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MIYAさんのレビュー一覧

投稿者:MIYA

11 件中 1 件~ 11 件を表示

「もう、宇宙は人間の世界」

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本作は21世紀半ばを過ぎ、人類がその生活圏を宇宙に拡大して2世代目に至った時代を背景にした近未来SFコミックである。この書評を書いた時点で二巻が刊行され、以後も続刊の予定である。

 ハチマキ、ユーリ、フィーの主人公三人はスペースデブリ(平たく言えば、ゴミだ)の回収業者。花も実もない地味な仕事だが、軌道がデブリでふさがれてしまえば人類は宇宙へ上がることが出来ない。その意味では、彼らはこの宇宙時代を陰で支えているとも言えるだろう。

 第一巻は各一話完結で五話収録。スペースプレーンの事故で死んだ妻の形見を探し続けるユーリの物語「星屑の空」。月で生まれ育った少女とハチマキの交流を描いた「地球外少女」。人類の宇宙進出を阻止しようと暗躍するテロ組織に私怨(?)で立ち向かうフィーの「ささやかなる一服を星あかりのもとで」。宇宙に憧れるハチマキの弟キュータローと彼の若さに自身を重ねて接するユーリの「ロケットのある風景」。空間喪失症を機会に自らの夢への覚悟を問い質したハチマキの「IGNITION—点火—」。
 どれも小粒ながら(第三話だけはかなり大粒?)良質のSFであり、困難に屈することなく前進していく人間達の姿が、著者の精緻な作画とともに丹念に描き込まれている。

 第二巻では主役をハチマキに絞り、彼が夢への第一歩と位置づける「木星往還船クルー」へ選抜される過程を描いている。全六話。デブリ回収業者を辞めた彼の後任であるタナベ嬢との、強烈な個性のぶつかり合いが見物。絶対に相容れないもの同士がぶつかりあう構図も本作では多いが、「愛」が解決すると考える彼女はただの世間知らずか? いや、確実に救われた男が、少なくとも二人存在するのだ。やはり、最後に愛は勝つのである。

 マンガである以上、もっとも大事な作画についてもまったく問題はない。ストーリーもさることながら、この作者は実に絵が上手い。精緻に描き込まれながら、どこか骨太の力強い印象があり、非常に好感が持てる。初期は絵柄が安定しなかったが、作品を発表するたびに上達しているのがわかる。
 各種デザインにも気を遣っており、宇宙船や宇宙服など、「SFはガジェットだ」という向きにも十二分にアピールするだろう。

 評価は星五つ。六つ、七つに出来ないのが悔しいほどの作品だ。読者層にこだわらず、是非一読を勧めたいタイトルである。

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紙の本並木橋通りアオバ自転車店 3

2002/04/27 21:24

読めば自転車に乗りたくなります。きっと。

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 自転車をメインモチーフに悲喜こもごもの物語を描く、シリーズの第三巻。一話完結式の作品ながら、作者の巧みなストーリーテリングが光る良作である。

 収録作は7本。各話ごとに異なる自転車が登場するが、そのデザインや機能の多様さにはちょっと驚かされる。
 それらと絡むキャラクターの造形及び描写も丁寧で、素直な感動を与えてくれた。

 三巻掲載のエピソードからは、特に第三話「忘れ物にサヨナラ」を推そう。盗難自転車を巡る物語だが、身の回りでもよく見聞きするモチーフなだけに切実なものがある。このエピソードでは加害者の少年は不良グループに命令されての行動だったのだが、実は彼自身もかつて同じ経験をしているのである。
 ようやく手に入れた自転車を盗まれた少女の悔し涙、周囲の誰しもが犯人に見えてしまう少年の苛立ちには、まるで我が事のようなやりきれなさを感じた。物語は少年自身がグループとの決別を宣言して終わるが、現実の盗難被害はそれで終わり、という事はないのである。

