晶させた素敵な文体である。若い日本人への「いわば誘惑の書」をねらって書かれたようだが、政治・経済・社会・文化すべてにおいて日本との軋轢が、時には大袈裟をもって伝えられることの多い韓国に、こんな柔和な応対だってあり得るのだ。心地好いいざないである。浅川巧をこの本で知れたことも嬉しい。

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論客呉善花の原点

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 日本で働く韓国人ホステスの緻密な観察から、韓国文化と日本文化を相対化させたベストセラー。それを成し得た観察眼は、著者自身が「夢のない人たち」に見えた日本人との摩擦を乗り越えた末に獲得したものである。実に鮮やかだ。これほど読後感が爽快なノンフィクションはそんなに多くない。普及版として角川文庫におさまったことをとても嬉しく思う。関川夏央による文庫版の解説もなかなか興味深い。呉善花の著作は多数におよぶが、これだけはぜひとも押さえておきたい。

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紙の本韓国カルチャー・ナビゲーター

2002/03/18 13:17

ディープコリアへのストライク

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 大衆文化は確実に社会を映す鏡であると同時に、異文化への親近感を呼び起こすきっかけにもなりえよう。本書は韓国文化へのナビゲーターである。そしてかなりディープなものだ。この手のまとまった内容の書籍は、後にも先にもほとんどない。ジャンク・カルチャーをこよなく愛するディープなマニアには大受けする内容であるといえる。しかしこの本が単なる映画マニアとか韓国アイドルの追っかけだけに消費されるとしたら、いささか残念だ。経済や言語から隣国に切り込もうとしている学究者にもぜひお薦めしたい。ディープだけどね。

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紙の本ガキの自叙伝

2002/03/14 13:20

達人の足跡

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 語るに足る人生は誰にでもある。それを語るのも自由だし、語らないのもまた自由なはずだ。しかし、それがいたずらに装飾しない真摯な語り口であれば、およそどんな物語でも共感の対象となる。本書は、戦後日本を代表するベンチャーを無から起こした著者による魅力的な自伝である。ここに教訓を読み取ろうとする向きはそうすればよいが、読者にその必要はないと思う。自伝とは結果であり、秘訣ではないのだ。自信を持って生きている人の物語はそもそも強靭である。それ自体が自信の裏返しなのだから。

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紙の本奇妙な時間が流れる島サハリン

2002/03/04 13:05

日本人の目に映った現在のサハリン

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 ユジノサハリンスクで教鞭をふるった著者による力強いエッセイ。北緯50度以北の、オハやノグリキ、アレクサンドロフスク・サハリンスキーなどにも足を運び、それぞれに得難い記述を残している。サハリンを巡る周辺各国の歴史にもきちんと触れており、この問題に無自覚な人には最良の書となりえよう。サハリンに関する一般書が少ないだけに、貴重な一冊である。これでサハリンに興味を持った人には、角田房子の『悲しみの島サハリン』を強くお薦めしたい。

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