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飛行船さんのレビュー一覧

投稿者:飛行船

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「合理」を超える「非合理」の力

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 文化人類学者の波平恵美子さんの著書『生きる力をさがす旅』(出窓社)は、子どもの問題を社会問題として語ることに慣れてしまっている私たちに、新鮮な切り口を与えてくれる。その特徴は本文の小見出しの一つでもある「『合理』を超える『非合理』の力」という言葉に表れている。

 私たちは往々にして子どもをめぐる問題を、教育学、心理学、社会学などの近代的な学問の力を借りながら、合理的に説明しきろうと試みる。そして子どもの問題はしばしば抽象化され、実感を伴わない空疎な言説に解体されていく。また、ときにはジャーナリストによって事件として扱われ、事実の羅列によって断片化され、情報化されていく。子どものためによかれと思ってなす、さまざまな営為が子ども世界への理解や愛情を深めるのではなく、困惑なり虚しさを社会に撒き散らすことにもなる。

 動物と人間のあわいを生きる子ども世界には、非合理なものが満ち満ちている。というよりも、子どもそのものが非合理な存在といえる。子ども世界を非合理を駆逐し解決しようとする近代的なまなざしで追求していけば、無意識のうちに子どもの得体の知れなさに突き当たることになる。「現代の子どもは理解しがたい」「現代の子どもは問題だらけだ」——大人だけではなく、子どもまでもそのような思考法にならされて、自分自身の得体の知れなさをもてあまし、もがいているかのようにも見える。

 著者の専門である文化人類学は、異文化を理解し、自文化を見直すことを目的とする学問である。異なる価値観を文化の連続性や継続性のなかでとらえ、一見不合理な事象を解釈するための繊細なまなざしをもっている。神さま、あの世、子殺し、動物の魂、儀式、血縁、通過儀礼など、そのような不合理なものを扱う文化人類学の枠組みと重ね合わせてみると、子ども世界も可視的な世界に変わってくる。

 もちろん、これまでも民俗学や文化人類学の概念で子ども世界を読み解こうとした研究者は数多くいた。しかし、波平恵美子さんは、文化人類学の手法でとらえ直した異世界をロマンティックに肯定したり、神秘化することはしない(ハリーポッターとは違うのだ)。むしろ、あらゆる文化に非合理な世界を扱う作法や規範がかならず存在し、人類はそのような知恵を営々と積み上げてきたことを訴えている。文化に潜む非合理の存在を教えるとともに、それを扱う人間たちの創造性について考えさせようとしている。

 私たちは、子どもの問題が解き明かせないと長年煩悶し続けているが、実はその方法論自体が、子ども問題を生み出す土壌になっているとしたらどうだろうか。子どもが引き起こすさまざまな問題など、文化人類学が扱ってきた異世界からしたら、ごくごく当たり前の出来事でしかないかもしれない。大人もそして子どもたちも、子ども世界へのアプローチの方法を大きく変えた方がいいのではないのか。すべての漢字にルビがついてあるので、少し背伸びすることになるかも知れないが、子どもたちにこそぜひ読んでもらいたい一冊である。

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