 巻末にはシリーズ通しての主人公(?)である「峠アオバ」の両親、峠工一と山咲ワカバを主役に配したエピソードが毎巻一話ずつ掲載されている。二話目は少し趣向を変えて、高校生時代に彼らの親友たちが「親」になってしまった事件を中心に、この時期特有の将来への漠然とした不安を丁寧に描いている。
 珍しく自転車が出ないのだが、同等の存在としてリヤカーが出てくる。人生を語る小道具としてみれば、なるほど自転車よりもいっそう説得力があるような気がする。故意にか偶然か、まったく上手いものだ。

 評価は星5つ。前二巻同様、派手なアクションや大仕掛けなミステリーがあるわけではないが、独自の確固たる魅力を備えた作品である。自転車に興味を持つ持たないにかかわらず、是非とも一読をオススメしたい。

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紙の本並木橋通りアオバ自転車店 2

2002/04/27 17:39

読むと自転車に乗りたくなりますね。

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自転車をメインモチーフに悲喜こもごもの物語を描く、シリーズの第二巻。一話完結式の作品ながら、作者の巧みなストーリーテリングが光る良作である。

収録作は7本。各話ごとに異なる自転車が登場するが、そのデザインや機能の多様さにはちょっと驚かされる(もっとも、今どき折り畳み自転車ごときで大袈裟な、という描写がないでもないのだが)。
それらと絡むキャラクターの造形及び描写も丁寧で、素直な感動を与えてくれた。ひたむきに「初めて見つけた楽しい事」に取り組む少年の姿や、何をやっても人並み以下の自分を嫌悪していたOLが「やってみよう、少しずつゆっくりと」と自分に向き合う姿に我が身を重ねて、思わず応援したいような気分になってしまう。

二巻の中では、第五話がとくに一押しの一本だ。カメラマンとモデルという二人を中心に配した物語だが、二人の間を取り持つ自転車の配置が素晴らしい。作中では一度も走る事のないその自転車が、一組の恋人たちの10年を見守り続け、その縁をつなぐ。まさに「アオバ」だからこそのエピソードだと思う。

またこの巻から、シリーズ通しての主人公(?)である「峠アオバ」の両親を主役に配したエピソードが、各巻一話ずつ掲載されている。
二巻では二人の出逢いとその縁になった一台のミニサイクルが描かれるが、これは一巻巻末に掲載されている特別編のものと同じ、プジョーのNS40である。
このエピソード自体特別編を「アオバ」仕様に再構成したもののようだ。特別編でも描かれたように、母から引き継がれたこの自転車は、娘とともに更に多くの思い出を紡いでいくのだろう。「アオバ」らしい仕掛けだと思う。

評価は星5つ。一巻同様、派手なアクションや大仕掛けなミステリーとは違うが、確固たる魅力を備えた作品である。自転車に興味を持つ持たないにかかわらず、是非とも一読をオススメしたい。

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紙の本並木橋通りアオバ自転車店 1

2002/04/27 16:28

”自転車”は好きですか?

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自転車をメインモチーフに悲喜こもごもの物語を描く、シリーズの第一巻。一話完結式の作品ながら、作者の巧みなストーリーテリングが光る良作である。

収録作は6本+1。各話ごとに異なる自転車が登場するが、そのデザインや機能の多様さにはちょっと驚かされる。
同時にそれらと絡むキャラクターの造形及び描写も丁寧で、押しつけがましいものではない素直な感動を与えてくれた。

単行本では最後に収められたエピソード、「あの空とおんなじ」は連載開始前の読み切りを収録したもの。掲載時の好評を受けて連載開始となったそうだが、なるほどこれは佳作である。
本シリーズとは直接つながらないのだが、自転車というものへの作者の愛情や情熱、それを取り囲む人々への思いが惜しみなく込められている。一巻の中では、とくに一押しの一本だ。

評価は星5つ。派手なアクションや大仕掛けなミステリーとは違うが、確固たる魅力を備えた作品である。自転車に興味を持つ持たないにかかわらず、是非とも一読をオススメしたい。

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紙の本プラネテス 1

2002/02/12 09:47

SFに、もっと「力」を!

