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先月(2017年1月)

梶谷懐さんのレビュー一覧

投稿者:梶谷懐

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ハイテク機器を売る露店商人

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 中国経済関連のビジネス書はあまたあるが、その中でこの本の優れた点は、「中国」という言葉が持つ表面的なイメージにとらわれることなく、中国企業の強みと弱みを近年の製造業をめぐる世界的な大きな変化の中に位置づけ、その特徴をしっかりととらえている点だろう。
 
 ちょっと前まで、製造業における優れたモデルを世界に提供していたのはほかならぬ日本だった。それが今ではあまりぱっとしなくて、その代わりに中国が台頭しているかのように言われている。それは、一部で言われているように日本型の経済システムがだめになったからで、そこから抜け出すには「構造改革」とやらを断行するしかないのか。
 そうじゃなくて、世界の中心となるビジネスモデルが変化したのが最大の原因だよ、と安室さんは言う。もともと、日本企業が強みを持っていたのは、「こだわり」をもった独自の設計に基づいて各部品を徹底的に作りこんでいく、インテグラル(統合)型のものづくりだった。そして一昔前までは、トヨタやホンダの成功もあって、そういったものづくりのやり方は世界的にもお手本とされてきた。だが、現在ではそういったやり方とはむしろ対極にある「モジュール化」がものづくりの「世界標準」となりつつある。

 これは、それぞれ独立した仕様の機能部品(モジュール)をどこからか集めてきて、共通のインターフェースでつないで完成品に組み立てていくもので、安くて高品質のモジュールであれば世界中のどこで作られた物であってもいいという、優れたネットワーク性が特長である。安室さんによれば、こういったやりかたの下では、メーカーの役割は限りなく「商人」それも「露天商」のようなものに近づいていく。
 つまり、「モジュール化」が進むと、日々の技術革新によって陳腐化していく個々のモジュールをいかにいかに安く大量に買い集め、値崩れする前の「旬のうちに」完成品に仕立て上げて売りさばくか、ということが重要になってくる。そういう意味では、半導体や電子機器ビジネスも、バナナの叩き売りも、根は同じ「露天商のビジネスモデル」なのだ、と安室さんは喝破する。
 そして、このような「露天商ビジネス」を最も得意とするのが中国人だ、というわけだ。特に、中国のローカル系企業で一般に見られるきわめてシビアな業績主義的な労務管理、人事評価制度は、こういったビジネスモデルに非常にマッチしていることが指摘されている。多くの日系企業が中国市場において苦戦を強いられているのも、こういったシビアな労務管理制度をなかなか導入できないところに一つの原因があるのかも知れない。

 以上のことは、見方を変えれば、現在中国が一人勝ちしているように見えるのも、実はその「商業」的な面においてであって、ものづくりの技術的な面だけを見れば決して日本も捨てたもんじゃないじゃない、ということを示唆している。もちろん厳しい現状に合わせていくことも大事だとは思うが、自信喪失して今まで蓄積してきたものづくりのやり方をを捨ててしまうのももったいない。というわけで、タイトルにあるように中国企業の現在の「競争力」をきっちり見極めながら、実は日本企業にも勇気と今後の指針を与えてくれる本だと言っていいだろう。

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