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ChikaMさんのレビュー一覧

投稿者:ChikaM

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本神様

2002/04/01 18:03

不思議に温かい作品たち。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 川上弘美のことは1996年芥川賞受賞の「蛇を踏む」以来気にかけてはいたのだけど、当時はそれを味わうには想像力が乏しく、なんとなく苦手意識を持ってきていた。頭のよい人や非常に感性の鋭い人のための小説を書く人だと思い込んでいたのだ。

 2001年のある月の「文學界」に川上弘美の短篇が載っていた。あ、わたし、この人の作品、嫌いじゃない、と気がついた。それでとりあえず、彼女のデビュー作の収録されている文庫本「神様」(表題作がパスカル文学賞を受賞したデビュー作)を立ち読みしに行きました。驚きました。

 「くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである。歩いて二十分ほどのところにある川原である」。

 最初の一文だけでもう、惹きつけられてしまいました。うまいとか、テーマがどうとか、小説についてそのような評価の仕方もあるわけで、その辺を考えながら読んでいると「こういうネタに肉薄できることは素晴らしいはずなのだから」「この技法は今の流行だから」と次第にお勉強になって辛くなってくることが少なくない。けれども、この書き出し。新鮮な圧倒的な世界がそこにあって、しかもそれは魅力的で。ひらがなが多くて、くまという非現実的なモチーフがありながら、童話とは別の種類の温かさで。誰かが岩館真理子の漫画のようだと評していたけど、たしかにそういう部分はある。どろどろの情念は描かれず、といってドライにうそぶく痛さもなく。軽やかに、嘘はなく。あらゆる種類の退屈から逃れて、きちんと収拾をつけて物語が終わる。深読みにも耐える。

 神話的な構造。品のよい作品。穢い行動は書かれず、彼女の手にかかると全ての感情が浄化される。

 彼女が人気あることに納得できた一冊でした。

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紙の本見城徹編集者 魂の戦士

2002/04/01 18:33

あなたの個性わたしの欲望

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 なにかを書きたいと心の奥で望んでいる人でなくても、彼の名前を一度は聞いたことがあるのではないだろうか。今の日本でもっとも有名な編集者だろう。その彼がNHKの企画番組「課外授業」のために清水の小学校で編集とはなにかを教えた授業について、番組には収録されなかった部分まで含めてまとめた一冊。

 あなたの個性をきちんと出しきる、他の誰にでも書けるようなことではなく、あなただからこそ書けるようななにかを文章に滲ませるのだ、と彼は言う。彼自身、作家になりたかったのだが、自分には個性の強烈さが足りないと断念したのだという。しかし、それならなぜ、ミリオンセラー続出するほどの、触媒になれたのか。
 彼はむしろ、出版物ではなく、出版すること自体を編集してしまったのではないか、そんな戯言がよぎっていった。作家の個性に耐えられえない脆弱な精神ではあれだけの仕事はなしえないだろうから。

 小学生の書いた文章について、見城は「せつない」という単語を用いる。けれども、小学生の書く文章にさえ「せつなさ」を見出してしまう彼自身がいちばん「せつない」人なのではないかとわたしは思った。

 小説を書こうとする人、出版業に関心のある人、だけではなく、人生の曲がり角で立ちすくむ人にも読んで貰いたい一冊です。

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予測不能のストーリー展開

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 予測不能のストーリー展開、弾けながら別の方向へとジャンプしてゆくが不思議に繋がっている。紋切り型の乱用、薄い背景描写、しかしながら極度にデフォルメされた人物と設定の仕方には独特の面白さがある。

 意外なことに、記号は少ない。記号に頼らずにあのテンションを保てるのは、やっぱり筆力なのかもしれない。読んでいて、かつての児童番組「ウゴウゴルーガ」を連想してしまった。

 主題Aが主題Bにすりかわり、やがてCとなり、しかし最後にはAに終結する。なるほど、この手腕は物語者としての才能かもしれない。特異な処理能力なのだから。フェーズが変わり続ける。

 誰かに似ていない作家です。

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研究家ではない純粋な「読者」としての立場からの手塚治虫論。

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 漫画研究家ではない「読者の立場」からの手塚治虫論である。手塚治虫は、戦時下に三千枚、一生涯十五万枚の原稿を書いた恐るべき多産家の漫画家である。彼の輝きは一面で語ることは出来ない。

 田中が言うには、彼の魅力は
 1.民主主義や正義
 2.徹底的なピカレスクとアナーキズム
 3.異形のものたち
 4.科学文明に傾倒する人間たちへの疑いの念
 5.哲学・歴史という枠
 6.映画的な技巧が彼のマンガをいやおうがなく面白いものにしている
……などだそうである。異形というのは、それさえセットできればかなりの確率で面白いものになるのではないか? 異形、境界線上の存在、あるいは相反する価値観のクロスする存在というのは、面白い。鉄腕アトムのアトム自身がそうであるように。でもそれはちょっと考えれば誰でもわかることなんじゃないか?

 物語。解り合えないわたしたち。解り合えないことを認めながら失望しないこと。

 漫画家手塚治虫について書かれる文章は、一ファンとしてはなんであれ楽しく感動してしまう。しかしながら、この本の著者は評論家としてはあまりにも甘い。文体も切り込み方も甘い。そこが読者としては不満である。すでに彼の自伝などを通して読んだことのあることが書かれているせいである。

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紙の本未来形J

2002/04/01 18:14

大沢有昌、ジュニアデヴュー!?携帯電話向けコンテンツを活字にするとこんな感じ。

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 インパクの際に携帯電話に毎日配信されていたというだけあって、とにかく若くて移り気な読者を繋ぎとめようと必死な構造である。

 技術的な点では、
1.視点がころころと変わるのに、読みにくくない。
2.冒頭が説明から始まるのだが、贅肉が削ぎ落とされているのとそれぞれの人物に不自然ではないが印象的なエピソードが用意されている。
3.主要登場人物の全員がそれなりにバランスよく登場する。
4.凡庸な印象。
5.読者はどれかのキャラクタに感情移入できるだろう。
6.事件は解決に向かわないのだが、次々と新たな局面に入るのでいいのかもしれない。
7.問題はいろいろと絡まりあう。
8.やよいと透の駆け引きは面白かった。

 読後感。エンディングは読者から公募してもっとも優れたものを載せたというのだが、段違いに大沢の方が文章は上手い。しかし、話の凝り方のマニアクさ加減において、最優賞受賞作にふさわしかったのではないかと思える。

 大沢の執筆部分では、いまいち五人が選ばれた必然性がわからなかったし、事件は解決を向かえないので読み飛ばせるけどそれだけ、という印象だった。エンディングは、ついに五人全員の力をあわせて事件を解決する場面なので面白い。

 電車のつり革につかまって読むのにはお手軽な、肩のこらない一冊。

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