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先月(2017年4月)

とりるさんのレビュー一覧

投稿者:とりる

10 件中 1 件~ 10 件を表示

書店風雲録

2004/02/16 22:22

他人のノスタルジーを愉しむ(本屋さん編)

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 渋谷の東急Bunkamuraの地下一階にあるNADiff modern(ナディッフモダン)は私のお気に入りの書店のひとつだが、表参道にある本店にはまだ行ったことがない。当然、その前身のアール・ヴィヴァンについては何も知らなかった。

 ミュージアムショップ「アール・ヴィヴァン」が池袋西武美術館(のちのセゾン美術館)とともに誕生したのは1975年のことだった。
 芦野公昭が語る開店準備の苦労話は痛快だ。業界関係者にはことごとく無茶だと言われながらも闇雲に仕入れをし、数週間で初回の仕入れ分のかなりが売れてしまったという。ロシア・アヴァンギャルドについての本を探しにでかけたスイスでのエピソード、さりげない瀧口修造の力添えなど、読みながらわくわくする話が続く。

 けれどそれは、「アール・ヴィヴァン」は今はもうないという郷愁がなせるわざなのではないか、とも思う。本書にはリブロをとりまく多くの人へのインタビューが組み込まれている。これが実に面白い。だが全体を通して、「池袋リブロ」の快進撃を振り返りつつもその「リブロ」はもはや過去のものなのだ、という寂しさが流れている。「池袋リブロ」だけではない。書店業界やそれに支えられている「本の文化」全体が滅びていく、という予感がひしひしと伝わってくる。これは著者の持つ危機感であろう。
 自分が生まれてもいない時代の「懐メロ」番組を見て「懐かしい…」と呟くように、私もまた『書店風雲録』を読んで「あの頃は良かった…」なんて感想を抱きそうになってしまう。そのままノスタルジーに浸っていたい、などと思う。

 読後、「本」のこれからについて、一抹の不安を感じた。たった、一抹である。一抹さえ感じない人もいるだろう。痛快な話の合間に、再販制度や消費税、万引きについての話も漏らさず言及されている。ときおり読者に向かって真正面から発せられる、「応援してあげてください」という著者のつぶやきは、重い。

 あとがきにもあるように、著者はそういった絶望的な状況に対してなお、「書店魂」の健在を願っている。実際には自由に「今泉棚」を作ることができなくても(経営方針だけでなく、本人の資質も要求される)、「書店の仕事って結構面白い」と思った書店員は現代を体現し未来へと続く「本屋さん」を営んでいってもらいたい。そして新しい書店の行く末に光がさしてきた頃、私は安心してこの本を開き、思う存分(他人の)ノスタルジーに浸るだろう。

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紙の本図書館へ行こう

2003/02/03 22:59

図書館を、もっと身近に

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 図書館よりは、本屋さんの方が好き。けれども、財布が軽くてついつい図書館の利用が多くなっているこの頃、その名も『図書館へ行こう』という本に遭遇。

 ですます調の丁寧な語り口。初心に返って、図書館とはどんなところかしら、と田中さんの案内に従って読み進んでいくと図書館のことだけでなく本を読むことの楽しさを再確認できる。また、本が苦手な子どもに対する押し付けがましくない「楽しいよ」という誘いに好感が持てます。

 旅行中だった筆者に声を掛け、本を貸そうとしてくれたニューヨーク市立図書館員の親切は、田中さんの心に生きていて、この本を読んだ人にも届くことでしょう。そういう幸せなめぐり合わせが育っていって、世の中の読書環境が向上していくといいなあ。

 堀川理万子さんのイラストにも心温まります。

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自分のペースで本を読みたいヒトへ

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 本を読む速度は人それぞれで、速く読みたい人は速読術を駆使して読めばいいし、そんな本読んでいる暇があったらゆっくりエッセイでも読みたい、っていう人もいる。

 働き方、生き方というのも、やっぱりいろんなペースがあると思うのだけど、書店に並んでいるビジネス書のタイトルを見ると、とにかく「これが一番いいんです」といった風の煽り文句ばかり目に付く。

 この本の副題も「上昇志向が強くない人のための生き方論」とあり、ターゲットとして上昇志向が強くない人向けであることが謳われている。でも、私は「世の中をいい感じにしていきたいと思っているヒト」みんなに読んでもらいたいなと思う。世の中、というのが大袈裟に聞こえるならば、自分の働いている環境、と言い換えたっていい。

 著者が「スローキャリア」という考え方で提唱しているのは、世の中のヒトはすべて上昇志向を捨てるべきだ、などという一方的な価値観ではない。今まであまり奨励されてこなかった「上昇志向以外の考え方」もあるんだよ、という懐の深い世界観を紹介しているのだ。

 上昇志向が強いヒトも弱いヒトも、スローキャリアっていう生き方があるんだなーっていう認識をもつことで、いま自分たちが働いている環境を余裕あるものに変えていけるんじゃないだろうか。これから就職しようという学生、フリーターにも一読をオススメしたい。