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 SFが“夢”を語らなくなって久しい。あるのはマニアウケする些末なディテールの氾濫と、過去の作品へのオマージュばかりである。懐古主義に陥るわけではないが、かつて目にしたSFと呼ばれた作品達には原始的とさえ言える、開けっぴろげな「パワー」があった。それはSFの原点であり、人間というものの原点であったと思う。

 本作は21世紀半ばを過ぎ、人類が生活圏を宇宙に広げて2世代目に至った時代を背景にしている。ハチマキ、ユーリ、フィーの主人公3人はスペースデブリ(平たく言えば、ゴミだ)の回収業者。花も実もない地味な仕事だが、実はこの宇宙時代を陰で支える重要な仕事でもあるのだ。

 第一話「星屑の空」では、デブリ回収業者といううだつの上がらない仕事へのハチマキのぼやきを背景に、「ほっときゃ死ぬまでこの仕事をやってそうな変な奴」ユーリの過去が描かれる。軌道上の事故で死んだ妻の形見を探し続ける男の不器用な生き方がジワリと染みる。
 第二話「地球外少女」は、ハチマキが骨折の療養中に出逢った二人との交流を描いた一編。月で生まれ育った少女・ノノとベテランのアストロノーツ・ローランドそれぞれの「宇宙の愛し方」が、ハチマキに影響を与えていく様子が丁寧に描写され、彼が宇宙への思いを新たにする様子が過不足無く描かれている。
 第三話「ささやかなる一服を星あかりのもとで」はフィーの物語だが、前二編とは打って変わってコメディータッチ。人類の宇宙への進出を阻もうと暗躍するテロリストによって、ささやかな楽しみである「喫煙」を(偶然にも)ことごとく邪魔された彼女が、同組織の最終作戦を断固として粉砕するストーリー。ラストでフィーが紫煙を吐きながら漏らす、「生きてるって素晴らしいね」の一言を噛み締めるべし。
 第四話「ロケットのある風景」ではハチマキとともに彼の故郷へやってきたユーリが、ハチマキの弟・キュータローに自分の過去・現在・未来を重ねて接する姿を描いている。「世界に境目はないんだ」という言葉が、作者の宇宙観を物語っているのだろう。絵的には、ロケット・コタツ・ミカンの組み合わせに違和感がない辺りが「プラネテス」だなと思う。実は結構深い一編。
 本巻最終話である「IGNITION—点火—」はタイトル通り「始動」の話である。「自分の宇宙船を持つ」という目標を掲げながら、これまで燻ったまま煮え切らなかったハチマキが夢を再確認し、動き始める。「夢を見る」とはどういう事かが描かれる、圧倒的なまでにパワフルな一編である。

 一、二話では少々作画が落ち着かなかったが、三話以降「化ける」。もともと細部の描写に強く、基本的に絵が上手いのでストーリーテリングの巧みさと合わせ、向かうところ敵なしの感がある。精緻な割りに骨太な印象の絵柄も高得点。
 評価は星五つ。作品自体にパワーがあっても、読者にそのパワーを分け与える余力のある作品は(SFに限らず)今や滅多にお目にかかれない。本作はこの点で及第点を軽々とクリアしている。読者層にこだわらず是非一読を勧めたい作品である。

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紙の本つかめ!明日の大勝利

2002/03/04 22:54

金よ恨みの冒険者稼業。

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 グループSNEが“ソード・ワールドRPG新展開の柱”と位置づける、新リプレイシリーズ第2弾。前巻に引き続き、愉快な5人の愉快な冒険が、軽快な文章で綴られている。

 今回も第1巻同様、世界の危機とかそんなものとはまるで縁遠い、実に庶民的な「街の便利屋さん」としての冒険者稼業だ。今回収録の三編は、そこに少々私怨の混じった大騒ぎになり、神官戦士イリーナの「魔法支援無し、腕力のみでSWリプレイ史上最大ダメージ!」も炸裂する。やはり、金の恨みや物欲は恐ろしいものなのだ(笑)。

