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先月(2017年2月)

早川書房編集部 鹿児島有里さんのレビュー一覧

投稿者:早川書房編集部 鹿児島有里

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本いつかわたしに会いにきて

2002/02/25 00:51

疲れも吹き飛ばすしたたかさを味わってください。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本に出会ったときわたしはとても疲れていたのですが、ひとたび頁をめくったらやめられなくなってしまい、数分後にはクラウスのウィットに富んだ言葉にくすくす笑っていました。読む者を夢中にさせるパワーが、この短篇集にはあります。

 どの作品も30歳前後の女性たちが、恋や仕事や家族関係で壁にぶつかりながらも、自分らしさと自由を求めていく姿を等身大に描いています。堅実な妹を小ばかにしていたのに意外な事実に目覚める奔放な姉、変わり者の女性の同僚としだいに親密になって困惑する派遣社員、義父の葬儀で出会ったパイロットとの恋に身を投じる飛行機恐怖症の女性……。
 もう若さを武器にできる年齢ではないし、期待されてもなんでもうまくこなせるほど熟達していない、かといって諦めの境地にはなれない……そんな微妙な年齢の女性たちが現実に立ち向かう姿は、ときに滑稽で笑わせ、ときに切なく心に突き刺さり、おおいに共感することでしょう。
 また、注目していただきたいのは、各短篇のはじめに引用されている女優メイ・ウェストの台詞。「大切なのは人生で出会った男の数じゃないの——出会った男たちの人生よ」なんて含蓄のある言葉が、つづくストーリーとぴったりマッチして効いています。そして、各短篇の終わり方がまた鮮やかで、深い余韻を残しています。笑ったり涙ぐんだりした後には、壁に直面しても負けずにしたたかにやっていこうという気にさせてくれる、元気の出る作品です。

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