 本書の最後のほう、「帰る場所」についての記述は、それまでのキャリア・仕事についての文章のなかでちょっと唐突に響いたけれど、ひときわ印象深かった。

 そこに行くのに必ず目的がある「行く場所」と、いろいろな場所で様々な目的を達成し、やるべきことが終わった人が向かうのが「帰る場所」。「帰る場所」には目的は要らない。そういう「帰る場所」があるというのが、スローキャリアを実現するために重要だと著者はいう。でも、それって誰にとっても大切で、けれど忘れられていることなのではないか。

 「帰る場所」に支えられたスローキャリアという生き方。それがどんなに魅力的なものなのかは、実際に読んで確かめてください。自分のペースで。

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ここに、演劇やってる人がいます。こんな感じです。

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 演劇をやっている人と「芸能人」はイコールではない。けれど笑点に出ている人だけが落語家だと思っている人がいるように、演劇をやっていると聞くと「早くテレビに出られるといいですね」と励ます人がいる。
 一体演劇する人々ってのはどんな輩なんだか、やってない人にはほとんどわからない。いや、現に肉体労働をしながら「芝居やってるんス」とか言ってしまうお兄ちゃんだって、自分の身の回りの「演劇」しか見えていないことも多い。

 この本では、橋爪功や大竹しのぶなどテレビで御馴染みの俳優から地方で地道に演劇に取り組んでいる若者まで、40人近くの演劇人を取り上げている。一人一人の人生は部分的にしか見えてこないけれど、その演劇への情熱が40人分並ぶとその迫力はすさまじい。
 舞台を見たことがない人でも奥菜恵や佐々木蔵之介などを入り口にして「演劇」を知るきっかけになるだろうし、小劇場に親しんでいる人にも、東日本屈指の興行主とされるロック座会長斎藤智恵子の存在に、「こんな人がいたのか!」とひれ伏すことが出来る。2001年正月から2002年3月にかけて毎日新聞日曜版で連載された記事だけに、情報も新しい。

 演劇が気になっちゃってる人、読んでください。知人の出ている公演しか観に行かない役者や、息子が会社辞めて劇団入っちゃって困ってるお母さんは、この本を読んで更に励んだり悩みを深めたりして欲しいです。

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紙の本劇場としての書店

2003/01/11 01:30

本屋さんとお芝居が好きなヒトのために

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 「本屋を劇場にたとえるなんて、ちょっと面白いね。でもこの口上ってのがなんかうさんくさいよ。2000円? やめとこう」。

 本屋さんでこの本を手にした時にこう思ってしまった自分を、僕は責められない。実際、読み終えた今でも、この口上と目次を見直して「これじゃちょっと可哀想だ」と思ってしまう。ちょっと気のきいた比喩を思いついて膨らませたんだろーな、くらいにしか感じなかった。

 福嶋聡さん、ごめんなさい。

 まず、本文始まって最初のエピソードを読みながら、安藤哲也さんの文章を思い出した。『本屋はサイコー!』で感じた書店人の誇り、売れる本を奥に置いてお客さんを店の奥へ誘い込むというセオリーに反する新哲学、に、似てる! こいつは面白い本に違いない、という予感がした。
 直後、福島さんが実際舞台演出の仕事をしていたと書いてある。気のきいた比喩なんてとんでもない、体験に基づくしっかりとした演劇論かつ書店論だったのだ。

 本屋さんについて、お芝居について、ちょっと分かったつもりになっているあなたに新しい視点を与えてくれる一冊。

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紙の本対話のレッスン

2003/01/05 23:46

じっくりのんびり対話し続ける

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 平田さんの文章は、面白い。実際、声を上げて笑ってしまうこともしばしばだ。

 この本に収められている文章はもともと『本の窓』に連載していたモノということで、全体的に何かを主張している本というよりも、連載当時(1997〜2000年)の出来事に絡めて平田さんが対話についてお喋りしているといった、気楽な雰囲気の本だった。
 それでも劇作家・演出家として日々言葉と格闘している平田さんの考えは、とても説得力がある。くすっと笑いながらも説得されるというのは、読書の大きな喜びだ。

 読み終わって、この人はとても懐の深いヒトだなー、と思った。日本語にまつわる様々な問題点も、丸呑みにしてじっくり消化していきましょうよ、みたいなのんびりした温かさがある。時に若者言葉をかばい、あるいは代議士の発言に苦言を呈しても、考え続けるという姿勢が頼もしい。それは平田さんのいう対話の精神でもある。「対話においては、自分の価値観が変わっていくことを潔しとし、さらにはその変化に喜びさえも見いだせなければならない」(155ページ)

 ちなみに青年団のお芝居も面白いので、本書が気に入った方、平田さんが気になる方は劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
 …“も”は失礼ですね。本業です、本業。「(^_^;)
 ぜひ…。

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紙の本インタビュー術!

