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先月(2017年8月)

ユカリタさんのレビュー一覧

投稿者:ユカリタ

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本夕暮まで

2002/02/08 20:16

もどかしい、欺瞞

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 血なまぐさい香りが漂ってくる。いやらしく、隠微なのだけど、なんだか途中で気持ち悪くなってくる。それは、性のことを赤裸々に綴っているからというよりはむしろ互いの策略がうっとおしく、小細工じみてもどかしいからかもしれない。
 たしかに10数年前はそういう時代だった。結婚初夜まで処女でいなければならない、という。村上春樹の短編に、婚約者と結婚して処女を失ってからだったらあなたとセックスしてあげるけどそれまでは絶対に駄目、結婚してから会いに来て、というのがあったけどまさしくそういう風潮があった。この作品では、女はそれにこだわって、身体を合わせるけどセックスはしない、つまり素股による擬似性交をし、男は今の既婚者としての生活を守るため、あるいは責任逃れのため、これを続けていく。不安定で作り物めいた関係。
 今では想像できないけれど。そこから、この作品全体に漂う暗さ、隠微さが生産されている気がする。因みにこの作品は10数年前に映画化され、桃井かおりと伊丹十三主演で話題となった。

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作品の質はいいのだけれど。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 どちらかというと、精神としての性より肉体としての性に主眼をおいた作品が多い気がする。戦争が源泉活力となり不感症ながら安定した関係を築こうとする女と、女の奔放を戦争が収束していると知り、戦時下での一時的な関係と割り切って女のみずみずしい肉の感触をむさぼるという坂口安吾の作品を筆頭にして、食欲というものを通じて暗に性欲を感じてそれに自己嫌悪するもの、ずうっとずっと性描写と前後話を第三者的に見せ付けられるもの、男や義父に犯されそこに父の影を見いだして裏街道に転々とさせられ沢山の男に辱められてもそれに逆らわず嫌がらず流されて物凄く悲惨で淋しい結露を辿るが当人は案外うすら幸せそうであったというもの、風俗嬢の話で激しい刺激的描写とそれが日常化した世界、など収録されている。
 肉体って何か? こういう行為に何を持たしたらいいのか?
 この収録作品に限って言えば、愛情を伴った行為は幻想ではないのか、という気がしてくる。それはやや私を疲れさせる。事実にしろ事実でないにしろ。
 読み続けていくと、熱い描写と反比例して、なんだか冷めてつめたい気分になっていく。所詮こんなものなのだと。

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