 評価は星4つ。唯一、RPGプレイの参考になるか否か、という点で迷ってしまった。セッションの雰囲気を知るためには十分に条件を満たしているし、なにより読んでいて楽しい。しかし、これがソードワールドRPGの新展開につながるかというと少々疑問だ。意外とルールに関する記述も少ないし、「棋譜」としてはいささか心許ない点もある。そういうわけで5点は付けられないが、良質なリプレイ集であることには変わりない。

 前巻でこのシリーズを「楽しい」と思ったなら、迷わず読もう。大丈夫、期待を裏切ることはない。もっとも、「世界の行く末を賭けた、波瀾万丈な大冒険」が望みなら、他を当たるべきだろうけど。

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紙の本進め!未来の大英雄

2002/02/15 11:01

良くも悪くも『グループSNE』なリプレイ集

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 テーブルトークRPGの楽しさは、言葉で上手く伝えるのは難しい。目的を遂げるための駆け引きや葛藤はどんなゲームでもあるものだが、その合間に行われる言葉のやりとりはTRPGに特有のものがあるからだ。
 『演技すること』は一番ではないけれど、やはり大切なRPGの一部。醍醐味といってもいい。そして、まさにそれが楽しさを知らせる障害にもなっている。端で見てると怖いしね(失礼)。

 本書はそんなTRPGの魅力を知らしめるために書かれたリプレイ集の、最新シリーズ第一巻。一頃日本のTRPG界を席巻した、グループSNEの代表作『ソードワールドRPG』のセッション風景を収録して、読み物としてまとめたものだ。特に初心者にとっては、『伝えるのが難しい』雰囲気を感じ取るための、有効な一冊に仕上がっている。

 まず、『初心者ゲームマスター』からしてキャラクター性が充分だ。過去のリプレイでは熟練したマスタリングゆえに『ゲームをコントロールする』という面目が立っていたが、本書のGMはプレイヤーと一緒になってセッションを動かしている。『みんなでゲームしてます』という雰囲気が伝わってくるだろう。

 キャラクターも旧シリーズに負けず劣らず個性的だ。怪力の神官戦士少女イリーナ、ハーフエルフの貧乏性精霊使いマウナ、クレバーだが意地悪な魔術師ヒース、パーティの良心であるドワーフ戦士ガルガド、戦闘以外めっきり役立たずな盗賊ノリス。そして、彼ら以上に個性豊かな登場人物(NPC)達…。
 本書には、彼らが乗り越えていく三つの冒険が収録されている。怪物退治、護衛任務、廃屋探索と味付けが違い、飽きずに読みすすめられることだろう。

 評価が星四つなのは、リプレイがRPGにおける『棋譜』であると考えた場合、いささか読み物として偏っている点が問題だと思えるからだ。旧シリーズにあったような、『読んだらやってみたくなった』という感覚は薄いのではないか? 正直なところ、リプレイにするよりも、このセッションを下敷きにした小説が読みたい、と思ってしまった。それくらいキャラ立ちが良く、ゲーム自体の魅力は二の次となっている。
 これは作品としての欠点ではないが、解説にあるような『ソードワールドRPG新展開の柱』としては弱点だと言わざるを得ないだろう。

 ともあれ、ソードワールドやTRPGに少しでも興味があるなら是非読んで欲しい。ファンタジー好きにとっても、純粋な小説とはまた違った楽しさがここに見つかることだろう。

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紙の本ソード・ワールドRPG

2002/02/07 23:13

あなたの冒険の手始めに。

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 一頃盛り上がったテーブルトークRPGのブームも、すっかり鳴りを潜めた感がある。バブルだったんだなあと言えばそれまでだけど、はじけて割れた泡の中にも、ちゃんと価値ある物は残っている。和製RPGの金字塔、ソードワールドRPGもその一つだ。

 初めてこいつが世に出たときの興奮は、今でも、まるで昨日のことのように憶えている(大袈裟じゃない。本当だ)。
 学校の放課後を利用して、毎日やった。サイコロ2つと筆記用具、コピーしたキャラクターシート。あとはちょっとした想像力かな? カッコつけて言えば。それだけで、オレ達は別世界の冒険者になり、ドラマチックな生きざまを堪能できたのだ。

