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先月(2017年6月)

koubaraさんのレビュー一覧

投稿者:koubara

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本徒然草 1

2002/02/24 20:43

古典を読むということについて

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 訳者・三木紀人氏のまえがきに、「徒然草には古語を現代語に置きかえただけでは見えてこないものが、想像以上にあるらしい」とかいてあった。そして、早速、「つれづれなるままに」という序段の、「つれづれ」という、たった一語に、約一ページにもわたる解釈がなされていた。ことばとは、その時代の思想をうつし出すものであるから、古語のままで理解すベきだ、という訳者の、深い、こだわりがあるのだろう。
 古典を読むということは、現代の私たちが、古人と対話しようとすることだと思った。時代背景や価値観の違いを、故人のことばを通じて知る努力といっても良い。けっして、学生時代にやらされたような、解し難い文法を覚えることや、名作とされている作品の冒頭部分を暗記することが、古典の勉強ではない。自分の共感できる作品から、自由に読み進めてゆき、そのなかで筆者と、徹底的に語り合う必要がある。
 そのためには、「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」という兼好のことばどうり、その道の案内人がいる。
 訳者・三木紀人氏は、〈現代語訳〉〈語釈〉〈解説〉と三段階に分けて、見事に、対話の仲介役を務めてくれる。読者は懇切丁寧な、〈語釈〉により、直接、古人に語りかけられるような、雰囲気を味わい、〈解説〉により、より深く、行間にひそんだ古人の思いを読みとることができる。
 こんな時代だからこそ、「つれづれなるままに」「そこはかとなく書きつく」られた、随筆の魅力を見直してみるのも大切なことではなかろうかと、思った。

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