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川ウソ左衛門さんのレビュー一覧

投稿者:川ウソ左衛門

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本素粒子

2002/11/21 18:33

フランスの村上龍、かな?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

現代フランスの小説である。ゴンクール賞は逃したらしいが、1998年度の読書界の話題を独り占めした小説であるらしい。
本編が始まり、冒頭、どうやら作者と同世代の40歳になる男が登場する。
どうやら、この男は天才肌の生物学者で、ゆくゆくは途方もない偉業を達成する男であるらしい。
そして、この男には二つ違いの、いわゆるタネ違いの兄がいる。こちらは文学専攻、おばあちゃん子で、寄宿舎ではいじめられっこ、青春期に入っても過食による肥満とありあまる性欲で、鬱々としている。
フランスといえば、誰もがおしゃれな恋愛を謳歌しているような(なはずはない!のだが)、考えるまでもなく馬鹿馬鹿しく根拠のない思い込みが、ここあたりから裏切られ始める。
20世紀、特に第二次世界大戦後の、先進国を気取る国々での暮らしは、なんとまあ驚くほど似通っていることか。その希望のなさにおいて、先の見えない閉塞感において。

ともあれ、ある種の伝統を思わせる、古典的な小説作法に則った年代記風の語りと、誕生や生い立ちのエピソードを重層的に緻密に組み合わせて、人物像を浮かび上がらせていく力量はすごい。

中盤からは、もう若くはない中年男女の惨憺たるラブストーリーとして、私はかなり面白く読んだ。
70年代フリーセックス思想にもとづくバカンス施設での出会い、ヌーデイスト村や乱交クラブでの週末ごとのデート。そして早すぎる悲しい永久の別れ。

男の純愛は、女の死によって、あっけなく砕ける。男は、かつて自分に快楽をくれ、自分も快楽を与えようと努めた女の亡骸を棺のなかに見出したとたん、後ろ向きに倒れ、後頭部を強打する。職員たちが優しく助け起こす。なかでも年配の職員が「泣きなさい、泣かなきゃだめです」そう熱っぽく慰めるのに、男は泣けない。涙でカタルシスを得ることはできない。男は死も選べず、生きながら廃人になることを選ぶ…

「無定見。無定見で、軽薄で、道化じみている。それが男というものだ」。

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