 ルールはすっきりと見通しが良く整理されていて、憶えるのも実際に使うのも簡単だ。文庫だから表なんかはちょっと見づらいけど、慣れれば気にならないだろう。

 ところで、『ソードワールドRPG』には「完全版」も出ている。長い間に、あちこちで発表された関連データやルールを統合・改訂し、まとめたもので、版型も大きく、使用感も良い優れものだ。欠点は一つ、そのお値段。「ちょっとひとつどう?」なんて気楽に勧めるのははばかられるんだなあ、これが。
 仲間内で回し読みばかりしてると本も傷むし、ゲーム中に参照するのも大変だ。だから、なるべくみんながルールブックを持っているようにするべきなんだけど、4000円近いお値段じゃ、買うにも覚悟がいるんじゃないかな…。

 そこでおすすめなのが、この文庫版ルールというわけ。これなら「一人一冊」だって無理な話じゃない。そして、このゲームの出来の良さは折り紙付きだ。あとは、上述したように六面のサイコロが二つあればいい。コピー代を考えても、たぶん1000円もしない出費でファンタジー世界での冒険が充分に楽しめるのだ。

 こいつを見逃す手はないと思うけど?

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竜歴2000年、人類はいかにして「絶体絶命」になったか?

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 突如天空より飛来した殺戮機械、MIST。状況は絶体絶命。逃亡の日々の果てに、一筋の希望を信じて戦い続ける人々…。本作はエンターブレインから出ているTRPG、「ドラゴンアームズ バハムートハウリング」の序章にあたるエピソードである。

 「絶体絶命」な人類の切り札、全長3キロを超える巨竜艦「バハムート」の起動、「ドラゴンアームズ」と「ドラゴンフォース」の初陣を描いた本作は、ゲームの背景資料としても有効だ。小説としての演出を優先させたためか、残念ながらゲームと完全にリンクしているとは言えない。そのための作品ではないのだから仕方ないが、イメージを膨らませるには充分だろう。巻末には新しいドラゴンアームズとエクステンションのデータも掲載されているが、これも使い勝手がいいとは言えないかも知れない。

 物語そのものは並である。この長さの小説としてはやや登場人物が多く、結果的に描き込み不足となった感が否めない。キャラクター造形もその関係性もステレロタイプで目新しさはない。ストーリーの展開に至ってはご都合な部分が目に付き、続刊を見越してかムダに思わせぶりな伏線が張られていたり、それがまたあざといものであるのも少々気になった。が、決定的な弱点というものもない。並である。ロボットものとしては、ありがちだがオーソドックスな話であると言えなくもないだろう。

 評価は星3つ。小説としての出来は並、ゲームの資料としても水準が高いわけではない。全体に可もなく不可もなく、である。ただ、情報料はそこそこあるので、特にゲームのイメージソースとしてはかなり読みこめるのではないだろうか。

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大草原には笑顔が似合う。

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 本書は「ルナル・サーガ」のテーブルトークRPGシリーズ、「ガープス・ルナル」の新リプレイシリーズ第四弾である。現在富士見書房にて展開中のRPGシステム・ガープスを用いてのゲームセッションを、読み物式に綴ったものだ。

 おなじみのエフィ、アードとタッタ・ニートのミュルーン夫妻に加え、新たな仲間としてトファナ、アイン、荒ぶる鬣(彼は喋る馬だ)を加えた六人と一頭が今回の主役となる。すでにキャラの立ったベテラン組に対し、青臭さの抜けないルーキーの少年と少女の活躍が見所だろう。

 時系列的にはルナル・サーガの完結編からカルシファード編への流れの途中となる。草原を二分するこの事件の後、エフィ達はさらに本来の目的地であるカルシファードへの旅を続けていくのである。ストーリーとしては両者の間を直接つなぐものではないが、これまで明らかでなかった「皇帝を殺した男」など、いくつかの情報が物語に織り込まれて公開されている。ルナルファンなら興味深く読めるだろう。