2002/11/24 15:23

うっかりインタビュー

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 うっかりインタビューをしたくなるような本ではない。卒論を書くときにインタビューの真似事をしたせいか、今でもチャンスがあれば誰かにインタビューをしてみたいなあ、などと考えている私でさえ、「じゃ、この本に書いてある通りにインタビューしてみよう」とは思いません。

 マニュアル本ではないのだ。

 第三章「インタビューはこう読め」では、二十年間ライターとしてインタビューに携わってきた著者が、数々のインタビュー本を紹介しています(糸井重里著『ピーコ伝』、内田也哉子『会見記』など)。それぞれのインタビュアーの個性をわかりやすく解説するその言葉の端々から、インタビューを楽しむ雰囲気がありありと伝わってくる。わくわくした躍動感が伝染する。著者の飾らない感想からインタビューへの親近感が沸きまして、「インタビュー読みたい!」

 全体を振り返ってみると、著者の率直な言葉によってインタビューの裏表を立体的に感じることが出来たなあ、という感想。もちろん著者のフィルターを通しての立体感ですが、面白かった。インタビューの内幕をぎょっとするほど感じさせてくれたのは、P.107〜P.119にかけて。元のデータ原稿はとても迫力があってそれを読んでいるだけで面白いのに、それがどれほど凝縮されて一つの記事になるのか、正直「こんなにちょっと!」と驚きました。
 するとなんですか、大元の面白い話はインタビュアーでなければ聞くことができない、ということですか。

 やっぱりちょっとインタビューしてみたくなりますね。うっかりだなあ。

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それは社会の転落

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 本書で繰り返し主張されるのは、若者の問題は彼ら「だけ」の問題ではないということだ。

 「パラサイト・シングル」を責めたり、若者の自立を家族や会社にゆだねても、問題は解決されない。「自立しがたいような社会構造のゆがみ」が手付かずのままだからである。その歪んだ構造に私達も組み込まれている。私達は加害者であり、被害者でもある。

 本書では、若者の問題がどのように隠蔽されているかについて解き明かし、家族と社会との関係の中で捉え直している。外国の事情との比較やデータ分析など『パラサイト・シングルの時代』(山田昌弘)同様の方法だが、どこか興奮し過ぎて説得力を失った説教のような印象を持つ『パラサイト・シングルの時代』に比べて、実際若者が置かれている状況を的確に把握しているように感じた。

 今、どのような社会を生きているのか。どのような社会を目指したいのか。一人一人が具体的に考えることが求められている。

 問題に気づいた人は見ないふりをしてはいけない。気がついていない人に問題意識をもたせることは、先に気づいた人の責任である。私は、この本を薦めることによってせめてもの責任を果たしたいと思っている。あまりにわずかではあるけれど。


 この本を読んで、一年あまり。私はまだ実家を出られずにいる。

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あなたに聞き手が登場する時

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 誰かに聞いてもらいたい。こう思った。話すことがあるわけではない。いや、何かを話したいけれども何を話していいのかはっきりしない。独白でなく、聞き手との共同作業を通した「自分」に出会いたい。

 この本は、社会学の本である。「調査インタビューを語り手のリアリティーや意識を変える手段と考えるのは倫理的にも疑問があり、一種の野蛮なセラピーの実践に陥る危険性がある」(p.245)と明記してある。誰かに話を聞いてもらってスッキリするなどという次元の内容では、もちろんない。
 それでも僕はこの本を読みながら「語ることの魔力」について考えないわけにはいかなかった。話せば分かる、とはよく言われることである。けれども、話せないことのなんと多いことだろう。そういった様々な困難や沈黙を越えて人生が語られるとき、語り手にとっても聞き手にとっても充実した時間が流れるだろう。いや、そうした充実感は聞き手と語り手との共同作業によって生み出されるということを、改めて教わった。

 インタビューなどという大袈裟な場を想定しなくても、自分の人生を語るような機会はある。誰かの人生を語られる機会はある。それは、今生きている世界の中に自分を新しく位置付けなおすチャンスとなる。大切にしたい。

 「語りを聞く聞き手が登場することで、はじめて人は語ることができる」(p.37)

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読むものでなく、するものである

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 読み終わったあと、怪訝な顔をする読者が多いかもしれない。何か面白そうではあるけれどその面白さが腑に落ちない。それはきっと、この本をただ「読んで」終わってしまった読者だろう。演劇の中に入るには、本を読むだけでは足りない。

 もちろん、演劇に携わっている人が読めば直ちに別役氏の哲学を吸収して演劇への理解を深めるかと言えば、そんなことはない。むしろ、別役氏の言葉で語られる演劇と自分の知っている演劇との違いに呆然とするだろう。

 好奇心と違和感は、表裏一体である。すぐに試してみなければ、やがてそれらは失われてしまうだろう。演劇入門書の難しいところは、演劇をやってみる場自体は用意できないところにある。残念ながら本書も、その点は解決されていない。

 ようやく登場した別役実の演劇入門書。効能の程は、読者次第、か。

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