 ガープス・ルナルのサプリメント要素もかなり豊富だ。まず舞台であるゼクス共和国の情報がある。大雑把なものだが、雰囲気はつかめるだろう。ただし、ゲームで使うにはかなりの部分を自作する必要がある。ルナルでは特に重要な信仰については、「ティアフ」「イアナン」「エレアラ」の三柱の女神とその信者についてデータを乗せている。
 草原の民エタンの特殊技能や格闘動作など、追加データもなかなか豊富に揃っているので、即ゲームに反映することも可能だろう。さらに、データではないが今回のセッションをネタに、セッションの運営やテクニック、失敗談を含めた裏話などを載せた「師匠と弟子の裏話」はなかなか興味深いと思うのだが…。

 例によって大味な物語だが、全体的なまとまりはよい。だが、結局のところ「ルナル・サーガ」の番外編でしかないのはもったいない。残念ながら「ルナル」というゲーム世界の発展性に関しては、相変わらず棚上げ状態である。
 巻末データもキャラクターそのものには有効だが、肝心の舞台(ゼクス共和国)についてはほとんど記述がないなど、どうもせっかくの(世界の)魅力を有効に活かせていない感が強い。

 評価は星三つ。キャラクターは充分に魅力的だが、物語(シナリオ)にそれが乏しい。正直、ファンサービスと言うよりも原作者の自己満足が強く感じられてしまう。一方で、巻末のデータは充実している。ガープス・ルナルのプレイヤーなら、このためだけに購入しても損はないだろう。

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“ルナル”世界の今と未来をつなぐ扉

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 本書は「ルナル・サーガ」のテーブルトークRPGシリーズ、「ガープス・ルナル」の新リプレイシリーズ第一弾である。以前は角川書店から出版されていたが、RPGシステム・ガープスが富士見書房で新規に展開されるのを受けて、新シリーズの開始となった。
 おなじみのアンディ、タッタ、ドムスに加え、新たな仲間としてファイニアの密偵であるアーデリア・ラウラ・シルフィの三人娘が加わって、何やら華やかな一行の冒険が綴られている。
 時系列的には小説「ルナル・サーガ」6巻と完結編との間をつなぎ、さらにルナル世界の現在と未来とをつなぐ物語も語られている。小説を補完する設定も描かれているので、ルナルファンならなかなか興味深く読めるだろう。

 「ガープス・ルナル」のサプリメントとしては、冒頭でルナル世界の簡単な説明が為され、導入部から解説を交えた戦闘が行われるなど、富士見書房での初めてのガープスものと言うことで配慮が見られる。また、舞台であるオータネス湖王国などの情報も手に入る。
 しかし、やはり以前のリプレイシリーズや小説を読んでいたほうがより楽しめるだろう。というより、ここから改めてルナルシリーズに入るのは、実際かなり苦戦することになるかもしれない。

 「ルナル・サーガ」はリプレイ・小説とも、かなりの巻数を重ねたシリーズである。いくら何でも巻頭の数ページ分にしかならない背景説明で、「楽しむには充分でしょう」とは行くまい。そうまでして「ルナル・サーガ」にこだわる必要があったのか、はっきりいって疑問だ。
 新規読者を得るためには、ルナル世界を使用するにしても「ルナル・サーガ」とは直接関わりのない物語を新たに提供する方が親切だったように思える。内容もシリーズを補完すると言えば聞こえはいいが、実際には「重箱の隅をつつく」程度の話でしかないのである。

 同社刊「ソード・ワールドRPGリプレイ」などのように、冒険者のパーティが小さな冒険を繰り広げる…といった形態の方が、少なくとも汎用RPGシステム「GURPS」の牽引役としては有効だったはずだ。また、そのつもりがないならなおさら、なぜRPGリプレイという形式を取ったのかがわからない。ルナル世界には十分な魅力があるし、既存の物語に引きずられる必要はないはずだと思うのだが?

 評価は星3つ。残念ながら、「ガープス」の魅力、「ルナル」の魅力を伝える媒体としては力不足だが、単に「リプレイ集」として考えれば標準的なレベルといえるだろう。

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